2021年11月29日月曜日

【回転窓】次の獲物

  朝晩に冷え込む日が増えて、東京湾の海釣り公園はアジの釣果がだいぶ落ちたという。「小さなお子さんが満足してくれるイワシは爆釣なのだけれど」と施設の管理担当者が話していた▼それでも房総半島の南の漁港は、地元の常連さんが20センチを超えるアジを連日釣っている。こつを聞くと、仕掛けと狙い場所、餌の配合を丁寧に教えてくれた。「たくさんいるよ、みんなで釣ろう」。温かい善意を別の誰かにつなげたい▼味覚の多い時期。一年中食卓に並ぶことの多いアジも工夫次第でさらにおいしく感じられると、料理番組が薦めていた▼しっかり研いだ包丁で手際よくさばき、骨抜きに時間をかける。葉が膨らんでいる新鮮な大葉を選び、みじん切りしたショウガやネギを添えて、両手の包丁でリズム良くまな板の上でたたく。調理動画の通りでも、おいしいたたきが作れるのはこの時期ならではなのかもしれない▼釣り方に調理の手順など、食材が食卓に並ぶまでに学べることは数多くある。房総半島の北西、千葉・銚子港は例年よりひと月遅れで先週、ようやくサンマが水揚げされた。ぜひ次の教材にさせていただこう。

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