会社帰りに立ち寄った東京・渋谷の薬局で、中国人客が争うように胃腸薬や湿布薬に手を伸ばしていた。いわゆる爆買いである▼先日出張した沖縄でも、品質の良い日本製の医薬品を求める中国人客が急増し、地元の人々が薬を買えないとの話を聞いた。地方都市では薬の供給量も少なく、問題となっているようだ▼こうした爆買い行動に眉をひそめる人がいるが、日本人も批判できたものではない。北陸新幹線の開業後、富山のスーパーでは鮮魚が不足したそうだ。新鮮な刺身を売りにした弁当販売業者が、観光客の増加を当て込んで買い占めたのが原因らしい▼金沢では、新幹線開業後にホテルの宿泊料金や飲食物の価格が急に跳ね上がったとか。人の足元を見る商売のやり方に、地元からも「自分だけが良ければいいという考えはいかがなものか」(前金沢市長の山出保氏)と批判の声が上がった▼「観光客を迎え入れる側は、もうけたいという自分の気持ちを抑えることも大事」と山出氏。便乗値上げをするようでは、観光客にモラルを問えるはずもなかろう。もちろん「おもてなし」の心も相手に届かない。
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