2022年3月29日火曜日

【3件の再開発プロジェクトと連動】東京駅前の地下空間に国内最大級のバスターミナル

バスターミナル東京八重洲の全体イメージパース(都市機構提供)

  東京駅前の地下空間に日本最大級となるバスターミナルが出現する--。組合施行の三つの再開発事業に都市再生機構が参画して「バスターミナル東京八重洲」(東京都中央区)を整備している。建設される3棟の再開発ビルの地下空間を活用し、計約2.1万m2の大規模ターミナルを構築。現在路上に点在するバス停を集約することで利便性を高める。全体開業は2028年度を予定。第1期エリアが9月に開業を迎える。

 東京の玄関口である東京駅には鉄道だけでなく、多くの高速バスが発着している。八重洲南口のバス乗り場に収容しきれないバスが多く、八重洲通りの路上や、駅南側にある鍛冶橋駐車場での乗降を余儀なくされている。バスが道路をふさぐなど交通障害が発生し、利用者にとっても駅からの乗り換え効率が悪いといった課題を抱えている。

 こうした中、八重洲口の外堀通り沿いで組合施行の三つの再開発事業が計画され、一体的なターミナルを整備する機運が高まった。いずれの事業も施行者や時期が異なるため、都市機構がそれぞれの組合に参加組合員として参画。各事業でターミナル床を取得し、3地区にまたがる大規模ターミナルを整備するプロジェクトが始動。都市機構東日本都市再生本部の村上卓也本部長は「三つのバスターミナルを異なる事業で整備する初の試みになるのではないか」と話している。

再開発事業の位置図(都市機構提供)

 ターミナル整備はそれぞれの再開発事業の進捗(しんちょく)に合わせ、3期に分けて進めている。第1期は三井不動産の複合施設「東京ミッドタウン八重洲」(地下4階地上45階建て延べ28万3900平方メートル)を建設する「八重洲二丁目北地区」。ビルの基本・実施設計は日本設計。竹中工務店が実施設計と施工を担当している。ターミナル部分は地下1階のチケットカウンターと、地下2階に整備する6バース(乗降場)。来年3月のオープン予定の東京ミッドタウン八重洲に先行し、9月17日の開業を目指している。

 第2期は、第1期エリアの北側で計画が進む「東京駅前八重洲一丁目B地区」。地上部に51階建て延べ22万5200平方メートル規模の再開発ビルを建設するプロジェクトで地下1階に7バースを整備する。乗降場を地下2階に設ける第1期エリアとは直接接続しない計画だが、両敷地の間にある八重洲地下街を通じて歩行者が自由に移動できるようにする。昨年10月に着工。25年度の完成を予定している。特定業務代行者は大林組、大成建設の2社。組合には都市機構のほか東京建物、大林組が参画している。

 第3期は第1期エリアの南側に位置する「八重洲二丁目中地区」。43階建て延べ38万8300平方メートル規模のビルの地下にターミナルを設ける。地下2階に建設する乗降場は第1期ターミナルと接続し、計13バースに拡大する。東京メトロ銀座線京橋駅に接続する歩行者空間を地下1階に整備し、利用者の利便性を高める。

 着工は24年度。28年度の竣工を予定している。日建設計が基本設計を担当。実施設計と施工予定者は鹿島となっている。組合には都市機構以外に▽鹿島▽住友不動産▽阪急阪神不動産▽ヒューリック▽三井不動産-の5社が参画している。

 ターミナルの運営は京王電鉄バスが担う。運営コンセプトは「SMARTバスターミナル」。利用者が迷わないよう、サイネージやウェブサイトを通じたリアルタイムの情報発信などを視野に入れる。都市機構東日本都市再生本部都心業務部の大貫英二担当部長は「利用者に分かりやすさと安心感を提供し、活気のあるバスターミナルを目指す」としている。

工事が進行中の第1期エリアのバス乗降場(15日撮影)

 9月17日に開業を迎える第1期ターミナル。路上や鍛冶橋駐車場で発着している一部のバスを受け入れ、1日550便以上の発着に対応する予定だ。第3期が完成すると、ターミナル全体で総延べ約2万1000平方メートルの規模になる。バース数は20で1日1500便以上の発着に対応できる。

 15バースを備える「バスタ新宿」(東京都渋谷区)を上回る国内最大級のターミナル。コロナ禍で苦境にあえぐバス業界や観光業にとって復調の兆しになりそうだ。

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