新潟市が、15年度上半期(15年4~9月)に契約した工事のくじ引きで落札者が決定した件数と工種別発生率を明らかにした。総合評価方式の試行案件を除いた一般競争入札と指名競争入札工事479件のうち、最低制限価格と同額の札を入れた者が複数あったなどの理由で、くじ引きで落札者が決まった工事は313件で、率にして65・3%を占めた。くじ引きでの落札者決定率は特に土木一式、舗装、造園で多い。土木一式では89・1%、舗装は99・0%、造園は90・0%がくじ引きで決定している。
土木、舗装、造園で多い理由について、市は簡易な工事が大多数を占めることにあると見ている。簡易な工事なので同種・類似工事を基に予定価格を高い確度で類推。内訳も正確に再現できるため、「最低制限価格を当てるのはさほど難しいことではない」というのが市の言い分だ。
市によるとくじ引きでの落札決定が多いことに対し、業界からの改善してほしいという要望はそれほど強くないという。市は、落札率が年々上昇していることが背景にあるとみる。新潟市の15年度上期発注工事の平均落札率は91・1%。年度の平均落札率が03年度以来12年ぶりに90%台を記録する可能性が高い。
随意契約を除いた平均値を算出する現方式になった10年度以降で、年度の平均落札率が90%以上はない。市は落札率を上げるため、区が発注する予定価格5000万円未満の工事で昨年12月、最低制限価格の下限値を90%以上に設定した。この影響で、14年度第4四半期の落札率は91・4%になった。
市はさらに、改正公共工事品質確保促進法に発注者責務として盛り込まれた「担い手の中長期的な確保・育成のための適正な利潤が確保できるよう予定価格を適正に設定する」という項目を踏まえ、今年4月、工事の積算基準のうち、一般管理費の算出率と現場管理費の算出率を国土交通省と同水準に引き上げている。これらの施策が落札率上昇の要因と言える。
市は、くじ引きでの落札者決定率を下げるために、最低制限価格の算出にランダム係数を使う準備はできているという。だが同係数の使用について業界は難色を示しているという。
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