2021年11月29日月曜日

【新水門で減災防災と地域活性化】新安治川水門アイデアコンペ、最優秀賞に川村宣元氏の「海の大手門」

  大阪府は、安治川水門(大阪市港区弁天6)の上流側に設ける新水門のアイデアコンペで川村宣元氏(川村宣元建築設計事務所)の作品「海の大手門」を最優秀賞に選んだと25日発表した。

 安治川河口は千石船の停泊地で大阪の海の玄関口だった歴史を踏まえ、風格と防備機能を備える大阪城大手門が水門に通じると解釈、「洗練・風格・堅ろう」と歴史を新水門デザインに反映。周辺エリア案では現水門の保存公園案や近隣商店街の活性化策を示した。

 新水門の上部・下流側の幕板は、大手門のひさしのようなデザインとし、太陽光発電パネルを設け夜間照明の電源を確保。柱頂部のゲート巻き上げ機構を設ける機械室には大きな明かりを設ける照明室を加える。上部・上流側は「優しく透過性のある表情」とし、新水門の管理棟は「安定感のある台形」を採用。

 弁天町エリア整備は、水門と弁天埠頭公園、オーク弁天商店街を関連付けた。現水門管理棟跡地に水門を見る公園を、弁天埠頭公園にはアーチ型の現水門を保存する安治川水門記念公園を提示。オーク弁天商店街は街区ごとに植える木を変えリズムをつくる。安治川護岸は地域に根付くスケール「隠れたるスケール」に基づき堤体を分割し、端部は角度を付けて重ね合わせる。川の駅も提示した。

 川村氏のプランに対し、コンペ審査委員は「川の駅のデザインなどがユニーク。大胆さと現実性を兼ね備えたランドスケープが地域全体の活性化につながることを期待させる」「隠れたるスケールという概念を利用した護岸デザインも具体的で秀逸」と評価。

 「新安治川水門アイデアコンペ」(後援=土木学会)は新水門と管理所敷地、港区弁天町周辺エリア、安治川水域(北区中之島~此花区夢洲)を対象に実施。9点の作品が寄せられ、1次審査で6点に絞った。

 最優秀賞以外の入賞作・提案者は次の通り。

 【優秀賞】守り、干渉する、すいもん=桝谷英弥、畑喬介、渡瀬遣太、毛利祐輝(京都大学大学院)

 【奨励賞】帰ってきた「まちみなと」 Benten Biennale=水野裕介、近藤美沙希、坂元泰平(大日本コンサルタント)▽NEW GATE ベイエリアと都心部を結ぶ場所=長谷川夏輝、上埜由美子、王永成(富山大学)▽BENTEN2050=小林諒(佐藤総合計画/yuureibool)、宇田川剛(同)、田中達大(トライコーン/yuureibool)、木下翔太(ケーティーマシナリー/yuureibool)

 【審査員特別賞】木村昌弘(大阪大学)、岡崎善久(岡崎善久建築設計事務所)、加藤創一(近畿大学)、河西茂行(地球デザイン研究所)。

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