2017年12月25日月曜日

【建設業の心温まる物語】中和コンストラクション(奈良県)・田中耕一さん

 ◇「目から鱗が落ちる」発想で大成功◇

 奈良県水道局の発注で、桜井浄水場から水を運ぶ施設をつくることになりました。本工事では、水を運ぶパイプの破損を防ぐため、パイプ内の圧力を調節するサージタンク(調圧水槽)をつくります。サージタンクは、ステンレスパネル(1000ミリ×1000ミリ)を溶接した1000トンのタンクです。

 私たちは、子どもたちに建設業を知ってもらうために工事現場見学会を開催しました。参加者は、小学生が20名ほどでした。タンクの組立状況や、施工完了後は見ることができないタンク内部を見学してもらいました。私は、子どもたちが水道工事に興味を持ってもらえるよう、ステンレスタンクに水道水を貯めることを分かりやすく説明できる事例を考えました。しかしいろいろ調べましたが、よい例が見つかりません。

 タンクを組み立てる協力会社に尋ねると「子どもたちがいつも身近に持っているステンレスの水筒を例え話にすれば分かり易いのではないですか」と言われて、私は目から鱗(うろこ)が落ちる思いでした。

 迎えた当日、ステンレスの水筒に水を入れ、「ここにみなさんが今持っているステンレスの水筒があります。これと同じように、たくさんの水を入れる大きなタンクを作っているのです」と説明しました。子どもたちは、自分の首にぶら下げているステンレスの水筒を手に取って「形が違うけど一緒だね」と理解を示してくれました。

 今回の見学会は大成功に終わりました。子どもたちの頭の片隅に「ステンレスタンク」が記憶に残っていてくれれば良いな、と思います。


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