2018年8月22日水曜日

【こちら人事部】東鉄工業、リクルーターが積極活動

 ◇線路工事の就業体験で独自性◇

 東鉄工業は鉄道の保持・強化を目的に、当時の鉄道省の要請により関東地方の建設業者が企業合同して1943年に設立した総合建設会社。線路事業のほかにも「鉄道」を軸に相互に補完し合う4事業部門(線路、土木、建築、環境)を持ち、鉄道線路メンテナンスのシェアは国内最大を誇る。JR東日本とのパートナーシップに基づく安定した受注や、健全な財務状況がアピールポイントだ。

 同社が求めるのは「仕事に対する情熱」「自ら考えて行動するバイタリティー」「チームワークを大切にできる豊かな人間性」を兼ね備えている人材だ。採用を担当する管理本部の浅場澄人事部長は、それらに加えて「建物は協力会社と一緒に造り上げるため、他者とのチームワークも大切」と強調する。

 人材確保に当たっては「まずは学生に当社の名前を広く知ってもらうことが課題」と浅場部長。大規模就活イベントへの出展のほか、1DAYインターンシップ(就業体験)を開催するなどして学生との接点づくりに取り組む。同社は毎年、土木、建築、線路の3コースで1DAYインターンシップを実施しており、このうち線路コースの開催数を昨年から増やした。

 建築や土木に関するインターンシップは他のゼネコンでも実施しているが、線路コースは鉄道工事のリーディングカンパニーである同社独自の取り組みだ。3コースの中で最も人気が高い。「他社では体験できない線路での作業を通じて、当社の仕事内容への理解を深めてもらいたい」(浅場部長)と強みをアピールする。

 採用活動には出身大学の研究室にいる学生などを対象に補助的な採用活動を行う「リクルーター」を活用。近年では女性技術者の採用に向けて、女性のリクルーターも積極的に活動中だ。リクルーターのモチベーションを高めるため、採用実績などに貢献した場合に報奨金を支給する表彰制度を設けており、優秀な人材の確保に向けた独自の工夫を実践している。

 入社後の人材育成の流れをみると、ゼネコン各社が新入社員の研修期間を1カ月単位で長期化させているのとは対照的に、同社は新人研修を3週間程度に抑えている。研修後は5月の連休前に本店や支店に本配属。「早いうちから実際の現場で働くことが一番の勉強になる」(浅場部長)というのがその理由だ。

 配属後は「トレーナー制度」に基づいて先輩社員による1年間の教育が行われる。OJTと違い、指導担当者となる先輩社員が仕事だけでなく生活面での相談にも対応。先輩社員が寄り添い指導することで離職対策につなげている。

 就職活動は一生を左右する決断のための大事な期間。企業研究などの準備をしっかりして臨む必要があるが、浅場部長は近年の学生の傾向として「志望職種がしっかりと定まっていない状態で就活している学生も多い」と指摘する。採用選考に関する経団連の指針が年によって変動し、選考スケジュールが早まっていることも要因の一つに挙げる。

 就活中の学生に対しては、「自分がやりたい仕事は何かをしっかりと考え、自分が納得するまで企業研究をしてほしい。その上で、当社を選んでくれたらうれしい」と話す。

 《新卒採用概要》

 【新卒採用者数】 男性71人(18年度実績、技術系69人)、女性7人(5人)

 【3年以内離職率】17%(15年度新卒)

 【平均勤続年数】 男性13年11カ月、女性11年11カ月(18年3月末時点)

 【平均年齢】   41・6歳(同)


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