日建設計は千葉大学、パナソニックエコソリューションズ社と共同で実施した職場の照明環境が働く人の心や体に与える影響を検証する実験の結果を発表した。
視野の一部に彩色光や色温度の異なる白色光を導入する被験者実験で、若草色や赤紫色が「活気」に、ふじ色や彩度の高い色などが「快適性」に、「眠気や疲れの改善」にはふじ色やあやめ色などが効果があることが分かった。
今回の実験は、ワークスペースで最適な照明環境を提供する「ヒューマン・セントリック・ライティング(HCL)」を検証する目的で、東京都港区のパナソニック東京汐留ビルをフィールドに行われた。オフィスの共用空間を対象に、短期的なカラーライティングによる心理効果や疲れ、眠気の改善効果を確認した。
ワークスペースの活性化に効果があるとされた光色は、若草色や赤紫色。居心地の良い照明環境の形成には、ふじ色やレモン色、肌色、だいだい色、桃色、あやめ色などパステルカラーが役立つとされた。眠気や疲れの改善には、ふじ色、あやめ色、若草色、青色、青竹色、レモン色、だいだい色の評価が高く、集中して作業した後のリフレッシュ効果があると考えられるとしている。
実験方法や結果の詳細は、電気設備学会の全国大会(8月)、照明学会の全国大会(9月)で発表する予定。
今後は、個人の作業空間にカラーライティングを導入する実験を行い、目的別の適切な光色を検証していく予定だ。ディスプレー作業、ディスカッションなど作業別に適切な光色を抽出することで、快適な執務環境を提供する光環境の実現を目指す。
HCLは、欧米で広がる照明の概念の一つ。照明の明るさや色などの調整により、人の集中力を高めたり、生活リズムを改善したりするのが狙いで、オフィス空間だけでなく、商業施設、住宅、病院、教育施設のほか、地下街、駅舎など公共空間での活用も期待されている。
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