2017年12月7日木曜日

【回転窓】街の余白に暮らす猫

トルコ・イスタンブールは猫の街なのだそうだ。ドキュメンタリー映画『猫が教えてくれたこと』に、生き生きとした猫たちの姿が収められている。アジアと欧州の結節点、東西交易の拠点として発展してきた街。船乗りたちと共に各地から猫も集まってきたのだという▼レストランでネズミを退治する猫がいるかと思えば、カフェの客席で餌をねだったり、軒先から魚をくすねたりする猫もいて至って自由。のびのび暮らしている猫を街で見かけると何とも和む。だが、身の回りではそんな光景が減っている気がする▼ペットフード協会の推計によると、日本国内の猫の飼育数は約985万頭(16年10月時点)。ほぼ横ばいで推移し、ペットとしてのニーズは根強いが、室内飼育が圧倒的に多いという。個人の愛玩動物の色合いが強いのだろう▼猫には、街のあちこちの隙間を自由に行き来するイメージがある。イスタンブールも開発が進み、野良猫にとっての居心地は変化しつつあるようだ▼街の余白のような空間は減る方向にある。変わりゆく街の姿をどう見ているのか。猫と会話できる機械が発明されたら聞いてみたい。

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