2017年12月6日水曜日

【回転窓】人工の「眼」がもたらす世界

人工知能(AI)を巡っては過去に厳しい「冬の時代」があった。第1次ブームは1950年代半ば~60年代、次は80年代に到来。いずれも過度な期待の反動が失望につながったのか、一時的な盛り上がりに終わる▼では、2013年に始まった現在の第3次ブームはこれまでと何が違い、身近な生活や産業界にどのようなインパクトを与えるのか。先週行われた空気調和・衛生工学会の創立100周年記念講演で、AI研究の第一人者である松尾豊東大大学院特任准教授が分かりやすく解説してくれた▼要素技術の開発がブームに関係なく着実に進んできた中でも近年急速な進展を遂げているのが「ディープラーニング(DL=深層学習)」。画像や映像などの解析に有効な技術で、人間が目で見て認識・判断する多くの仕事を自動化できる可能性があるという▼建設や農業などは目で見て判断する作業が多い。こうした分野でもDLとイメージセンサーによって機械やロボットが“眼”を持つことで「できる作業の幅は一気に広がる」と松尾氏▼ブームと捉えず、AIがもたらす世界をしっかり見る目をわれわれも持ちたい。

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