2015年11月30日月曜日

【キャッチコピーは〝現場は熱い!〟】東建、若者入職促進へ広報冊子作成


 東京建設業協会(東建、飯塚恒生会長)は、若者の入職を促すための新しい広報冊子「on your mark」=表紙=を作成した。「現場は熱い!」というキャッチコピーに基づいて、「創造」「やりがい」「チームワーク」に焦点を当て、仕事の内容や魅力を紹介。若い技術者や設計者の1日のタイムスケジュール、若手職員100人のアンケート結果、ベテラン所長の「駆け出し時代」などを掲載している。建設系学科のある大学、専門学校、ハローワークに配布。合同企業説明会でも配る。

 冊子は、事業委員会広報研修部会が主体となり、「入職してもらいたい思い」を込めて作成したという。3万部用意した。冒頭では、若手技術者が土木の醍醐味(だいごみ)や、高品質なものづくりへの思いを語っている。100人アンケートには、「『未来を創る』という仕事を誇りに思う」といった先輩のメッセージと共に、「尊敬できる上司がいる」(回答結果82%)など10項目の結果を記載した。

 冊子について、秋場俊一副会長は「仲間意識を持って、やりがい、誇り、喜びを感じながら仕事を行っていることが伝わる」と評価しており、東建は就職を控える学生に建設業の魅力を積極的にアピールする方針だ。

【水都・東京、復活】大林組が水上都市構想発表


 大林組が、2020年東京五輪後に描く「スマート・ウォーター・シティ東京」建設構想を発表した。かつて「東洋のベネチア」と称され、暮らしの中に水が豊富にあった水都・東京の姿をよみがえらせる試み。水都にふさわしい洋上のランドマーク「東京ウェルカム・ゲート」の整備や都心部の降水を大量に貯留し循環活用する「スマート・ウォーター・ネットワーク」の構築などを提案している。

 構想は、建設にまつわる文化を考察、紹介する広報誌「季刊大林」(56号)に、技術陣の誌上構想として掲載した。

 東京は現在、水源不足、渇水、洪水など水環境を取り巻く課題を抱えている。構想では、貴重な水源を適正にマネジメントしながら有効に利活用する現代の水都を検討。都心部に水の流れを復活させ、水上交通としても活用する「水路復活」なども提案している。

【凜】住友大阪セメント建材事業部東日本営業グループ・川瀬彩さん


 ◇より良い製品、より多く提供したい◇

 研究開発を通じてものづくりに携わりたいとの思いから大学進学時に化学専攻を選んだ。大学ではセメントに関する講義があり、受講する中で興味が湧いたという。「長い歴史の中でセメントに取って変わるものはない。主原料には国産の資源(石灰石)を活用していることに加え、今でも進化を続けている。そこに魅力を感じた」と入社の動機を話す。

 2005年に入社後、技術グループへ配属。13年に営業部に異動となった。現在は橋梁や構造物などに使われる補修材を主に取り扱う。「技術分野から営業に回ったことで、提案の幅も大きく広がると思う」と日々の仕事への意欲を語る。「建材事業部は開発や製造、販売といった一連の流れを見て学べるので、とても楽しい」とも。

 現場に足を運ぶ機会も多い。「現場を訪ねると、お客さんの声を直接聞けるので、求められている製品を敏感にキャッチできる。それを日々の営業や提案にも役立てている。現場の声を研究開発チームでも共有し、より良い製品の開発にもつなげている」。

 仕事でやりがいを感じるのは、「自分が販売した材料が実際の構造物に利用されているのを見た時」だ。

 今後、補修材のニーズはまだまだ広がると思っている。「その分野でトップシェアを取りたい。現場の高齢化や人手不足にも対応できる製品を今よりも多く提供し、生産性向上にも貢献していきたい」と夢は広がる。

 (かわせ・あや)

【中堅世代】それぞれの建設業・118

期待を胸に入社した新入社員に研修担当者は何を語りかけるのか…
 ◇身近な存在から敬遠される立場に◇

 2020年東京五輪に向け、好況に沸く建設業界。生産体制の維持や、いびつな年齢構成を是正するため、新卒採用の拡大に乗りだす企業も少なくない。剛田武さん(仮名)は、就職氷河期といわれた10年前に準大手ゼネコンに事務職として入社。本社の人事部で採用や研修を担当するようになって今年で5年目を迎える。

 剛田さんの会社は、社員の8割近くが大学や専門学校で土木や建築などを専攻した技術職が占める。採用活動では必然的に理系の学生と接する機会が多くなる。「最近は求人の増加で売り手市場。学生の大手志向は変わらない。滑り止めで当社を受け、内定を出しても入社してくれない学生もいる」と嘆く。

 若い世代はインターネットを駆使した情報収集にたけている。ホームページなどで会社のことをよく調べてくる学生も多い。ただ、そうした知識よりも人物重視の選考を心掛けている。建設業ほどコミュニケーション能力が問われる仕事はないと考えるからだ。「現場では発注者や職人、近隣住民と相手にする人の年齢や職業はさまざま。ものづくりだけしていたのでは務まらない」。

 人事部に配属される前は、地方の支店や営業所で現場事務を担当していた。入社後最初の配属先は大型商業施設の現場で、事務員は自分一人。右も左も分からないなりに、資金の管理や現場に入る協力会社の安全書類の作成などに奮闘した。資材を買ってきて現場に運搬することもあった。日付が変わるころに寮に帰る忙しいながらも充実した日々を送った。

 所長は社内でも名の通った厳しい人だった。同じミスを繰り返し、蹴られたことも一度や二度ではない。「お前に期待しているからこそ、きつく当たった」。竣工間際に現場事務所で所長と二人きりになった時に言われた言葉が今でも忘れられない。

 この現場では着工から竣工まで見届けた。「完成した時よりも、商業施設がオープンし、お客さんが来ているのを見た時に感動した。建設業は人の生活を変えられる。事務方だって一緒だと」。

 採用担当は、学生と会社を橋渡しする最初の窓口。入社前から親身になって相談に乗る。そうして入社した学生を今度は社員として研修する。そうなると立場が一変。「会社の文句を言うと査定に響く」と敬遠されるようになった。辞めていくとすぐに人事担当者のせいにされてしまうのもつらいところだ。

 「待遇は確かに大手には劣る。ただ、当社は人が少ない分、責任のある仕事を早くから任せてもらえる。歯車の一つで終わらない」。自社の魅力をそう語る。

 そして何よりも人だ。「この会社には素晴らしい人がたくさんいる」。いつも思い出すのは、最初の現場で出会った所長の顔だ。人前で話すのは苦手だったが、面接や研修では、現場で周囲に怒られたり助けられたりしながら仕事を覚えていった自分の経験談を話すようにしている。

 「この会社で働いていることを誇りに思えるようになってほしい。そのためにもみんなの頑張りが報われる会社にしなければ」

 人事という仕事には会社を変えられる力がある。そう信じている。

【サークル】日立建機 陸上部


 ◇メンバーは精鋭ぞろい、さらなる実力アップめざす◇

 1965年、現在の日立建機の前身の一つである旧日立建機の設立と同時に活動を開始。今年で半世紀を迎えた老舗クラブだ。

 以前から茨城県内で上位のレベルを保っている伝統のクラブとして活動を展開。現在は茨城県内5工場の社員を中心にランニング好きが結集し、35人が所属。より高いレベルを目指し、忙しい仕事の合間を縫って日々、練習を重ねている。

 日立建機がメーンスポンサーを務める「かすみがうらマラソン」に出場するほか、茨城県内の選手権やトラックレース、市民マラソン大会などにも積極的に参加している。

 選手の中には100メートル10秒58の記録を保持し、13年日本高校ランキング6位の若手部員も在籍。さらに10年ほど前に24時間走で230キロを走り続け、24時間走世界選手権の日本代表になった部員も籍を置く精鋭ぞろいのクラブだ。

 監督を務めるのは、ロングタイプのトライアスロン大会で上位に入る実力をもつ橋本健一さん(生産・調達本部常陸那珂製造部常陸那珂製作課)。「部員同士が楽しみながら活動し、レベルの向上を図っていきたい。陸上部の伝統を絶やさないためにも、若手社員に興味をもってもらい、気軽に参加してもらえるクラブを築いていきたい」と語る。

【駆け出しのころ】岩田地崎建設執行役員建築本店建築部長・佐藤護氏

現場で購入したデジタル一眼レフカメラを使い
事務所のスタッフと撮影した一枚
 ◇社会人、プロとしての対応を◇

 入社して3年目ごろまでは、現場で何も分からずに働いていました。でも、自分で一つだけ決めて実践していたことがあります。それは、先輩や職人さんから何か言われたらすぐに行動すること。それも、「もう行ってきたのか」「もう取ってきたのか」と言ってもらえるくらいに早く動こうと心掛け、10階建てぐらいの建物なら1階から駆け上がってすぐに戻ってきていました。そんなことしか目立つことができず、当時はそれだけ体力もあったのだと思います。

 ようやく少しずつ仕事が分かってきたのは、4年目ぐらいからです。現場の所長が先生のような方でして、私たち若い社員を集めて安全管理や品質管理などに関わるいろいろなことを教えていただきました。まるで学校の授業を受けているかのようで、この方から学んだことは大きく、今も感謝しています。

 これまでにいろいろなことを経験しましたが、20代後半にこんなこともありました。自分が施工を担当したビルの店長さんと、年が近いこともあって仲良くさせていただき、ある晩、そのビルの近くで食事をご一緒していた時のことです。外から消防車のサイレンが聞こえたため、気になってビルを見に行くと、隣の建物からものすごい火柱が立っていました。

 道路には既に消防の指揮所となる机が並べられてあり、消火活動のために店のシャッターがチェーンソーで壊されているところでした。私たち二人は慌ててビルの中に入って屋上に行き、自家発電機を回して火が燃え移らないように放水しました。危ないので止められましたが、店長さんは自分の店に、私は自分が建てたビルに何かあってはいけないという一心での行動だったと思います。

 しばらくして隣の建物の火は消されましたが、店の中には煙や水が入ってしまい大変な状況でした。このため、翌日も平常通り営業できるよう店の皆さんと夜を徹して復旧に当たりました。

 高校や大学を卒業して会社に入ってきた人に、私は同じ社会人として一緒の目線で話すようにしています。会社の一員になれば、新人であろうと建築のプロと見られます。

 例えば家を建てる親戚がいる人からは、建設会社に入社したのだから何かためになることを教えてほしいとお願いされるかもしれません。その時に分からないといって門前払いしてはいけません。社会人としてしっかり対応する意識を持ってもらいたいものです。分からなければ私たち先輩に聞くなどすればいいのです。そして若い人たちには建築のプロとして、技術とセンスを伸ばしていってほしいと期待しています。

 (さとう・まもる)1973年小樽工業高校建築科卒、岩田建設(現岩田地崎建設)入社。建築部建築課工事長、建築部次長、建築部部長、建築部長を経て、13年6月から現職。北海道出身、61歳。



2015年11月27日金曜日

【M記者、錦織選手に接近】LIXILが会見、さて主役はどっち?

今や人気NO.1のアスリート。ATPランキング8位は伊達じゃない
 テニス・錦織圭選手やJ1鹿島アントラーズ、ラグビートップリーグやアメフト・ディアーズなど、幅広く日本のスポーツを支援しているLIXIL。社員には車いすバドミントン選手として世界で活躍する長島理選手がいる。そのLIXILが26日、2020年東京五輪のスポンサーとなることが発表された。国内最上位に位置づけられるゴールドパートナーとして五輪開催を支える。

会見で記者の質問に答える錦織選手㊨と藤森社長
 東京都内で行われた発表記者会見には、LIXILが4月からパートナー契約を結んでいる錦織圭選手が祝福に駆けつけた。錦織選手と藤森義明社長のミニトークショーでは、錦織選手がLIXILからフロリダの自宅にシャワートイレを提供してもらったエピソードを紹介し、「米国にはあまり温水洗浄機能付きトイレがないので、自宅で日本のものを使えるとリラックスできる」と支援に感謝した。シャワーもLIXIL製の商品をつけてもらったところで、「まだ使ってないのですが、楽しみにしています」と錦織選手。藤森社長は「役に立ててうれしい」と満面の笑顔だった。

社長、表情が硬いです
 2020年東京五輪について質問された錦織選手は「僕も30歳なので、ちょうどいい年。さすがにフェデラーもいないと思いますし」と冗談なのか本気なのかわからない返事。天然ぽいところも魅力。英国でのツアーファイナルを終え帰国後は連日イベントに出席している錦織選手だが、時折見せる厳しい顔に、カメラのディスプレー越しに親戚のおばちゃん気分ですこし心配してしまった。


【回転窓】大横綱の猫だまし

 相撲の立ち合いで、相手の眼前でパンッ!と両手を打ってひるませる珍技「猫だまし」を、1992年公開の映画「シコふんじゃった」(周防正行監督)で知った。大学の弱小相撲部の奮闘ぶりをコミカルに描いた作品で、竹中直人さんふんするキャプテンが強敵を相手にした時の秘策とうれしそうに語っていた▼大相撲九州場所10日目(11月17日)。関脇栃煌山を相手に横綱白鵬がこれを2度も繰り出して勝った。取組後に土俵で見せた表情は自信に満ちあふれていたが、9年連続年間最多勝の大横綱が、格下相手に珍技を使うとは▼現役時代「技のデパート」の異名を取り、猫だましも駆使した相撲解説者の舞の海秀平氏は「ファンサービスかもしれない」と評したが、苦言を呈したのが、20日急逝した北の湖日本相撲協会理事長や横綱審議委員会の面々。「横綱としてやるべきことではない」▼評価は分かれるところだ。角界の将来を誰よりも考える白鵬にしてみれば、会場を盛り上げたい一心だったのだろう▼モンゴル出身の大横綱にここまでさせる日本人力士たちのこれからが試されている一幕でもあった。

【アスファルトも奥深い】NIPPO九州支店、合材工場に工高生招待

 NIPPO九州支店(真田昭彦支店長)は25日、佐賀県多久市の佐賀合材工場に佐賀県立唐津工業高等学校の生徒を招き、体験学習・見学会を開いた。土木科の2年生36人と教諭の計38人が参加し、将来の自分が携わる土木技術を肌で感じていた。

 はじめに九州支店合材部の横田明史係長が「アスファルト舗装は、交通の質や量などの条件を考慮して適切な材料を配合している」と説明。続いて生徒たちは、用意されたストレートアスファルト、改質アスファルトのサンプルを手に取り、硬さや伸びの違いを体感した。また、密粒度アスファルト混合物とポーラスアスファルト混合物の供試体に水をまき、表面撥水(はっすい)と浸透撥水の違いを体験し、驚いていた。道づくりの最先端の技術に触れた生徒たちにとって有意義な一日になった。

 見学会後、片野辰彦工場長は「生徒にアスファルト舗装や舗装会社を知ってもらう良い機会になった。これを機に道づくりに興味を持ってほしい」と呼び掛けた。生徒の代表者は「学校で習った内容が実際にどのように行われているかを知ることができた。今日の見学会を糧に頑張って勉強していきたい」と決意を新たにしていた。

 引率した中嶋孝一教諭は「アスファルト舗装は、学校での実地授業が縮小されており、このような見学会は貴重な経験になる」と話した。NIPPOは今後も現場見学会などを開き、工業教育に協力していく考えだ。

【山手線一周、凄いよ】アジア航測、リアル3D都市モデルを販売



アジア航測は、航空機に搭載した最新のデジタルカメラ(オブリークカメラ)で撮影した画像を使って作成した「リアル3Dモデル・アーカイブ」の販売を12月1日に開始する。価格は1平方キロメートル当たり9万2000円。範囲は東京の山手線内約100平方キロメートル。専用ウェブサイトで販売する。

オブリークカメラは複数のカメラで構成し、直下だけでなく、その前後左右の画像を同時に取得できるため、建物の壁面情報などを効率よく広範囲で取得できる。

 同社が提供する3Dモデルを利用すると、携帯電話の通信の障害となる建物を事前に把握し、基地局を効率的に配置したりすることが可能になる。3Dモデルの上に別途作成したデータを重ねることでバーチャルリアリティー空間も表現できる。モデル空間の中にCADで作成したモデルを重複表示できるため、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)との連携も可能。防犯カメラの適正配置の検討にも活用できるという。

 提供するデータはOSGB形式とOBJ形式。最小販売単位は0・25平方キロメートル(500メートル×500メートル)。発売記念として、3Dモデルデータ(サンプル)などを無料で提供する。応募期間は12月1~25日。

【*’v`)ノ*’v`)ノ*’v`)ノ ガンバレェ!】〝ハセジョ〟プロジェクト始動~!!

浦和駒場プロジェクトの〝ハセジョ〟メンバー
 長谷工コーポレーションは、女性の活躍をさらに推し進める。マンションづくりのすべての業務に女性社員が携わる「浦和駒場プロジェクト」(さいたま市浦和区)を始動させたほか、「長谷工グループで活躍する女性社員」(ハセジョ)を紹介するウェブサイトも開設。女性の視点や感性を生かしたマンションづくりやライフサポートを実施するとともに、女性が生き生きと働ける環境づくりを推進していく。

 浦和駒場プロジェクトは、浦和区駒場エリアのランドマークとなる146戸のマンション計画(名称・ブランシエラ浦和駒場)。RC造7階建て延べ1万2337平方メートルの規模で17年3月の完成を予定している。売り主は長谷工コーポレーションと大成有楽不動産。設計監理・施工を長谷工コーポレーション、販売提携を長谷工アーベスト、管理を長谷工コミュニティがそれぞれ担当する。

 同プロジェクトでは、マンションの事業企画から開発推進、設計、施工、販売、インテリア内装、管理までのすべての業務に女性社員が携わる。女性ならではの視点や思いを生かし、自然を楽しめ、子育てに適した住み心地の良いマンションづくりに取り組む。施工管理では所長、次席、三席を女性が担当する。

 ハセジョを紹介する専用サイト「フレー!フレー!ハセジョ!!」も開設。浦和駒場プロジェクトの各セクションを担当する女性たちや、建設作業所で活躍する女性工事チーム(ハセジョ工事チーム)の取り組みなどを紹介している。

【子どもも大人も楽しめるよん】ギャラリーエークワッドで「Lego」展開催中!!


展覧会に出品されている力作「スターウォーズ・シアター」

 デンマーク発の玩具「レゴ」をテーマにした展覧会が東京都江東区の竹中工務店1階にあるギャラリーエークワッドで開かれている。世界中の子どもたちを夢中にさせてきたレゴの魅力と可能性を提示し、訪れた人の創造心をかき立てるような展示になっている。16年1月28日まで。
子どもたちに遊びを通して創造性を育んでほしいと考える親にとって、レゴは最適なおもちゃ。50年以上の歴史を持ち、今では教育現場や建築設計向けの商品も登場している。

個性あふれるコンペの入賞作品
 「First Lego Leagueで世界へ!-子どもの好奇心に灯をつけるスイッチ-」と名付けられた今回の展覧会では、世界中の子どもたちが挑戦する米国のロボット競技「FLL」を紹介。各チームのプレゼンテーションを紹介する映像では子どもたちのたくましい様子を見ることができる。実際に大会で製作されたロボットも展示している。

会場にはレゴブロックで遊べるスペースも
事前に行われたレゴで作る空間コンペの入賞作品も展示。幅広い年代の参加者が出品し、25センチ四方に詰め込まれたアイデアが見る人を楽しい気分にしてくれる。
 建築家の手塚貴晴氏ら5人の招待アーティストも作品を出展した。自由に触れられるレゴブロックが会場内に用意されているなど親子で楽しめる展覧会になっている。
 入場無料。開館時間は午前10時~午後6時(最終日は午後5時まで)。日曜・祝日は休館。16年1月16日には、FLL優勝チームのコーチを務めた河本敏志氏の講演もある。詳細はホームページへ。

【ブルブルブルー】青木あすなろ建設、水陸両用ブルの適用拡大



 ◇1台で潜る・掘る・運搬可能◇

 青木あすなろ建設が、水上でも陸上でも使用可能な水陸両用ブルドーザーの適用範囲を拡大している。1台で水中に潜る・掘る・運搬するの三つの作業ができるのが特徴。作業船や陸上機械での作業が難しい浅水域で特に効果を発揮する。1969年の導入以来、河道掘削や離岸堤の設置、航路浚渫など施工実績は全国で1200件以上に上る。無線で遠隔操縦するため、オペレーターの安全も確保でき、近年は災害復旧工事にも活躍の場を広げている。

 水陸両用ブルドーザーは、水深7メートルまでの浅水域を作業領域とする無線遠隔操縦式。全長9305ミリ、全幅4000ミリ、全高9760ミリで、重量は陸上で43・5トン、水中で27・9トンとなる。水中作業に適応するため、各種の安全センサーと警告装置、水圧に応じた内圧調整などの機構が工夫されている。

 ブルドーザーの基本作業となる掘削押土、リッピングのほか、運搬も可能。本体部を架台として利用し、バックホウやクレーンなどアタッチメント作業にも使える。仮設の必要な陸上掘削機械、浚渫船に比べ低コストで施工できるのが特徴だ。

 排土板に装着したエプロンと呼ばれる装置で水中の掘削土を抱え込み、逃すことなく押土できる。海底を走行しながら排土板で面的仕上げを行うため、作業船に比べ精度の高い掘削が可能だ。余掘り、余砕量も少なくできる。

 作業船で必要となる係留アンカーも不要なため、船舶の航行に支障がない。給排気用ダクトは高さ約9・8メートルだが、ダクトを倒して作業でき、橋桁と近接する河川工事にも使える。オペレーターは、現場から100メートル以内にいれば操縦可能。同じエリアにいるため、現場条件の変化の察知、気象の変化にも迅速に対応できる。

 同社は岩手県洋野町沿岸にあるウニ増殖場の造成工事を施工。東日本大震災の甚大な津波被害で増殖溝内に砂が堆積していたため、水陸両用ブルドーザーなどを導入して砂の除去や飛散した増殖ブロックの復旧などに当たった。東日本大震災の復旧作業では計14件に導入されたという。

 稼働中のマシンは世界でも同社が保有する5台だけ。同社の馬欠場真樹土木技術本部土木リニューアル事業部長は「長年にわたる活躍のため老朽化が進み、入念な整備点検や修理、オーバーホールを行いながら使用している」と話している。

2015年11月26日木曜日

【全国各地で動きぞくぞく】城郭整備、地域活性化や観光振興にどう活用


 ◇知恵絞る自治体、事業実施へあの手この手◇ 

 近世・武家文化を今に伝える城郭建築。貴重な文化財である天守閣や史跡は、まちのシンボルとして市民の手で守り継がれてきた。青森・弘前城ではこの夏、100年ぶりの大改修が始まった。重さ400トンの天守を移動させ、約10年かけて石垣を改修するという大事業だ。各地で城郭建築が改修時期を迎えている。重要な観光資源である城郭を最大限に生かし、地域を活性化させようと奮闘する各地の動きを紹介する。

曳き家に備え足場が組まれた弘前城天守
(8月16日撮影)
 弘前城は1611年に弘前藩主・津軽氏が築城。現在の天守は1810年に再建された。全国に12ある現存天守の一つで、国の重要文化財に指定されている。崩壊の危険性がある天守下の石垣を改修するため、8月から約3カ月かけて天守の曳家工事が行われた。16年度から石垣を解体して積み直す本体工事に入る。天守を元の台座に曳き戻すのは21年の予定だ。

 工事期間中は周辺の立ち入りが制限されるなど観光への影響が大きい。そこで葛西憲之市長の号令で始まったのが「HIROSAKI MOVING PROJECT」。工事を「マイナスではなくプラスに転換」(葛西市長)し、イベントとして盛り上げようという試みで、曳家に先駆けて天守を地面から切り離す「地切式」を皮切りに、工事の節目を市民や観光客が参加できる催しに仕立てた。一連のイベントの中で最も人気を集めたのが9月20~27日の曳家ウイーク。事前に応募した市民や観光客3900人が人力による曳家を体験。8日間で有料区域の入場者数は3万人を超え、9月の1カ月では、同じく大型連休があった09年の約2・5倍となる約5万人が本丸を訪れたという。

曳家ウイークでは、延べ3900人が曳家を体験した
 イベントや工事の様子が国内外で大きく報道されたことで「25億円以上の広告効果があった」と葛西市長。ホテル稼働率や土産物店の売り上げアップなどあらゆる方面で効果が見られたとイベントを総括した。曳家を終えた天守は15年度中に補強工事を終え、16年4月から一般公開される。葛西市長は「できるだけ多くの人に21世紀最初で最後の大事業を見てほしい」と語っている。

イベントでは施工者の技術者、技能者が来場者に工事のポイントを説明
 まちの宝とも言える城郭の改修は管理者にとって一大事業だ。大規模な耐震化工事が必要とされる城もあり、工法選択や財源確保に頭を悩ます自治体も多い。加えて近年は史跡などを維持・補修するだけでなく、公開・活用して地域活性化に生かすという役割も重要視されてきた。

 国宝・姫路城(兵庫県姫路市)は平成の大修理を終えた今年、入場者数が初めて200万人を突破して過去最高を記録。工事期間中は天守を覆う素屋根内部に見学施設「天空の白鷺」が設けられ、約3年間で180万人が訪れた。観光の目玉である城の閉鎖中にも経済効果をもたらした好例といえる。

平成の大改修を経て、姫路城は多くの来場者でにぎわう
 1998年から復元整備を進めている熊本城(熊本市)。史実に基づき城内の複数の建造物を伝統工法を用いて再現する計画で、08年には50億円超をかけて豪華絢爛けんらんな本丸御殿が完成した。一時期落ち込んでいた入場者数は本丸御殿の完成で回復。08年は過去最多の200万人以上となり、全国の城でトップだったという。一連の整備は17年度まで続く予定だ。

 国指定の史跡や名勝などの維持・補修には事業費の50%に国の補助金を充てられる。文化庁は15年度に「歴史活き活き!史跡等総合活用整備事業」を始め、史跡の「保存」と「活用」を支援する補助金制度を一本化した。保存・修復を担う自治体などへの支援を通じ、史跡を活用した地域活性や観光振興を図るのが狙いだ。

 ◇課題は長い事業期間と資金調達◇

 文化庁は16年度予算の概算要求に、保存修理が主な目的の事業に約34億円、活用を主眼にした事業に約40億円をそれぞれ計上した。活用事業には15年度予算額より約16億円上積みした。これらは「文化財を管理する自治体などの要望をヒアリングした結果に基づく数字」(記念物課)という。歴史的建造物の復元整備など活用事業の拡大が見込まれると読み取れる。

 国の補助が得られない事業費の半分は、基本的に各自治体が調達することになる。そこで用途を指定した寄付制度が活躍している。熊本城や京都・二条城では「一口城主」と銘打って支援を寄せた市民に特典を用意。熊本城はこれまでに5億9000万円以上を集めた。弘前市はふるさと納税に石垣改修を支援する特別コースを創設している。

 大都市にも動きがある。名古屋市は名古屋城天守閣の木造復元に向け、本年度中にゼネコンから技術提案を募集することにしている。市は12月から、各地で事業説明会を開く。数百億円とも言われる再建費用をめぐり、市民の合意形成が鍵になると考えているようだ。

広島大学大学院・三浦研究室が作成した江戸城天守の再現パース
(ⓒ江戸城を再建する会)
 東京ではNPOが360年前の江戸城天守を再建しようと活動を続ける。「江戸城を再建する会」の小竹直隆理事長は「首都を象徴するモニュメントの再建」を目標に掲げ、市民が主体となって事業化を目指すとしている。10年単位の長い事業期間と自治体には重い財政負担。そのハードルを乗り越えるために各地が知恵を絞る。広報による機運醸成や、城への愛着心を喚起して支援を集める制度づくりなどがキーワードに浮かぶ。これらをノウハウとして蓄積すれば、全国の城郭建築を美しい姿のまま後世に引き継ぐことができるかもしれない。

【じわじわ】女性技術者・技能者、1年間で460人増加


 全国建設業協会(全建)がまとめた会員企業の女性職員在職・採用状況調査によると、9月1日時点の女性職員が1年前に比べ1519人増加していた。1年間の女性職員の増減を調査したのは初めてで、増加人数から減少人数を差し引いた純増数は技術者で398人、技能者で62人、事務職員では1059人となった。技術者と技能者の増加人数は計460人。全建は、「積極的な採用の傾向がみられる」と受け止めている。




 全建は、女性の入職者を増やすための考え方などを示した「建設業における女性の活躍の場の拡大へのロードマップ」を3月に策定し、入職を支援している。調査は、会員の動向や関連施策の効果を把握するために行った。

 会員1万9426社のうち、女性職員の増減に関しては8160社が回答し、その13・7%に相当する1097社が14年9月1日時点との比較で女性職員が「増加」したと回答した。職種別に見ると、技術者(回答7422社)は317社、技能者(7206社)は98社、事務(8115社)は902社がそれぞれ「増加」と答え、増加人数の合計は1519人となった。


 現場のトイレや更衣室の状況も聞いた。回答のあった4万8670現場のうち、女性が働く現場は5・5%。この項目に答えた1250社で女性用トイレを現場に設置していたのは9・9%、一部設置は14・6%で、64%以上が男女共用だった。女性更衣室について答えた1245社では、すべての現場に設置が5・2%、一部設置が9・3%、男女共用8・8%で、「ない」が76・6%だった。全建は、結果を踏まえ、処遇改善や女性の活躍を後押しする取り組みに一段と力を入れる方針だ。


 47都道府県建設業協会のうちの44協会・8459社(回収率43・5%)が回答した今回の在職者調査によると、9月1日時点の在職者は29万9031人(前回調査〈回収率36・3%〉26万3050人)。女性職員は3万4950人(3万2658人)で、構成比率は技術者15・4%(16・7%)、技能者2・4%(2・9%)、事務82・2%(80・3%)となった。最近1年間に採用した女性は2978人(2590人)だった。

【回転窓】災害伝承の知恵

 二又さんという方から興味深い話を聞いた。「二又」とは本名ではなく屋号。その由来は津波にあるそうだ▼かつての大地震で、その家の場所で大きな波が二つに分かれたことなどが伝承されており、その教訓を忘れぬように屋号が定められた。二又さんは祖母から地震が起きたら逃げるよう教えられて育ち、母になった自分も子どもに何度も教え込んだ▼東日本大震災の日、自宅に一人でいた息子は急いで身の回りの大事な物を集め、自転車で避難して無事だった。共に一命を取り留めた愛犬と集団移転先で暮らしている。屋号に込められた思いが、本当に子孫の命を救った。天から見守る先祖が何より喜んだのではないだろうか▼日本政府の呼び掛けによって、11月5日を「世界津波の日」にしようと国連で議論が進んでいる。1854年のこの日に、安政南海地震が起きた。近畿地方などに大津波が襲来。地域の庄屋であった濱口梧陵が稲わらに火を放ち、避難を誘導した逸話が「稲村の火」として伝わっている▼日本が発信した戒めで命が救われた-。そんなうれしい知らせが世界を席巻するよう期待したい。

【どーなんでしょ?】新潟市発注工事の落札者、65%がくじ引き決定


 新潟市が、15年度上半期(15年4~9月)に契約した工事のくじ引きで落札者が決定した件数と工種別発生率を明らかにした。総合評価方式の試行案件を除いた一般競争入札と指名競争入札工事479件のうち、最低制限価格と同額の札を入れた者が複数あったなどの理由で、くじ引きで落札者が決まった工事は313件で、率にして65・3%を占めた。くじ引きでの落札者決定率は特に土木一式、舗装、造園で多い。土木一式では89・1%、舗装は99・0%、造園は90・0%がくじ引きで決定している。

 土木、舗装、造園で多い理由について、市は簡易な工事が大多数を占めることにあると見ている。簡易な工事なので同種・類似工事を基に予定価格を高い確度で類推。内訳も正確に再現できるため、「最低制限価格を当てるのはさほど難しいことではない」というのが市の言い分だ。

 市によるとくじ引きでの落札決定が多いことに対し、業界からの改善してほしいという要望はそれほど強くないという。市は、落札率が年々上昇していることが背景にあるとみる。新潟市の15年度上期発注工事の平均落札率は91・1%。年度の平均落札率が03年度以来12年ぶりに90%台を記録する可能性が高い。

 随意契約を除いた平均値を算出する現方式になった10年度以降で、年度の平均落札率が90%以上はない。市は落札率を上げるため、区が発注する予定価格5000万円未満の工事で昨年12月、最低制限価格の下限値を90%以上に設定した。この影響で、14年度第4四半期の落札率は91・4%になった。

 市はさらに、改正公共工事品質確保促進法に発注者責務として盛り込まれた「担い手の中長期的な確保・育成のための適正な利潤が確保できるよう予定価格を適正に設定する」という項目を踏まえ、今年4月、工事の積算基準のうち、一般管理費の算出率と現場管理費の算出率を国土交通省と同水準に引き上げている。これらの施策が落札率上昇の要因と言える。

 市は、くじ引きでの落札者決定率を下げるために、最低制限価格の算出にランダム係数を使う準備はできているという。だが同係数の使用について業界は難色を示しているという。

【先生、お願いします】山形県、産技短大土木エンジ科の教員募集

 山形県は、県立産業技術短期大学校に新設する「土木エンジニアリング科(仮称)」の教員募集を開始した。同県の建設業を支える優れた土木技術者の育成に意欲的な人を募る。

 12月14日まで応募を受け付け、書類選考の上、同23日に面接し、16年1月の最終試験を経て合格者を決定する。採用予定時期は同4月1日。土木エンジニアリング科は17年4月の開設を予定しており、来年度は開設準備業務を担当する。

 応募は▽土木工学の博士または修士の学位(16年4月1日までの取得見込みも含む)▽土木工学の学士の学位を持ち、土木分野で5年以上の実務経験▽土木分野で10年以上の実務経験▽土木分野で通算満3年以上の教育訓練に関する指導経験または満5年以上の研究所などでの研究経験-のいずれかに該当することが条件。原則50歳未満(16年4月1日時点)とし、日本国籍を有することも求める。

 県土を支える中核的な担い手が求められる一方で、同県には土木技術者を育成する高等教育機関や職業訓練校がないため、県外や他産業に人材が流出している状況がある。そこで同短大に新学科を設けることにした。

 訓練期間は2年間で、定員は1学年20人程度を見込んでいる。カリキュラムは一般教養や構造力学など土木技術分野、施工管理・施工技術の基礎、測量・設計、実戦経験、雪など地域特有の課題への対応などを想定している

2015年11月25日水曜日

【回転窓】伝統の胴長短足

最近の若い人たちは大抵、手足がすらりと長い。スタイルの良さはうらやましい限り。翻って、旧世代に属する当方は典型的な胴長短足。近ごろの既製服は若い世代の体形に合わせて作られるのか、体にぴたりとこないことが多い▼胸囲や胴囲に合わせると袖や裾がだぶだぶ。逆に、袖や裾の長さに合わせると首や胸・胴回りが苦しくて着られない。そんな悩みを持つご同輩は案外多いのではないかと推察する▼先日、縄文人も胴長短足だったとの研究成果を国立科学博物館などの研究グループが発表した。縄文人は肘や膝から先の骨が長いとされてきたが、全国の遺跡で出土した骨を詳しく調べた結果、北東アジアから渡来した弥生人と同じ胴長短足だったとみられることが分かったという▼寒冷地では体温放出を防ぐために胴体に対して腕や脚が短くなる傾向があるそうだ。縄文人は南方が起源とする従来の説が変更を迫られる可能性もあるらしく、興味深い研究成果である▼縄文人も弥生人も胴長短足なら、わが胴長短足も致し方ない。既製服の不便はさておき、由緒正しい伝統体形として胸を張ることにする。

【提携紙ピックアップ】建設経済新聞(韓国)/韓国で海外インフラ投資本格化へ


 海外投資開発型事業を支援する約2000億ウォン規模のグローバルインフラファンド(GIF)と2兆3000億ウォン規模のコリア海外インフラファンド(KOIF)の投資が来年から本格化する。

 GIFはこれまでに3件のインフラ建設と開発事業に投資した実績があり、来年度は2件の事業に投資する予定だ。国土交通部の関係者は、「事業の大部分はインフラ事業で、発電、水産業、交通インフラなどだ」と話した。

 KOIFは国土交通部の妥当性調査を経て、韓国企業が事業開発と施工、施設運営、資機材供給などに参加する海外インフラ開発事業に投資する。(CNEWS、11月19日)

【提携紙ピックアップ】セイ・ズン(越)/越日工業大学、ホーチミンに開校


 ホーチミン市工業大学(HUTEC)は、日本の大学のカリキュラムを導入した「越日工業大学(VJIT)」を開校する。このほど同市内のキャンパスで開校式を開いた=写真。プログラムには政府のほか、両国の関係機関や大学、民間企業などが協力している。

 式典には駐ホーチミン日本領事館や日本貿易振興機構(JETRO)からも関係者が出席。矢ケ部義則首席領事は「ベトナムは東南アジアで2番目に多くの日本企業が進出している国だ。労働力は豊富だが、ITなどの分野で熟練人材は不足している。VJITの学部プログラムが優秀な人材を輩出し、日本企業で活躍する人材が増えることを願う」とあいさつした。

 VJITは、初めて日本から大学カリキュラムを輸入した。学生はITや機械、土木などさまざまな分野の工学学士号を取得できるほか、日本語や日本企業の特性なども学べる。ホーチミンを中心にベトナム南部に拠点を持つ日本企業の即戦力となることが期待されている。(セイ・ズン、11月22日)

【職人技、競う】横森製作所が階段組み立てコンテスト


 鉄骨階段メーカーの横森製作所(東京都渋谷区、有明利昭社長)が、福島県いわき市の工場で「社内改善発表会・階段組み立てコンテスト」を開いた。工場や営業拠点で実施している改善提案の発表と、全国の工場の代表が鉄骨階段の組み立て技術を競うコンテストで構成。約80人が参加した。

 改善発表会では、生産部門での業務効率向上や作業安全性の確保、品質不具合防止などに関する取り組みが紹介されたほか、事務部門では事務作業の効率化や利便性向上、省エネ、コスト削減などの事例が発表された。最優秀改善テーマに、加西工場の「柱回転治具の活用による時間短縮」が選ばれた。

 組み立てコンテストは、実際に納入する鉄骨階段を5時間以内に1人による作業で組み立て・溶接して完成させるという競技=写真。組み立て時間や溶接・外観、寸法などで審査した結果、九州工場が2連覇を達成した。

 有明社長は、「改善こそが経営の核だ。年々溶接の技術が上がってきているように感じる。今後も若い人へ技術伝承をしていってほしい」と総評した。

【環境活動に力、入ってます】エコ・ファースト推進協、都内でサステナブルカフェ開く

学生に環境の取り組みを説明する戸田建設担当者
 環境省から先進的な環境対策に取り組んでいる企業として認定された「エコ・ファースト企業」による自主運営組織「エコ・ファースト推進協議会」は21日、持続可能な社会づくりを学生と考えるイベント「エコ・ファースト サステナブルカフェ」を東京・中野のキリン大会議室で開いた。企業関係者と学生がテーブルを囲んで環境配慮の取り組みとはどうあるべきかを話し合った。建設関連からは大成建設、戸田建設、LIXIL、積水ハウス、アジア航測の5社が参加した。

 冒頭、主催者を代表して樋口正一郎氏(戸田建設価値創造推進室技術開発センター副センター長)が「今回は日本の環境活動をけん引する企業が集まった。環境をテーマに企業が学生とコミュニケーションを取るのは珍しいが、互いに肩肘を張らず、結論を急ぐことなく、できたところから成果を発表してほしい」とあいさつした。

 協議会加盟企業13社がそれぞれの環境配慮活動を紹介。建設関連会社はZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)やZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)、エコ商品などを説明し、学生の活発な質問に丁寧に答えていた。

 引き続き13社の関係者と、5大学(東大、慶大、早大、首都大学東京、東京農大)の環境サークルに所属する学生計56人が6~7人ずつ9グループに分かれ、「持続可能な社会実現のためにできること」をテーマに議論。企業、消費者、地域の三つの視点から環境に優しい社会貢献のあり方について意見換し、最後に各グループから成果を報告した。

2015年11月24日火曜日

【対応は万全ですか?】従業員の「ストレスチェック義務化」、12月から、50人以上の企業対象に

ストレスチェック制度の流れ
 ◇対策は「重要な経営課題」/医師・保健師確保を◇

 うつ病などメンタル面の不調を未然に防ぐため、企業など50人以上を雇用するすべての事業者に対し、従業員の心理的負担の調査を義務付ける「ストレスチェック制度」が、施行まで半年を切った。影響が大きいとされる新制度だが、企業はどのような準備をすればよいのか。建設業での留意点を含め、中央労働災害防止協会(中災防)の専門家にポイントを聞き、Q&A形式でまとめた。(編集部・千坂彰信)

 Q ストレスチェック制度とはそもそもどういうものか。


  14年6月に公布された改正労働安全衛生法で、常時50人以上を雇用する事業者に義務付けられた。今年12月1日に施行される。50人未満の事業者は努力義務となっている。所管する厚生労働省は、対象事業所のすべての労働者が受けることが望ましいとしている。費用は企業が負担する。

 事業者は医師や保健師などに依頼し、調査票を使って実施する。結果は本人の同意がない限り、事業者に伝えることは禁止されている。

 ストレスチェックで「高ストレス者」と評価された労働者から申し出があった場合、事業者は医師による面接指導を実施しなければならない。

 ストレスチェックは年1回以上行う。施行日から計算すると、1回目は16年11月末までに実施する必要がある。複雑な制度で、慎重な運用が必要なため、「企業の担当者は厚労省が5月にまとめた実施マニュアルを手元に置いた方がよい」と中災防の担当者はアドバイスしている。

 Q 企業は何を準備すればよいのか。


  まず急いだ方がよいのは、ストレスチェックを実施してもらう医師や保健師などの確保だ。事業の実態を理解している産業医が適しているが、建設業の産業医には外科や整形外科の医師が多く、対応できるかどうか、早めに相談した方がよいだろう。精神科医はそもそも数が少なく、いない地域もある。

 制度を就業規則に反映させたり、実施体制の整備に向けて労使で作る労働衛生委員会で協議したりする必要もある。

 健康診断と同時に実施することもできるが、中災防の担当者は「健康診断とストレスチェックが重なると事務処理の負担も大きくなるので、そうした点を考慮して実施時期を決めた方がよい」と言っている。

 Q ストレスチェックと面接指導を終えた後の対応は。


  面接指導での医師の意見を踏まえ、就労場所の変更や就労時間の短縮など必要に応じた措置を講じる。

 さらに、部門や支店など組織ごとにストレス状況を分析し、ストレス軽減に向けた職場環境を改善することも必要だ。

 今の制度では努力義務だが、昨年12月に厚労省の検討会がまとめた報告書は、組織分析に基づく職場改善について将来の義務化の必要性に言及しており、近い将来、義務化される公算が大きい。

 Q ストレスチェックを実施しなかったらどうなるのか。


  罰則はない。ただし、例えば従業員のメンタル不調を放置した結果、重大な事態を招き、本人や遺族から訴訟を起こされた場合、裁判で不利に働く可能性がある。

 Q 建設業での留意点は。


  義務化の対象は厳密には「事業場」であり、従業員が50人未満の支店・営業所は対象にならない。ただ、50人以上いる本社や支店の従業員との間で差が生じてよいか、慎重に検討する必要があるだろう。

 メンタル不調から集中力が散漫になり、現場でのヒューマンエラーにつながる懸念もある。「ストレスチェックは現場の災害防止にもつながる」との見方がある。

 元請業者は下請業者の従業員に対する義務はないものの、下請業者がストレス軽減のため現場の就労改善を図ろうとすれば、元請業者の協力が不可欠になる。中災防の担当者は「メンタル不調対策について、元請と下請で話し合ってほしい」と呼び掛けている。

 Q ストレスチェックが義務化された背景は。


  メンタル不調による疾患は、早期発見による早期治療がカギを握る。ただ、個人ベースでの対応には限界がある。精神障害の労災請求件数は右肩上がりで、業種別の支給決定件数を見ると、総合工事業が5位、設備工事業が11位に入っている。

 企業にとっての損失も大きい。メンタル不調になると、長期にわたる休職の末、退職に追い込まれる従業員が多いからだ。労働政策研究・研修機構の調査によると、メンタル不調になった人のうち、最終的に退職したのは34%。休職や復職を繰り返すなど通常のように働けなくなった人を合わせると50%弱に上る。

 中災防の担当者は「メンタル不調はいかに未然に防ぐかが重要。上司が不調に気付いてからでは遅い」とし、「仕事への影響が減ってくれば、企業の活性化につながる。企業の重要な経営上の課題と捉えてほしい」と強調している。

【みんなよく頑張った】ゆるキャラ®グランプリ結果発表!!!

しっくい丸㊧は、本紙の2015新春企画でぐんケンくんと夢の対談
 「ゆるキャラ®グランプリ2015」の最終結果が23日に発表された。建設業界からの参戦では、漆喰(しっくい)のすばらしさを広めるために誕生した関西ペイントの「しっくい丸」が、企業・その他部門で10位、総合部門で40位と健闘した。
イベントで子どもたちと記念撮影するどケンくん
=4月12日、群馬県沼田市で
 群馬県沼田市の沼田土建で現場監督として活躍する「どケンくん」は企業・その他部門で13位、総合部門で47位にランクイン。群馬建設業協会のマスコットで、ダイエットに成功して参戦した「ぐんケンくん」は企業・その他部門31位、総合部門105位となった。

登校中の女子高生に支持を訴える横浜ケンジロー
=10月8日、横浜市中区のJR石川町駅で
 横浜建設業協会の期待を背負って参戦し、上位進出を狙った「横浜ケンジロー」は、企業・その他部門で149位、総合部門で437位に。10月に同協会の土志田領司会長も参加し、朝の通勤・通学時間、登校中の女子高生らに投票を呼び掛けたが、ライバル(?)のぐんケンくんとの得票差は最後まで縮まらなかった。

【回転窓】根堀り葉堀りの功罪


 本格的な冬を前に友人が庭にある空木(ウツギ)を移植した。思っていたよりも根が張っていて難儀したという▼植物はわれわれの知らないところでどんどん根を張る。低木だからと油断していると土の中はとんでもないことになっている。木の周りに優しく鍬を入れ、根を傷めないようにと思うのだが、最後は根負けして根の大半を切ることになる▼世間では何かと「根」の話に持っていく人がいる。評論家や解説者に多く、「根源に戻らないといけない」「禍根を残してはならない」「物事の根本を極めなければならない」などと何が起きてもこれを決め言葉のように言う。確かに花の美しさや実のおいしさだけに気を取られることなく、養分を吸収する根の様子もしっかり見てやらなければならない▼ただ、移植すると分かるのだが、植物は必ずしも日当たりの良い場所に植え替えてやろうというこちらの気持ちを望んではいない。今のままそっとしておいてくれということの方が多い▼われわれの仕事は「根堀り葉堀り」聞くことだが、大事な根を傷めるぐらいなら、そっとしておくこともあってよいのでは。

【11月18日は土木の日】「ようこそ、研究所へ!!!」、ゼネコン各社が見学会

 ◇コンクリートをこねこね◇

 奥村組は、土木の日(11月18日)に合わせ、茨城県つくば市の技術研究所で地元の小学生を対象とした見学会を開いた。土木学会関東支部との共催。つくば市立吉沼小学校の2年生46人と教師3人が参加し、構造材料実験棟や音響実験棟、耐震実験棟などの施設で体験実習に取り組んだ。

 コンクリートの実習では、コンクリートの材料や作り方を勉強。練りたてのコンクリートをゴム手袋に入れて手の形のオブジェを作り、コンクリートの強さや軟らかさを体感した=写真。

 熱画像の実習では、人やコンクリート試験体を赤外線カメラで撮影し、温度の違いを色で表せることを学んだ。破裂音を残響室と無響室で聞き比べ、音が反響したり、吸収されたりする現象の違いも体験した。

 このほか、振動台で過去の大地震を再現し、振動台の上に直接置いた角材と免震装置上に置いた角材が、それぞれどのような動きをするか見学した。

 質疑応答では、「音の響きの違いをどのようなところで役立てているか」や「フナクイムシ(二枚貝)を参考にしてトンネルを掘る機械を作ったのは本当か」といった質問が出たほか、「思っていたよりもコンクリートの値段が安かった」「直径10センチのコンクリート塊に20台の自動車を支える強さがあると聞き驚いた」などの感想が上がった。

 ◇橋を造ってピョンピョン◇

 安藤ハザマは、茨城県つくば市の技術研究所に地元の小学生を招いて体験学習会を開いた。建設技術の体験を通じて、子どもたちに建設の世界に親しみを持ってもらうのが目的。24回目となる今年は、つくば市立葛城小の4年生11人が参加し、れんがを使った橋造りなどに挑戦した。

 れんが橋造りでは、山なりの支保工の上にれんがを敷き詰め、アーチ状の橋を完成。橋の上で飛び跳ねてその丈夫さを確かめた。

 環境棟にある大型恒温恒湿室では、氷点下20度の寒さを体感。湿らせたタオルが瞬時に凍りつき、子どもたちは引率の先生にタオルが凍った驚きを伝えていた。残響室と無響室では、楽器を鳴らしたり、大きな声を出したりして音の響き方の違いを楽しんだ。

 質問タイムでは、「氷点下30度でも人間は凍らないのか」「自宅にも音の響かない部屋を作ることはできるのか」など、子どもらしいユニークな質問が出ていた。

【首都圏 Look at】横浜市、MM21地区で「10年限定」の小学校建設

本町小・第二方面校の建設予定地
モデルルームなどに暫定利用されていた
◇マンション開発で児童急増◇

 横浜市は、マンションの建設ラッシュで児童数の増加が見込まれるみなとみらい21(MM21)地区に、10年限定の小学校を建設する計画だ。同地区を通学区域とする市立本町小学校(中区花咲町3の86)だけでは児童の受け入れが困難になると判断し、緊急対応策として決めた。市教育委員会によると、分校などがあった時代には期限付きの学校が存在した例もあるが、近年では例がないという。

 建設予定地はMM21地区内の市有地。18年4月に開校予定で、現時点では閉校後に校舎は解体する予定。総事業費に25億円を見込んでいる。西区と中区にまたがるMM21地区では大規模マンションの建設が相次ぎ、居住人口が急増。北仲通北地区(中区)開発計画の変更なども重なり、子どもの数が増えている。

 同エリアを通学区域とする本町小の学級数は29(14年度)。これまでは校舎の増築などで対応してきた。だが、児童数の推移を基にした市のシミュレーションによると、学級数は18年度に31、22年度に36へと増加。増築だけでは対応が難しくなる。その後、28年度には27学級に減るとしている。この予測結果から、18年4月から28年3月までは、増えた児童を本町小で受け入れるのは困難になると判断。児童が良好な環境で学習できるよう、期間限定の学校整備に踏み切ることにした。

 計画地は西区高島1の2(みなとみらい21地区57街区の一部、敷地面積約9000平方メートル)。地下鉄みなとみらい線新高島駅に近い未利用地。本町小の通学区域とその周辺で必要な敷地面積を確保できる土地であることや、通学の距離や安全なども考慮してこの場所を選んだ。

 市は1月に、「本町小学校第二方面校(仮称)整備事業」として、建物の基本・実施設計、工事監理業務を、公募型簡易プロポーザル方式でみかんぐみ(横浜市中区)に委託した。現在、実施設計に入っている。

 プロポーザルの課題は「みなとみらい21地区にふさわしい、魅力ある学校施設のあり方」。市は当初6階建て延べ約8000平方メートル規模の建物を想定していたが、みかんぐみの提案は階数を抑えたコンパクトな計画(4階建て)。立地特性を踏まえた街づくりからの視点や、地域との関係などに配慮した創造性なども評価された。

 教室(普通教室21、個別支援教室3、特別教室7など)、体育館、プールなどを設け、10年間の暫定利用のため、建設費の削減や省エネ・省コストなどにも配慮した計画となっている。構造は汎用性があり経済的な8メートルグリッドを採用。施設のフレキシブルな利用を可能にした。鋼材量を少なくするために鉄骨ブレース構造を採用している。

 プールは屋内運動場(体育館)の上に設置することで、体育館の大スパンを確保。設備もイニシャルコストのかかる熱源を建物内に持たず、地域冷暖房の冷温水を使用するなど省エネに配慮した計画になっている。工事期間は16年10月~18年3月を予定している。

【記者手帖】情報発信の仕方が大事


 2020年東京五輪の開催を見据え、インバウンド(訪日外国人旅行者)の受け入れ態勢を整える動きが加速している。鉄道駅の案内表示板の改善もその一つだろう◆先月、東京の大規模ターミナル、新宿駅を視察した遠藤利明五輪担当相は、乗り入れ路線ごとに案内表示板がばらばらなのを見て、「誰もが分かりやすく、使いやすい駅に」と統一的な分かりやすい表示の必要性を強調した◆鉄道各社も手をこまぬいてきたわけでない。駅名をローマ字と数字で表す「駅ナンバリング」は、首都圏の主要駅ですっかり定着。最近はホーム上や改札口付近にタッチパネル式デジタルサイネージを導入し、乗り換えルートの検索や沿線の観光情報の提供も始めた。多くの人が分かるように情報を発信するのは思いのほか難しい◆鉄道と分野は違うが、記者が書く原稿にも同じことがいえる。読者に正確な情報が伝わっているのか、常に不安がつきまとう。できるだけ丁寧にと思うと情報過多になり、かえって分かりにくくなることも。情報発信の仕方で、内容の伝わり方も変わってしまう。「常に読者本意で」と肝に銘じている。(ま)

【第2章、終了です】建設業「命」の現場で・10/第2章・住まいに明かりを


 ◇試された突破力◇ 

 東日本大震災で被災したが、災害危険区域からは外れたため、自主再建で集団移転を行った久保野地区(仙台市宮城野区)。住民の伊藤淳・寿江夫妻には、思い出の資料がある。13年2月、デベロッパーとして参画するオオバが作成した事業概要書だ。移転先の図面、事業の進め方、コスト縮減アイデア、そして、やり遂げるという確固たる意志。抱いていた不安が払しょくされた。本当に移転できる-。ようやく確信を持てた瞬間だった。

続きはHP
 ご意見・ご感想をメールでお寄せ下さい。宛先は東北支社・牧野洋久(mak@decn.co.jp)

2015年11月20日金曜日

【回転窓】迎える側も自制を

会社帰りに立ち寄った東京・渋谷の薬局で、中国人客が争うように胃腸薬や湿布薬に手を伸ばしていた。いわゆる爆買いである▼先日出張した沖縄でも、品質の良い日本製の医薬品を求める中国人客が急増し、地元の人々が薬を買えないとの話を聞いた。地方都市では薬の供給量も少なく、問題となっているようだ▼こうした爆買い行動に眉をひそめる人がいるが、日本人も批判できたものではない。北陸新幹線の開業後、富山のスーパーでは鮮魚が不足したそうだ。新鮮な刺身を売りにした弁当販売業者が、観光客の増加を当て込んで買い占めたのが原因らしい▼金沢では、新幹線開業後にホテルの宿泊料金や飲食物の価格が急に跳ね上がったとか。人の足元を見る商売のやり方に、地元からも「自分だけが良ければいいという考えはいかがなものか」(前金沢市長の山出保氏)と批判の声が上がった▼「観光客を迎え入れる側は、もうけたいという自分の気持ちを抑えることも大事」と山出氏。便乗値上げをするようでは、観光客にモラルを問えるはずもなかろう。もちろん「おもてなし」の心も相手に届かない。

【空港でわくわく】成田空港第3ターミナルビルがグッドデザイン金賞

第3PTBの建設コストは通常の半分。
「どれだけわくわくできるローコスト建築を作れるか」と、設計者は知恵を絞った
◇ローコストで効率性と機能性追求◇

 成田国際空港会社が成田空港(千葉県成田市)内で整備を進め、今年4月8日に開業した格安航空会社(LCC)専用の「第3旅客ターミナルビル」。建設費を抑えるため、施設の簡素化を図りつつ、効率性や機能性を重視したデザインを取り入れた。15年度のグッドデザイン賞(日本デザイン振興会主催)で、国内空港初の金賞を受賞。審査員からは「分かりやすさ、歩きやすさ、使いやすさ、静かさ、楽しさなど、従来の空港の概念を覆すほどに新しい数々の価値が、誰にでも分かりやすい形で提示されている」と高い評価を得た。

 LCC専用の旅客ターミナルビル(PTB)の整備費は供用開始後の施設使用料で賄うため、LCC側からは整備コスト抑制への要望が強い。こうしたニーズを踏まえ、成田空港会社は最もコストを抑えられる施設構造をはじめ、内装・設備の仕様の簡素化・合理化などを徹底。供用後の運営コストも縮減できる施設づくりに取り組んだ。

 第3PTBの整備に当たり、同社は関係者を集めて設計段階から施設の構造・規模などについて綿密な検討を行った。「最も合理的なスパンで柱を配置したほか、吹き抜け空間をつくらず、空調などの省エネ性能にも配慮した」(工事担当者)。

簡素で使いやすさを重視したサテライト棟の出発ゲートラウンジ
シンプルな構造を追求し、店舗などの関連施設も華美な内装・デザインを避けた。LCC国内線の搭乗ゲートとロビーになるサテライト棟は、屋根部分の軽量化によって無柱のフロア面積を拡大した。

 運営コスト縮減の一環で、二重折板の間に断熱材を入れた屋根材を使用。ガラス窓など開口部分の少ない外壁デザインも採用して空 調の負荷低減を図った。

 成田空港の限られたエリアの中で第2PTB北側地区の敷地約2・6ヘクタールに、第3PTBの本館とサテライト棟、ブリッジなどが整備された。施設本体の建設費は約150億円。当初計画よりも大幅に削減し、通常のPTBのほぼ半分程度にコストを抑えられたという。

 天井高を5メートル程度に抑えた本館2階の出発エリアでは、仕上げの天井板を張らず、開放感あふれる空間を創出。案内サインや装飾、関連施設・サービスなどを簡素化・簡略化し、利用者が気軽に使いやすい施設とした。

 出発ロビーでは、国際線と国内線のチェックインカウンターを同一エリアに配置。ゲートエリアに向かう途中に国内の空港では最大規模のフードコート(約450席)を設け、休憩スペースとして24時間利用できるようにした。

陸上トラックのような床案内サイン
施設内と周辺部の動線にはゴムチップの陸上トラックを模して青と赤茶で色分けされた床案内サインを配置するなど、行き先の分かりやすさへの配慮とともに、歩行者の足の負担を軽くし、歩くことを楽しめる空間づくりにこだわった。

 第3PTBの建築・デザインのキーワードは「more than 2into1」。二つ以上の機能を一つに集約し、経済合理性の追求を心掛けた。

 ローコスト空港のデザインを具現化する「Terminal3プロジェクト」には、プロデューサー・ディレクター・デザイナーとして日建設計、良品計画、PARTY(東京都渋谷区)が参加。建築、サイン、家具といったすべてのデザイン要素を分断せず、3社が互いの制作過程で密接に連携しながらデザインを工夫してきた。

 日建設計の担当者は「ただローコストを追求するのではなく、どれだけわくわくできるローコスト建築をつくれるか。ローコストゆえのネガティブな要素を、楽しいというポジティブな要素に変換し、それによって旅客の物語の舞台になれるような空間をつくろうと思った」と話している。

 第3PTBの供用開始から7カ月が過ぎ、成田空港会社には利用者から「シンプルでスタイリッシュ」「案内が分かりやすい」といった声が寄せられている。
 引き続き施設を利用する旅客やLCCなど関係者の意見に耳を傾けながら、より魅力的な空港づくりに取り組む。

 《整備概要》

 【施設構成】本館(3階建て延べ約5万m2)、国内線用ゲートエリアのサテライト棟(2階建て延べ約7000m2)、両施設をつなぐブリッジ(橋長約100m、延べ約1300m2)など
 【基本設計】日建設計・梓設計JV
 【実施設計】日建設計
 【施工】大成建設(本体工事)

【久々にサッカーネタ】広島新スタジアム整備とJヴィレッジ再生で新たな動き

サッカーに関連する環境整備の動きは全国で活発化している
(写真と本文は関係ありません)
 ◇広島、新スタジアム整備へFS開始◇

 広島市は「サッカースタジアムに係る事業の実現可能性調査業務」の委託先を決める公募型プロポーザルで、最優秀提案者に日本総合研究所を選定した。履行期限は16年2月29日。

 業務は、スタジアムの建設候補地(旧市民球場跡地と広島みなと公園)の絞り込み、事業主体、事業スキームなどについて一定の方向性を出すことを目的としている。

 具体的には、2カ所の候補地の比較検討を行い、最終的な候補地の絞り込みに向けた根拠を整理する。検証する項目は▽本体工事▽付加機能(ショップなど)の整備▽付帯工事▽大規模改修▽管理・運営-に要する概算事業費の算出と比較。これをもとに、事業スキーム・運営方法、資金調達方法、事業採算性評価、経済波及効果の算出などを検討し、MICE(国際的なイベント)施設整備も含めた事業の実現可能性を調査する。

 スタジアムの前提条件は、日本サッカー協会の定めるスタジアム標準・スタジアム検査要項に準じる仕様(観客席3万人)。

 MICE施設規模は総延べ約2万平方メートル、展示スペース約9000平方メートル、会議室(大500平方メートル、中200平方メートル、小100平方メートル×2)。付帯工事は、旧市民球場跡地は地盤の掘り込み(地下水対策含む)、ライフラインの移設、ライトスタンド撤去など。広島みなと公園はペデストリアンデッキの設置、東屋など公園施設の撤去、防災機能(ヘリポートや災害時物流拠点)の移設と設置など。

 ◇Jヴィレッジ、再生へ一歩◇

 福島県電源地域振興財団は、Jヴィレッジ復興・再整備基本設計業務の公募型プロポーザルを行った結果、梓設計を最優秀者に選定し、17日に5302万8000円(税込み)で契約を交わした。履行期限は16年3月25日。

 基本設計の対象施設は、全天候型サッカー練習場(延べ1万0600平方メートル程度)や宿泊棟(延べ5500平方メートル程度)など。宿泊棟は6階建て程度を想定し、シングルルーム120室程度を設けるほか、大浴場やコンベンションホールを整備する。

 計画場所は福島県楢葉町山田岡美シ森8、広野町下北迫岩沢1の1。敷地面積は41万3194平方メートル。

 15年度に基本設計を行い、16年度に実施設計を進め、同年度中に着工、18年度の完成を予定している。18年夏の一部営業再開を目指す。
 建設に当たっては、デザインビルド方式の採用を想定している。

 Jヴィレッジ復興・再整備CM(コンストラクション・マネジメント)業務は、公募型プロポーザルで選定された明豊ファシリティワークスが担当している。

東日本大震災後、Jヴィレッジは役割を大きく変えた
(13年4月撮影)


【コンクリ打設へ準備着々】八ツ場ダム(群馬県長野原町)本体工事、基礎掘削の半分完了

基礎地盤の掘削が進むダムサイト=19日午前、群馬県長野原町で
 国土交通省関東地方整備局は19日、群馬県長野原町の利根川水系吾妻川で進めている八ツ場ダムの本体工事で、堤体コンクリートの打設に向けた基礎地盤(60万立方メートル)の掘削が5割の進ちょくに達したことを確認した。14年8月にダム本体工事の施工者が清水建設・鉄建・IHIインフラシステムJVに決定してから約1年3カ月。発破作業などを繰り返し、ダムの堤高116メートルのうち約70メートルの深さまで地盤を掘り下げた。掘削は16年5月末に完了する見通しだ。

 ダムサイトでは、山の斜面の硬い岩盤を発破で砕いた後、バックホウなどで周辺を掘削する作業が1月に始まった。1回の発破で使う火薬の量は25~300キログラム程度。4月からは日曜を除きほぼ毎日、発破作業が行われてきた。

 堤体の安定を支える基礎地盤の造成は、出来栄えに高度な正確性が求められる重要な工程。関東整備局八ツ場ダム工事事務所の担当者は「工夫の一つとして、施工者はバックホウのバケットにコンピューター制御の機能を備え付け、掘削の精度を確保している」と話す。掘削を終えた斜面では、コンクリートを打設するまでの風化を抑える作業が進んでいる。掘削で出た土や石は、上流側の水没予定地まで運搬し、ダム湖の造成に活用する計画という。

 発破の様子は、ダムサイト付近に設けられた無料の展望台から誰でも眺めることができる。19日は約25キログラムの火薬で岩盤を砕いた。発破の開始前には、事故が起きないよう作業員の退避を徹底。予告のサイレンを何度か鳴らして住民にも注意を促している。ダム本体工事は、16年6月から堤体コンクリートの打設作業に入る。

【先を見据えた動きか】積水ハウス、鴻池組と業務提携/持ち株会社の筆頭株主にも


 積水ハウスは19日、鴻池組との業務提携と、鴻池組の持ち株会社である鳳ホールディングス(大阪市中央区、蔦田守弘社長)との資本提携を同日付で行ったと発表した。

 得意とする事業領域が異なる積水ハウスと鴻池組は、今回の業務提携により、互いの強みを生かした相乗効果を創出し事業拡大を図る。両社の協力関係を明確化するため、積水ハウスは鳳HDの株式を取得。筆頭株主となり持分法適用関連会社にする。鴻池組と鳳HDにそれぞれ役員2人を派遣。提携を円滑に進める。

 積水ハウスと鴻池組は、これまでマンションやオフィスなどRC造物件の開発や宅地開発などで協力してきた。今後の事業環境の変化に対応するため今回、業務提携した。積水ハウスが持つ「住宅」に関する経営資源と、鴻池組の建築・土木に関する経営資源を融合。互いの提案力・営業力の強化を図るとともに、資材の共同購入や施工力の相互融通などにより建設事業全般でのコスト削減を目指す。

 両社の協力関係の明確化や業務提携の確実な進ちょくを実現するため、積水ハウスは鳳HDと資本提携した。鳳HDが12月24日に開催予定の株主総会で資本再編を承認することを前提に株式を取得する。

 現株主の三井住友銀行と株式譲渡契約を11月19日付で締結し、16年1月27日に株式取得と普通株式への転換を行う予定。これにより積水ハウスは鳳HDの議決権の33・3%を保有する。さらに鳳HDが実施する自己株式処分のすべてを引き受ける。