2022年3月3日木曜日

【大源太川砂防堰堤を観光資源に】北陸整備局と新潟県湯沢町、観光活用で協議会発足

下から見上げた大源太川第1号砂防堰堤(北陸整備局提供)

  新潟県湯沢町にある有形文化財登録の土木施設「大源太川第1号砂防堰堤」の補強工事が完了したのを機に、砂防堰堤を核にした観光ツアーが始まろうとしている。北陸地方整備局と湯沢町は、砂防堰堤とその周辺を巡る来場者の安全対策や、行ってみたくなる心に刺さる情報発信の方法、観光ツアーのやり方などを検討し、実施する「大源太砂防設備他利活用協議会」を3日に設立する。式典には田村正幸湯沢町長、鈴木啓介北陸整備局湯沢砂防事務所長らが参加し協議会設立の覚書を交わす。

 大源太川第1号砂防堰堤は高さ18メートル、長さ33メートルのアーチ式砂防堰堤で1939年11月に完成した。その形や構造、先進的な築造技術はその後のアーチ式堰堤、高堰堤の手本になったと考えられており、2003年に登録有形文化財に指定された。

 表面に割石を使った堤体から流れ落ちる流水は天然の滝のように見え、周囲の景観とも調和している。その姿はいつしか「大源太キャニオン」と呼ばれるようになり、湯沢町の観光名所の一つとして親しまれていた。だが、完成から80年近くが経過し堰堤内部に空洞化した場所が見つかるなど劣化が進み、補強が必要になっていた。このため、北陸整備局は14年度に補強工事の準備を始めていた。

橋梁からは水が流れ落ちる様子も見学できる(北陸整備局提供)

 堰堤やダム堤体にコンクリートを打設して補強する腹付け工は、湖面の反対側の乾いた部分に行うのが一般的。これに対し同工事では堰堤表面の現在の質感を残すために、堰湖の大源太湖に面した堰堤の後ろ側(上流側)に仮締め切りで水に触れない乾いた空間を造りだして腹付け工を行うという全国的にも珍しい方式を採用した。砂防堰堤の補強工事は佐藤工業が担当した。

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