2017年12月6日水曜日

【技能教育リポート】LIXILビル建材技術専門校


 ◇組織の枠越え効率よく人材育成◇

 「早く現場に戻り、ここで身に付けた技術を実際に使ってみたい」-。

 次代の建設業を支える確かな腕を持つ職人を体系的に育成しようと、LIXILと、ビルサッシの施工協力会社組織「LBTC協力会」が今年4月に職業訓練校「LIXILビル建材技術専門校」を設立した。

 ビルサッシ、カーテンウオールの施工を教える学校を企業などが自前で立ち上げるのは全国的にも珍しい。設立初年度の後期カリキュラムとなる「専攻コース」の受講生ら12人が11月17日、全ての研修日程を終えた。

 建設業では近年、就業者のうち29歳以下の若年層は1割程度にとどまっており、特に専門工事業では若い職人の確保・育成に頭を悩ませている。そこで両者は、組織の枠を越え効率よく人材育成を進めようと、独自の担い手育成学校を開設した。同校では1級建築施工管理技士などの資格を持つ職員が、入社3年以内の若手らを対象に、業務に必須の知識と技能を教えている。

 ビルサッシとカーテンウオールの施工知識・技能を学べる基礎・専攻の2コースを用意。研修期間は各2カ月で、学科86時間、実技150時間の密度の濃い授業が行われている。5~6月に行われた基礎コースには18人が参加。修了生のうち10人は10月開始の専攻コースに進んだ。

 LIXIL土浦工場(茨城県土浦市)で行われていた専攻コースの実技研修では、受講生らが真剣な表情で図面を読み込み、L字形ファスナーやアルミ方立ての取り付け、溶接作業を行っていた。図面読解から施工までの一連の基礎動作を2カ月間繰り返し、正確さと迅速さに磨きをかける。

 研修では仲間同士で声を掛け合い、安全に作業を進める流儀も徹底して教え込まれる。実技の最後には、時間内にきちんと作業を終えられるかどうか、指導員に厳しくチェックされる。

 統括指導員の北島康雄氏(北島工業)は「先輩の背中を見て覚える昔ながらのやり方では教育に時間がかかる。ここでは短期間に作業のこつをつかめるよう知識と技術を体系的に教えている」と話す。

 同校は今年8月、職業能力開発促進法に基づく「サッシ・カーテンウオール施工科」に認定され、東京都の基準を満たす職業訓練校としてお墨付きを得た。専攻コースの試験をパスし、研修を終えた受講生らは、技術と自信、悩みを分かち合える仲間を獲得し、再び元の所属会社へと帰っていった。

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