◇技術と品質に自信を持つ◇
北海道で生まれ育った私は5人兄弟末子の三男です。長男は建築を学んでゼネコンに、次男は父と同じ大工の道に進みました。父は寺などの歴史的建造物を手掛ける大工でした。私がまだ小さかった頃、家の近くの現場で夜遅くまで仕事をしている父のところに、母がこぐ自転車の後ろに乗ってよく夕飯を届けに行ったものです。
大学で土木を勉強し、教授の推薦を頂いて就職したのがケミカルグラウトです。設立からまだ十数年という若い会社でした。当時、会社の事業は薬液注入が全盛期にありましたが、私は入社してすぐ、「ジェットグラウト(高圧噴射撹拌(かくはん))工法」を手掛ける工事課に配属されました。今でこそジェットグラウト工法は会社の主力となっていますが、当時は開発されてから間もない時期で、その部署も社員がわずか10人しかいない弱小の組織でした。
ここでは現場で何かトラブルが起きると、スタッフたちが必ず集まり、原因や対策を協議するのが日課でした。手戻りと手直しを二度と繰り返さないことが目的です。上司や先輩たちの情熱はすごく、新人の私も新しいことに挑戦しているという気概を持つことができ、大変良い勉強になりました。ジェットグラウト工法の適用実績がどんどん伸びていく時期とも重なり、毎日の仕事が面白く充実していました。
国内の地盤改良工事に長年携わり、40代後半からは台湾で支店の立ち上げと地盤改良工事、ブラジルでの現地法人の立ち上げと運営などにも携わりました。こうした海外での経験も大変に貴重なものとなっています。
構造物を造るのと異なり、私たちの仕事は地下の地盤改良ですから、施工している時は形としての成果を見ることができません。地盤改良を終えた後、トンネルの掘削が始まるなどした時に初めて成果が分かります。そういう目に見えないところでいかに品質を確保するか。ここに私たちの技術と過去の経験に基づくノウハウがあります。
「さすがケミカルグラウト」。私がお客さまから言って頂ける言葉の中で一番うれしいものです。同業他社と比べて「さすが」と言われ、自らも「うちの技術は最高です」と言えるようになるには、いろいろな知識を身に付け、自信を持たなければなりません。
“技術立社”を目指す会社として、若い人たちにもそうした気持ちでいろいろな経験を積んでいってほしいと思います。そういった意味で、最近は課長クラスの頑張りようを見て大変に頼もしく思っています。この世代は、私たちがそうであったように、自分たちの技術と品質に自信を持っています。これからも積極的に行動していってくれるでしょう。
(よねだ・くにあき)1976年千葉工大工学部土木工学科卒、ケミカルグラウト入社。取締役技術本部副本部長兼ブラジル現地法人担当、常務技術本部長などを経て、17年6月から専務環境地盤改良本部長兼福島主張所長兼海外調査室長兼台湾支店長。北海道出身、63歳。
新入社員の頃、作業所で撮影した一枚 (2列目右から2番目が本人) |
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