小松精練(石川県能美市、池田哲夫社長)は13日、熱可塑性炭素繊維複合材料を世界で初めてRC建物の耐震補強材に採用、本社内に整備したファブリック・ラボラトリー「Fa-Bo(ファーボ)」の落成式を行った。設計・監理を隈研吾建築都市設計事務所、施工を清水建設が担当した。
1968年に建設された旧本社ビル(RC造3階建て延べ2873平方メートル)を耐震改修し、「ファーボ」に再生した。耐震補強では、従来工法に加え、鉄材に代わる補強材として、同社開発の熱可塑性炭素繊維複合材料「カボコーマ・ストランドロッド」を採用した。
同ロッドは、芯地の炭素繊維を合成繊維や無機繊維でカバーして編み、熱可塑性樹脂で固めたもの。軽く、引っ張りに強い炭素繊維の特徴を生かし、建物内外の耐震補強材として使用された。地面と建物をつなぐ無数のロッドは、布をまとったような外観を創出している。
落成式で池田社長は「“今がはじまり”と“温故知新”の思いを込めた」とあいさつ。池田社長から感謝状を贈られた隈研吾氏は「建築基準法上、炭素繊維は耐震補強材に認められていないが、建築を軽く、明るく、美しくできる炭素繊維の可能性を実例として見せられた。法的バックアップに期待したい」とし、宮本洋一清水建設社長は「関係者の熱意と工夫で具現化できた」と話した。
0 comments :
コメントを投稿