2021年6月22日火曜日

【駆け出しのころ】長大取締役事業推進本部長・大野浩伸氏

  ◇社内外で信頼関係築く◇

 古墳や遺跡が好きで地図にも興味があったこともあり、最初は航空測量の会社に就職しました。営業職として官公庁を中心に回り、熱意あふれる上司には営業で同業他社に勝る方法やポイントなどを教わりました。

 仕事に対する面白みは感じていたのですが、転勤のサイクルが早く、遠方の営業所で身近に友人が少ないという生活環境に多少の不満を抱いていたほか、より大きなマーケットでさまざまな業務の受注に携わりたいという気持ちが強まりました。

 縁あって長大に入社後は、東北管内の官公庁へのPRや特記仕様書関連の提案などを基に営業活動を展開。分からないことがあれば、橋梁や道路、交通、情報、環境など、当社の基幹事業である各分野の先輩技術者らに懇切丁寧に教えてもらいました。

 技術者の方々と一緒に仕事を進める中で、自分も幅広く知識を身に付けなければと思い、30代半ばにはRCCM(シビル・コンサルティング・マネジャー)を取得しました。若いころはとにかく知識を蓄積することに貪欲でした。

 技術で商売している会社ですから、やはり営業する上で自社の商品知識を頭に入れておく必要があります。会社の商品である技術を売り込むためには、文系だからと技術のことを学ばないわけにはいきません。技術者は専門・担当分野がある程度固まっていますが、営業職はやる気と前向きな気持ちさえあれば、さまざまな分野に自ら飛び込んでいけます。

 営業マンには発注者と自社を結び付けるコーディネーター的な役割も求められると思います。両者の真ん中に立ちながら、受注活動から実際の業務まで円滑に事が運ぶためのマネジメントを担う。時には発注者の立場になって、評価を高めるポイントを自社の技術者に助言したり、逆に発注者のニーズや困りごとに対して自社が持つ知見や人材を紹介したりする。さまざまな形で周りの方々と連携しながら、最終的に受注に結び付いた時が一番うれしいです。

 それぞれの業務で適任の技術者を算段できるのも、仕事の中で築いた人間関係、信頼関係があればこそ。発注者はもちろん、自社の技術者など社内外の人たちとの信頼関係は、対面で直接コミュニケーションを取り合う過程で築かれていくものです。

 コミュニケーションの取り方が多様化し、オンラインなどデジタル社会がどんなに進展しても、対面で会話することの大切さは変わりません。むしろこれまで以上に重要になります。

 営業、技術職の違いは大した問題ではなく、一人の人間としていかに信頼されるか。駆け出しのころの真摯(しんし)な気持ちを忘れずに、これからも皆さんと一緒に成長していきたいと思います。

入社2年目ころ、社内の道路情報WGの打ち上げで
(中央が本人)

 (おおの・ひろのぶ)1984年東海大学文学部史学科卒。航空測量会社で11年勤務した後、長大入社。執行役員事業推進本部副本部長、技術統轄センター次長などを経て2020年12月から現職。東京都出身、60歳。

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