国土交通省は関係府省らと共同でまとめた報告書「テレワーク人口実態調査」を公表した。就業者のうち2020年度にテレワークを実施した人は19・7%で、19年度の9・8%から倍増。過半数が満足し継続を望んでいた。
国交省はテレワークの普及を促進して東京一極集中の緩和につなげたい考えだが、調査では大多数の人が都市部での生活を続けたいと考えている実態も明らかになった。
調査は約4万人の就業者を対象に、ウェブ形式で昨年11~12月に実施した。建設や採掘、輸送といった職種の人は約12%含まれる。
職場にテレワーク制度が導入されていると答えた人は38・8%。19年度の19・6%から倍増した。最初に緊急事態宣言が出された20年4~5月のテレワーク実施率は首都圏で31・4%と高水準に。一方で三大都市圏を除く地方部は、建設業や農林水産業で働くエッセンシャルワーカーが多く、実施率は13・6%にとどまった。
調査は企業や公共機関などに雇用され、テレワークを経験した約8200人を「雇用型テレワーカー」と定義。うち約64%は満足し、約82%が今後も続けたいと答えた。導入で業務効率が上がったと答えたのは約70%。問い合わせへの対応や会議が減り、仕事に集中できたという。通勤時間が減り、時間を有効活用できたといった声もあった。
一方で課題も浮き彫りになった。業務に支障があったり、勤務時間が増えたりするなどで「勤務状況が厳しくなった」と回答した人は46・7%とほぼ半数に。自宅の机やいす、インターネットなどの環境が不十分で「不便だった」と答えた人は35・2%いた。
就業者からは、直接確認すればすぐ済むことでもメールのやりとりが必要になり、業務効率が落ちたといった声が上がった。上司や同僚とのコミュニケーションが行き届かず、仕事に手戻りが発生したと振り返る人もいた。昨年11月までに一度でもテレワークを経験した人のうち、同12月にも継続していた人は69・1%。中断していた人も28・6%いた。
ワーケーションや地方移住の意向に関しても調査項目を設けた。就業者のうちテレワークの広まりをきっかけに、転居を具体的に検討している人は4・1%。国の思惑に反し、少ない結果になった。「転居の希望はあるが、都合により転居できない」と答えた人も2・6%だけだった。
転居希望者も、大部分は都市部での生活を続けたいと考えていた。首都圏在住の人が転居先の希望として挙げたのは、東京都内が26・9%で最大。近畿圏居住者は大阪府内、中京圏に住む人は愛知県内が最大だった。転居希望者のうち19・8%が、地方部への転居に関し「交通利便性や子供の教育環境、医療環境への不安」を課題に挙げた。
シェアオフィスやコワーキングスペースといった共同利用型オフィスは、雇用型テレワーカーの38・2%が利用意向を持っていた。17・9%は「条件が合えば主な勤務場所として使いたい」、13・8%が「都合により時々利用したい」と回答。「主な勤務場所として常に利用したい」人は6・5%だった。
施設に求める要件を複数回答可で聞いたところ、「インターネット環境が快適」が約62%と最多。次いで「セキュリティーが確保されている」の約40%、「施錠できる個室がある」の約31%が続いた。利用料金はテレワーカーのうち約21%が「月額1000円未満」を希望。「月額1000~4999円」なら利用すると答えた人は約20%いた。
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