老いた親から受け継ぐと困ることが多いものが最近は三つある。一つはお墓、二つ目が家、三つ目が土地。若い頃に地方を出て都会暮らしが数十年。両親が亡くなって田舎に残されたお墓と空き家と土地をどうすれば…▼そんな話をこのところよく聞く。売ってお金に換えることもできず、持ち続ければ維持管理するのに手間もコストもかかる。先祖には申し訳ないと思いつつ放置せざるを得ない▼総務省が数年前、全国に空き家が820万戸と発表して世間に衝撃を与えたのもつかの間、今度は土地。相続登記が適切に行われないなどの理由で所有者不明の土地が全国に数百万ヘクタールもあることが今年、民間の研究会の調査で明るみに出た▼国土審議会が先週、こうした土地を公共的事業に利用しやすくする方策を提言した。国土交通省はこれに沿って年明けの国会に法案を提出するという▼土地神話が信じられていた一昔前には考えられなかった問題だろう。美田を巡る骨肉の相続争いも見苦しいが、利用価値の低い土地が登記されずに法定相続人ばかり増えていくのも困りもの。土地とは誠に厄介な代物と言ったら言い過ぎか。
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