能島城跡の活用・整備イメージ(整備基本計画から) |
村上海賊の本拠地「能島城跡」を保存・活用へ--。愛媛県今治市は、室町時代から戦国時代にかけて瀬戸内海で活躍した村上海賊が拠点としていた能島城の跡地整備工事に2022年度着手する。国史跡という規制の中でコンクリートなど現代工法を積極的に使えない中、自然素材で景観が変わらないようにしつつ、村上海賊の世界を体感できる展示施設を充実させる。市は22年度当初予算案に保存整備工事の費用29百万円を計上した。史跡を雨水や植生、波浪などから守る工事の初弾となる。
瀬戸内海のほぼ中央に浮かぶ能島は、村上海賊の城跡でかつては島全体が城だった。周囲は720メートル。潮流が激しく、流れを知らなければ近寄ることができなかったという。
整備基本計画によると、陸地部は本丸と二之丸、三之丸、東南出丸などの郭上に生育するソメイヨシノなどの樹木を取り除き植生による破壊を止める。その後、郭全体に厚さ30センチ程度の保護盛り土を実施し、上面に平均的な勾配が取れるように整形する。
郭から切岸に至る郭の肩部分に沿って低い土手状の高まりを巡らす。内側には盛り土内に暗きょ配水管を通す。これにより雨水を集水し計画的に海に排水させる。切岸の岩盤が露出している箇所は植生土のうと植生マットで緑化し表面を風化から守る。
海岸部は船だまりの砂浜に海砂を足してかさ上げし、水深を浅くすることで波を軽減する。切岸の崩落が著しい鯛崎島の東西両方の海岸には、自然石による消波のための捨て石工を行う。城内の園路は現在の動線を引き継ぎつつ全面的に改修する。
能島は南部の船着き場に安全に上陸できるように設備を改修する。三の丸のあずまやを撤去し、復元的建物を設置する。発掘調査で見つかった建物跡や鍛冶遺構などの場所に平面表示するなど、当時の能島城の様子が分かる展示解説を計画している。整備事業は、短期計画(21~30年度)と長期計画(31年度以降)に分けて実施する。
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