森ビルは20日、東京23区に本社を置く民間企業約1万社を対象に実施した17年のオフィスニーズに関する調査結果を公表した。
新規賃借予定のある企業は昨年比2ポイント増の24%で、5年連続の増加となった。新規賃借する場合の希望エリアは、JRの新駅の方向性が具体化するなど話題性の高かった品川(駅周辺)が昨年の8位(12%)から2位(16%)へと上昇。大規模な開発が進む虎ノ門、田町、浜松町、渋谷などのエリアも好調だった。
調査は10月2~31日に記述式アンケートで実施。2043社が回答した(回答率20%)。
新規賃借予定があると回答した企業のうち、面積を拡大する方針の企業が59%を占めた。一方、減少予定の企業については、フロアやビルごとに分散していたオフィスを集約することで、スペースの効率化(削減)につなげるケースが増えているという。
森ビルは新規賃借の予定時期を「3年以降」と見据える企業が増加したことなども踏まえ、「企業のオフィス需要は底堅いが、新規賃借のタイミングをうかがっている様子が見られる」と分析している。
新規賃借する理由は「業容・人員拡大」(36%)が5年連続の1位。それに2位の「立地の良いビル」、3位の「フロア面積が大きなビル」に移動したいというポジティブな動機が続いた。今年は多くの産業が悩まされている人材不足を背景に、優秀な人材を確保するため「企業ステータスの向上」(14%)を目的とする企業も増えている。
希望エリア別では、日本有数のビジネス街で、再開発による新陳代謝も進む日本橋や丸の内、大手町の人気が依然として堅調だった。
一方、新虎通り(環状2号線)の開通などで注目され、昨年2位だった新橋は今年は10位以下に順位を落とした。
新橋に限らず、人気に浮き沈みのある地域について、森ビルの山口嘉寿明営業本部マーケティング部長は「ビジネス街としてのイメージを確立している最中のため、話題性が高まると人気も高まる」と指摘。ビジネスエリアとしてのイメージを定着させることが安定的な人気を得る鍵になるとしている。
このほか、今後のワークスペースの利用方針については、「現状維持」と回答した企業の割合が昨年から5ポイント減の59%だったが、その分「効率化」や「拡充」を視野に入れる企業が昨年よりも増加した。
0 comments :
コメントを投稿