2015年11月13日金曜日

【万が一の備え】IHI、津波救命艇をモデルチェンジ

自動車のバンパーと同じ素材を採用した緩衝材が艇本体を保護
 IHIは、津波からの避難方法の一つとして13年に開発した津波救命艇を改良し、11日に同社の横浜事業所で報道関係者に試作艇を公開した。安全性を高めるため、後方からの衝撃耐性を強化したほか、新開発の専用シートベルトを導入した。従来型より一回り大きくなったことで居住性も向上している。

 モデルチェンジ型津波救命艇は、長さ9・5メートル、幅3・5メートル、高さ3メートルで、定員は25人。内部の段差をなくし、多目的利用ができる個室も備えた。改良型では、時速36キロでの衝突に耐えられるよう後部を強化したほか、シートベルトと座席を全面的に見直した。衝突試験を行って国土交通省の津波救命艇ガイドラインが定める基準を満たしていることを確認している。

 津波救命艇は、付近に高台や津波避難ビル・タワーがない沿岸地域や、長距離の移動が難しい高齢者や幼児が利用する施設などでの活用が期待されている。短い時間で避難でき、海に漂流しても約1週間は内部で生活が可能。IHIは国交省の委託を受けて13年に津波救命艇を試作し、国内で初めて第三者機関(日本舶用品検定協会)の原型承認を受けた。これまでに民間企業や福祉施設で3艇の納入実績がある。

 出町哲也社会基盤セクターレジリエンスプロジェクト部部長は、「IHIグループが手掛けている津波避難タワーと併用するなど、総合的な防災パッケージでの提案活動もやっていきたい」と話している。

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