◇都市の歴史を引き継ぐ一人に◇
入庁4年目で1級建築士の資格を持つ。行政の技術者を志したきっかけは、大学3年生の時に主催した産官学連携のイベント。そこで自治体の担当者と協働し、民間以外の建築職にも興味を抱いた。「日本の中心で、ダイナミックな工事に関われる都庁に入りたい」と進む道を決めた。
大学で建築の基礎的な知識は身に付けていたが、実際に現場に出ると、公共建築に寄せる都民のニーズの多様さに驚かされたという。「建築の知識だけでは官庁営繕のプロフェッショナルにはなれない。多くの関係者に気を配り、まとめていけるだけの知見や、思慮の深さが必要だと初めて分かった」と振り返る。
現在所属している部署では、都立高校や特別支援学校、島しょ部の公共施設を対象に、工事の設計や発注、現場監督などを任されている。都庁と建設現場を往復しながら、知識と経験を積み上げている毎日だ。12月には日野台高校の大規模改修が無事完了し、現場監督者の一人としての責任を果たした。
建物一つが完成するまでの大変さを知ってから、東京の街並みには改めて驚きも覚えている。同時に、選んだ仕事は間違いでなかったと実感する自分もいる。「建築には、人の思いを引き継ぐ力がある。その歴史の蓄積に自分も関わっている」。先人たちに負けないよう、今は一歩一歩、実力に磨きをかける決意だ。
(施設整備第二課建築担当、みやもと・さき)
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