会社勤めをしていると後輩の指導に当たる機会がしばしば訪れる。記者であれば、取材の仕方や原稿の書き方が代表例である▼自らの経験や知識を基に分かりやすくと心掛けていても、いつの間にか「指導」が「指示」に変わっている。後輩に考える間を与えず、先に「こうしろ」と押し付けてしまうのがお決まりのパターンだ▼人を指導し育てるのは難しい。これが正解という方法もない。考える間がなければ疑問は解消されず、押し付ければ反発が生じる。企業やさまざまな組織が人材育成に腐心するのは、間違いがない唯一無二の手段が存在しないからだろう▼NHKで放送されている「奇跡のレッスン」という番組をご存じだろうか。世界トップクラスのアスリートやコーチが日本の子どもたちを1週間指導するドキュメント。先週末は米プロバスケットボールリーグ(NBA)で活躍した選手が中学生を指導する内容だった▼言葉の壁を越えて子どもたちと正面から向き合い、丁寧に言葉を掛けるコーチの姿。あっという間に絆が太くなる様子を見ていて、自分に足りなかったのは何か、少し分かった気がした。
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