2018年2月7日水曜日

【現場を担う-監督×職長】川崎市鈴木町西計画新築工事(長谷工コーポレーション)

 ◇大規模マンション建設でタッグ◇

 川崎市内のマンション建設現場で活躍する長谷工コーポレーション建設部門第三施工統括部の三村真理さんは、入社2年目。現場監督として、手戻りのないよう計画や段取りを考えることを特に気を付けている。現場で一緒になって施工に当たる職人たちは良きパートナーと考えており、安全、品質、工程、施工をきちんと管理し、「早く一人前になることが今の目標」と意気込みを語る。

 三村さんが従事するのは、住友不動産による「川崎市鈴木町西計画新築工事」。京急大師線鈴木町駅から徒歩3分の立地に、15階建てのマンション5棟、総戸数475戸を同時に建設する大規模プロジェクトだ。国道に面した現場は、資機材の搬入もスムーズに行えるなど施工環境に恵まれている。16年6月に着工した現場では躯体が立ち上がり始め、鉄筋工事が大詰めを迎えている。


 ◇職人のことを考えられる技術者に◇

 鉄筋工の職長として三村さんとタッグを組む横浜共立鋼業(横浜市)の喜納正さんは、長谷工が施工する現場に10年以上携わってきた。「長谷工は、協力会社を大切にしてくれる」と互いに深い信頼関係が構築できていることを強調する。現場は全体的に雰囲気が良く、そうした環境で働かせてもらえるからこそ、「今後も長谷工の社員の皆さんと一緒に、安全で品質の高いマンションを造っていきたいと思えるようになる」と話す。

 大学時代に建築学を専攻した三村さんは、サークルでものづくりに携わる活動をしてきた。そこで大きな建築物も職人一人一人の手によって丁寧に作り込まれることを知り、「将来は職人と共に大規模建築物を造りたい」と考えるようになったという。

 マンション事業に特化した長谷工への入社を決めたのは、「協力会社との信頼関係が強く、仕事もしやすいと先輩から聞いた」ことがきっかけ。女性の現場所長がいて、女性活躍の取り組みが活発なことも志望理由となった。

 入社後初めて従事するこの現場での三村さんの主な業務は、鉄筋を組み立てる配筋工事が構造図、設計図書、施工標準書通りに行われているかをチェックすること。躯体を構成する鉄筋工事、型枠工事、コンクリート工事が終了したフロアでは、その後の内装工事の管理にも携わる。

 配筋の確認は細かいチェックが必要で、多くの知識も求められる。最初は各図面を確認するだけでも、多くの時間を費やした。日々試行錯誤を繰り返す中で、喜納さんをはじめとする職長や職人たちが熱心に説明してくれ、現場で行うべき業務への理解が進んだ。「配筋検査をメインで任せてもらえるようになったのは、大きなやりがいとなった。喜納さんにもさまざまなことを教えてもらった」と感謝を口にする。


 ◇現場でのコミュニケーションが大切◇

 現場監督の三村さんを支える喜納さんは沖縄出身。今から30年以上前、17歳の時に上京して千葉県の鉄筋工事会社に就職し、鉄筋工としての道を歩み始めた。沖縄時代に大工などの経験もあって建設業にはなじみがあったが、いざ鉄筋の仕事に就いてみて「自分に向いていると実感した」と当時を振り返る。

 横浜共立鋼業で職長となった喜納さんが一番心掛けるのは、「現場でのコミュニケーション」。同僚や他工種の職人はもちろん、現場監督を含めて意思の疎通を図ることは、円滑に工事を進める上で欠かせない要素となる。喜納さんの息子たちと同世代の三村さんの存在は、「娘のようであり、親近感がある」。そんなこともコミュニケーションを図る上で役立っている。

 今の現場で女性の監督は三村さんだけ。嘉納さんのような頼れる存在もいるが、悩みは少なくない。男性と比較して、体力や筋力などの差を感じることもある。それでも、現場監督は体を動かすよりも、「段取りをして、職人の皆さんがしてくれた仕事をしっかりと確認することが大切」と自らに言い聞かせる。体力面では男性に勝てない面をカバーするためにも、職人たちに分かりやすく施工の説明ができるよう、事前の準備やコミュニケーションに気を配りながら日々の業務に当たる。

現場の作業ではマニュアルに書かれていないことも多いが、職長の姿を見たり、話を聞いたりすれば、次第に分かってくる。その上で施工の指示や段取りを伝えることで、より良い関係が構築できると考えている。

 「将来現場を任されたとき、職人の皆さんが仕事をしやすい環境を与えられるようになりたい」。三村さんは自分の夢をそう語る。

 《工事概要》

 【工事名】 (仮称)川崎市鈴木町西計画新築工事

 【発注者】  住友不動産

 【設計者】  長谷工コーポレーションエンジニアリング事業部

 【施工者】  長谷工コーポレーション建設部門第三施工統括部

 【工事場所】 川崎市川崎区大師駅前2の1の14

 【構造規模】 RC造地上15階建て延べ3万8226平方メートル

 【建築面積】 4402平方メートル

 【工期】   16年6月~18年12月

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