半導体受託製造で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が熊本県菊陽町の第二原水工業団地に半導体工場を建設する。設備投資額は約8000億円に達し、政府の支援を受ける予定だ。
同団地21・3ヘクタールに建設する新工場は2022年に着工、24年末までの生産開始を目指す。工場建設に先立ち、事業に出資するソニーグループは8月から鹿島の施工で造成に入っている。
ソニーセミコンダクターソリューションズ(SSS、神奈川県厚木市、清水照士社長兼最高経営責任者〈CEO〉)は約570億円を出資し、TSMCと半導体製造受託サービスを提供する合弁会社・JASMを熊本県内に設立する。JASMは年内に菊陽町との間で第二原水工業団地への立地協定を結び、事業用地として取得する予定だ。
新工場は、産業界で広く利用されるロジック半導体を月間4万5000枚(300ミリウエハー)生産する能力を備える。約1500人の先端技術に通じた人材を雇用するという。SSSの清水社長は「当社だけでなく、産業界全体のロジックウエハーの安定調達に寄与する」と期待する。
政府は、世界的に逼迫(ひっぱく)する半導体を確保するため、半導体工場の国内立地支援を盛り込んだ経済対策を19日にまとめる方針。必要な法整備を年内に終え、支援第1号となるTSMC日本工場に投資額の半分程度を補助する見通しだ。
大型工場を受け入れる菊陽町の後藤三雄町長は「大きな投資、多くの雇用などによる菊陽町、熊本県の経済活性化につながる」、熊本県の蒲島郁夫知事も「熊本地震からの創造的復興を目指す県にとって、50年後、10年後に向けてポテンシャルを大きく高める、シンボルとなる」とコメント。半導体の国内生産で国全体の経済安全保障に大きな役割を果たすことになるとの見解も示した。
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