水戸市が木造で再建していた「水戸城二の丸角櫓(すみやぐら)」が完成した。26日に開いた記念式典には高橋靖市長、水戸徳川家当主の徳川斉正氏、地元関係者、施工を担当した株木建設の株木康吉社長らが出席。高橋市長は「昨年の大手門復元に続き角櫓の竣工で三の丸エリアのハード整備はほぼ完了した。今後はソフト事業が大事になる。愛される施設になるよう利活用したい」とあいさつした。式典後にはテープカットで完成を祝った。
角櫓の所在地は三の丸2。天守の無かった水戸城は5カ所の物見櫓が象徴になっていた。二の丸角櫓は1776(安永7)年の焼失後に再建され、明治時代に解体されたとされる。
市は江戸時代の絵図や明治時代の写真を元に2018年から復元工事を実施してきた。規模は木造2階建て延べ128平方メートル。壁は白しっくい仕上げ、屋根は本瓦葺(ぶ)き。江戸時代の遺構に盛り土をして遺跡を保護。一部の礎石は江戸時代のものを使用している。内部は復元工事の様子や水戸城の歴史を紹介するパネル展示スペースになっている。
設計・施工監理は文化財建造物保存技術協会。株木建設・豊島工務店・アルプス建設JVが施工した。再建に当たっては、宮大工や左官など可能な限り県内の人材を呼び寄せた。屋根の土居葺きは県内に技能者がおらず、岐阜県内の職人に依頼した。柏崎建雄所長(株木建設)は「何十年後に補修することを考え、技術継承のためにも地元でできることは地元でやりたかった。文化財の工事自体が少なく、職人が高齢化していて難しい面もあった」と工事を振り返った。
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