2015年11月12日木曜日

【回転窓】カニの値段と新幹線


 知人の結婚式で北陸を訪れた。現地で目に付いたのは、「カニ漁解禁」の大きな文字。こんなタイミングはなかなか無いと、初物をいただいてきた▼勧められたのが、ズワイガニの雌、香箱(こうばこ)ガニ。小ぶりだが、甘みのある身がしっかりと詰まっている。鮮やかな朱色のカニみそも、濃厚で、すこぶる美味。昼時だったが、酒が進んでしまった▼現地のニュースで、仕入れ値が例年より高いと報じていた。要因として考えられるのは、カニ需要の高まり。今年3月の北陸新幹線開業で、金沢などでは観光客が増加基調にある。時間距離が短くなれば、旬の味覚を堪能しようと足を伸ばし、カニを求める人も増えるのだろう
▼観光客の奪い合いという意味では、競争がシビアになるが、消費者にとっては、うれしい変化だ。石川県によると、北陸新幹線の開業後、予想以上に東北からの観光客が増える傾向にあるという。来年には、北海道新幹線が函館駅まで開業するため、誘客の増加余地は大きいというのが、同県の見方▼インフラのストック効果がどこまで発揮されるのか。カニ価格にも注目していきたい。

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