2017年12月18日月曜日

【中堅世代】それぞれの建設業・187

建設産業の技術は現場で磨かれる
 ◇いつでもどこでも一生懸命◇

 「建設業が天職だと思っている。まだまだ若輩者。現状に満足せず、日々研さんしていく」-。

 アラフォー世代の川崎誠吾さん(仮名)は、大手建設会社で土木技術者として現場の施工管理に従事している。幼い頃からビルやマンション、道路、ダムなど建設構造物に興味を持ち、ものづくりの世界に憧れを抱いていた。

 建設業の道を真剣に志すきっかけとなったのは、小学生の時に地元で経験した阪神大震災。高速道路の落橋やビルの倒壊、各地で発生した火災など、当日の朝に見た光景は、決して消え去ることのない記憶として残っている。同時に、あれほどの壊滅的被害を受けたにもかかわらず、インフラがあっという間に復旧したことにも驚かされた。

 「あちこちで建設会社の人たちが関西の町を素早く直していく姿が格好良く、自分もその仲間に入りたいと思った」。次の震災に備えて耐震性を高めた構造など、インフラ整備とそれを支える建設技術のすごさ、社会での重要性が子ども心にもよく分かった。

 人々の暮らしにより密着したインフラの建設に関わりたいと思い、震災後は土木技術者への道を突き進んだ。工業高校の土木科で学び、大学では土木工学を専攻。就職活動でも土木にこだわり、橋梁やトンネルなど土木主体の建設会社に入った。

 ここでの10年余りの現場生活によって土木技術者として大きく成長することができたと思う一方で、技術者としてさらに高みを目指したいとの欲求が湧き上がった。

 大手建設会社が施工した土木工事でJVの構成員として現場に勤務した際、世話になった現場所長から声を掛けられ、業界を代表する企業に働く場を移した。将来を見据えた新技術の開発や、未知への積極的な挑戦を続ける現在の会社の姿勢は、自身が考える土木技術者のあり方と重なると思っている。

 現在従事しているのはリニューアル工事の現場。発注者側に提案した新技術を試験的に導入し、今後増大する類似工事の施工に役立てようとしている。「現場の安全、工程、品質を改善・向上させるための取り組みは、建設技術者にとって永遠のテーマだ」。インフラに対する人々の考え方や利用の仕方も変わってくる中で、建設産業に関わる人も技術も、時代の流れに適切に順応していくことが必要だと考えている。

 現場管理を任される立場としては、働き方改革も課題の一つ。作業員だけでなく、自身の働き方も改めて見直しているが、「家族を置き去りにして仕事をしてしまう癖がある」とも。家族の支えがあるからこそ好きな仕事に没頭できることに感謝している。

 休日のプライベートの時間は、小さな子どもたちと全力で遊ぶことを心掛ける。 何に対しても一生懸命に打ち込む姿を見せることが、子どもたちだけでなく、職場での若手の育成にもつながると信じているからだ。

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