2015年11月17日火曜日

【回転窓】若者が担うレコードブーム


 エジソンが蓄音器を発明したのは1877年。本人が歌う「メリーさんの羊」の録音を子ども向け科学雑誌の付録のレコードで聞いたのはもう半世紀近く前と記憶する▼音楽メディアはレコードやカセットテープからCDに移り、今はネット配信が最先端。そんな中、LPレコードがはやりという。よくある中高年の懐古趣味と思いきや、流行の担い手は若者というから不思議なものである▼復活ブームはこれまでも時々あった。どうせ今回も、と疑いつつ日本レコード協会の統計を確認したら、アナログディスクの今年1~9月の生産額は前年同期の2倍に達し、既に昨年1年間の生産額を上回っていた▼アナログとデジタルの音を聞き分けるほど鋭敏な耳は持ち合わせないが、レコードには聴く姿勢を真剣にする効果があるように思う。自分の手で注意深く針を落とし耳を澄ます。あの一連の動作がそうさせるのだろうか▼曲名がなかなか覚えられなくなったのは、年のせいに加え、聴く姿勢の違いにも原因がありそうだ。レコードブームは、何でも使い捨てにする時代への若者らしいアンチテーゼかもしれない。

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