パリに住んで創作活動を続ける画家の総称「エコール・ド・パリ」。一般には第1次世界大戦後、パリを中心に活躍した外国人美術家たちを指す▼その一人である日本人画家、藤田嗣治の生涯を描いた日仏合作映画「FOUJITA」が公開中だ。独自の「乳白色の肌」と呼ばれた裸婦像などが絶賛され、1920年代のエコール・ド・パリを代表する芸術家として知られる▼パリを活動の拠点とした藤田だが、戦時中には陸軍美術協会理事長の職に就き、軍の要請で戦争画を描いたこともある。映画では、日仏両国で二つの文化と時代を生きたこの画家の知られざる世界にスポットを当てている▼敗戦後、藤田は自身の戦争協力に対する批判に嫌気が差してパリに移住し、フランス国籍を取得。洗礼を受けて「レオナール・フジタ」を名乗る。非難を受けた日本の地には二度と立たず、1968年にスイスで81年の生涯に幕を閉じた▼フジタが争いごとから離れるために戻ったパリが今、テロの脅威にさらされている。世界中の芸術家に愛され、多くの観光客が訪れるパリに、一日でも早く平穏が戻るよう願いたい。
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