現地保存する高輪築堤の橋梁部(JR東日本提供) |
JR山手線の高輪ゲートウェイ駅(東京都港区)周辺で出土した鉄道遺構「高輪築堤」について、萩生田光一文部科学相は1日の閣議後の記者会見で「早ければ夏ごろにも文化審議会(文化審、文科相の諮問機関)に諮問し、史跡として指定したい」と表明した。文化審は年内にも史跡指定を答申する見通し。通常は史跡指定に数年かかるが「港区から早期の史跡指定を期待されている」などとし、適切な保存整備に引き続き取り組んでいく方針だ。
高輪築堤は1872年に日本で初めて開業した鉄道路線の一部。JR東日本が進める品川開発プロジェクトで都市計画決定されたI期の1~4街区と、構想段階(II期)の5、6街区にわたり約800メートル出土した。
菅義偉首相は5月29日に高輪築堤を視察し「まさに文化遺産。素晴らしい。しっかり次の世代に引き継いでいくことが大事だ」と述べ、国の史跡指定に前向きな姿勢を示した。同行した萩生田文科相は「150年前をほうふつする非常にどきどきするような視察だった。貴重な文化遺産であることを改めて感じた」とし文化審への諮問に言及した。文化審の文化財分科会は3月に「現地保存されれば、国の史跡として指定するに値する」と表明している。
JR東日本は4月に高輪築堤の調査・保存方針を公表した。橋梁部を含む約80メートルと公園隣接部の約40メートルを現地保存し、信号機土台部を含む約30メートルを移築保存する。区教育委員会と連携して記録保存調査も進める。2024年度の街開きを目指している。
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