2015年11月12日木曜日

【帰ってきてみた、ちょっと一息】危険だからこそ…

photo by T
 険しい山道を抜けると、断崖の窪みにひっそりとたたずむ平安時代造られたお堂。鳥取県三朝町にある三徳山三仏寺の奥院「投入堂(なげいれどう)」は、国内に現存する平安密教建築の数少ない遺構だ。柱で床を支える縣造りで、もちろん国宝。今は白木に見えるが、昔は少なくとも白と赤で塗られていたことが、保存修理の際に行われた調査で分かっている。

 今回、投入堂の話題を唐突に取り上げたのは、会社の個人アドレス宛てに届いた1通のメールが理由。今週、休暇を取っている同僚から送られてきたメールには、お堂の写真と一緒に「お疲れ様です。命懸けで登ってきました。投げ入れ堂です」のメッセージが。

 投入堂に行くための山道は、「ここ数年の大雨でルート変更があり、前に行った時よりも厳しくなった」模様。服装も「ジーパンに上着姿は怒られた」そうで、足元も「登山靴じゃないとダメなのでわらじを購入」したとか。

 三徳山三仏寺の建立は、800年代半や1100年代後半などの説があり、今のところはっきりとしていない。投入堂も、使われている木材の年輪調査は1100年前後という結果が出ており、少なくとも12世紀以降に造られたとする説が有力だそうだ。いずれにしても、たどり着くまでの苦労が、投入堂をより神秘的でありがたみを感じる存在に高めていると思える。

 さて、気になるのは投入堂に行って写真を送ってきた同僚。無事に下山して、日本海の海の幸を堪能できたのだろうか…。

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