2021年11月10日水曜日

【回転窓】小間割かけろ

  「小間割(こまわり)」。国語辞典を引くと江戸時代の小間を単位とする賦課方法で、町人に対する税とある▼税用語として今は聞くことはないが、建設現場ではいまだに使われる。親方が職人にこう言う。「きょうは小間割かけろ」。この場合、職人1人当たり1日分の作業量を決めて請け負わすことを指す▼頼んだ仕事を終えれば早く帰っても良い。あるいは1日で出来そうにない仕事量を残業してでも終了させれば割増賃金を払う。そんな時に使う。職人は小間割となると喜んで普段以上の力を出すという▼建設業に対する時間外労働の罰則付き上限規制の適用まで2年半を切った。各団体の労働時間調査を見ると、現場の労働時間はここ数年でかなり短縮された。ただ専門工事業は重機を現場に運ぶ移動時間の問題や日給月給制度による給与の減少など、解決しなければならない課題も少なくない▼現場で働く人たちの賃金を下げずに休暇を増やす。働いた分だけ払うのが職人の世界だが、本当に休暇を増やしながら賃金を維持できるのか。毎日小間割かけてもおそらく厳しいだろう。やはり受注価格を上げていくしかない。

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