2015年11月18日水曜日

【問題意識の共有を】竹中工務店なでしこ工事チーム、リーダー5人が宮下正裕社長と座談会


 男女問わず生き生きと活躍できる環境づくりを進める竹中工務店。ダイバーシティー(人材の多様化)の意識醸成に向け、女性の活躍推進に力を注いでおり、日本建設業連合会(日建連)の「なでしこ工事チーム」として7チームが登録している。
「女性が建設業で働き続けるためにも経営層と問題を共有し、会社全体で意識改革していくこが重要だ」という宮下正裕社長が、5人のチームリーダーと意見を交わした。

 ◇多くの仲間と議論し意見発信を◇


(左から)宮下社長、小早川さん、廣瀬さん
参加したのは、▽小早川泉さん(1991年入社)=「光塩女子学院1号館1期」作業所▽廣瀬茉莉子さん(2008年入社)=「森ビル鳥居坂計画再開発」作業所▽島田梨瑛さん(10年入社)=「杏林大学井の頭キャンパス」作業所▽斎藤恵利香さん(11年入社)=「NTT-UD大手町2-1A棟」作業所▽山川みなみさん(12年入社)=「武庫川学院公江記念講堂耐震」作業所(現所属・大阪本店見積部)-の5人。

 ◇ライフイベントとキャリアアップの両立に苦心◇

 社長 作業所で働く女性技術者が増えてきました。キャリアアップについて不安や心配事があれば聞かせて下さい。

 小早川 久しぶりの作業所勤務で体力面の心配はありますが、不安は特にありません。技術部などでの経験を作業所に生かし、キャリアを積んでいきたいと考えています。

 廣瀬 女性技術者のキャリアアップで必ず課題に挙がるのが、結婚や出産などのライフイベントと仕事との両立です。結婚して30歳を迎えようとしています。施工管理を担当している時、もし子どもができたら、いろんな人に迷惑を掛けてしまう。周りからは「そんなふうに考えなくていいんだよ」と言われますが、私自身としては任された工事は最後までやり遂げたいという思いが強くあります。そうした面の整理がついていません。

 社長 確かに施工系の女性技術者にとって、出産は大きな悩みだと思います。これから女性が増えていく中で、会社としても女性の働き方やキャリア形成について選択肢を整えるなど、メニューをそろえていきたいと思っています。

 山川 耐震補強工事を終えたタイミングで、自己申告制度を利用して見積部に異動しました。作業所で長く働くことにこだわらず、内勤でも多くの経験を積めば、それが作業所に戻った時に生きると思ったからです。そうすれば、ライフイベントにも臨機応変にできると考えています。

 島田 結婚や出産などライフイベントに対する心配があります。でもさまざまな経験を積んだり、何かやり方を考えたりすれば、作業所を離れずに仕事を続けることもできるかもしれません。

 斎藤 これから作業所に女性が増えてきます。そのような状況でライフイベントが重なったら、どんどん現場を抜けていくかもしれません。今の作業所には工事担当の女性が3人いるのですが、そんなことを話したりしています。

 社長 ライフイベントが重なるなど今後起こり得る問題や、今まさに直面している課題があったら発信してほしい。私たち経営層も理解しようと努力していますが、十分に把握できているとは思っていません。皆さんの声によって実情が分かるし、それをきっかけに変わっていきます。

(左から)島田さん、斎藤さん、山川さん

 ◇作業所だけでなくいろいろな経験でスキル向上◇

 社長 後輩の女性技術者にどんなことを伝えていきたいと思いますか。

 小早川 作業所だけでなく、いろんな経験をしてスキルアップを図ってきました。仕事の幅を広げることが大事で、施工管理の時もあれば、内勤で技術や品質、生産支援などに当たる時もある。いろいろな形で作業所に関わることができます。そのことを後輩には示してきたつもりですし、これからもそうした姿を見せていきたいと考えています。

 廣瀬 ものづくりの仕事は、自分の努力の成果を目にすることができます。大きなものをつくっているので、それに見合った大きな責任もありますが、やりがいや喜びも大きい。男女を問わず、やりたいことにチャレンジしていけたらと思います。

 島田 自分が楽しくないと周りも巻き込めません。コミュニケーションによって建築物は建てられているのだと日々実感しています。コミュニケーションを取りながら、自分自身の能力をどう発揮するか、自分だったら何ができるかを考えて行動していくことが大切です。

 斎藤 リクルーターとして学生と話す機会があるのですが、体力的にどうなのか、ライフイベントはどうなのかなど学生は不安を感じています。入る前からあきらめないでほしいので、私自身がこうやれているという姿を示していきたい。そういう存在でありたいと思っています。

 山川 今は女性も意見を伝える場がたくさんあります。伝えながら自身のやり方を探してもらえればと思います。でも、ただ権利を主張するだけでは駄目です。作業所はチームで動いています。周りの様子を見ながら、相手のことを考えながら行動してほしい。

 社長 社会的に女性の活躍が求められている中、建設業は特にしっかりと取り組んでいかなければいけません。でも出産や育児などのライフイベントにどう向き合い、どのように対応していくのか、業界としても当社としても、準備できているようで、できていないのが実情ではないでしょうか。各作業所には、なでしこ工事チームをはじめ多くの仲間がいます。協力会社の女性技能者も含めいろんなことを話し合い、意見や要望を発信してもらいたいと思っています。

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