以前に「結石と釣り損じた魚のサイズは大げさに表現される」という内容の川柳を新聞紙上で読んだ。人の心理をうまくついたなかなかの秀作と思い記憶に残っている▼激しい痛みを伴う尿路結石が体外に出た時の喜びはひとしおだろう。その結石のことを話す時、釣り人が逃した魚を語るのと同じように実物よりつい大きめに表現してしまう。共感を覚える方もおられるのでは▼再発の確率が高い疾患とされるが、昨秋に興味深い発表があった。微小重力の影響で宇宙飛行士に多い尿路結石の新たな予防法が発見されたのだ▼名古屋市立大大学院の岡田淳志准教授らと宇宙航空研究開発機構(JAXA)、米航空宇宙局(NASA)の共同研究チームが、国際宇宙ステーションに長期搭乗中の宇宙飛行士に骨粗しょう症治療薬「ビスホスホネート製剤」を投与した結果、リスクを減らせることが分かった。地上でも寝たきりの人などにできやすい尿路結石の予防法に応用できるという▼宇宙滞在技術の確立には衣食住の広範な研究が欠かせない。さまざまな研究成果を宇宙と地球で相互に役立てていけば、宇宙はもっと身近になる。
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