2018年8月7日火曜日

【回転窓】価値観はさまざま

先日、東京都内で建築家・藤村龍至氏の講演を取材した。単純な形の模型に行政や住民らの意見や細かい設計条件を反映させ、提案を磨き上げていくのが藤村氏の基本姿勢と聞いた▼多くの考え方を柔軟に吸収して最適解を導くのは簡単でない。藤村氏は案を統合する過程も開示し、その土地に必要な建築を作り上げていく▼欧米諸国などに比べ、日本社会には多数派と同じ言行を暗に求める「同調圧力」が強く働いているといわれる。KY(空気が読めない)という言葉がはやったのは数年前。悪意がなく無意識だったとしても、その場の雰囲気を察した発言や行動をしないと何となく居心地が悪くなってしまうケースがある▼少数派の意見をどうやって尊重し取り入れていくのか。一朝一夕に解決できる問題ではないのだが、個人をより重視する時代の中で職場や学校、コミュニティーなど多くの場面で解決策を探る必要がある▼気配りを大切にしながら自分の意見を冷静に伝え、賛成、反対にかかわらず相手の意見を理性的に聞きより良い答えを導き出す。藤村氏が建築で実践しているやり方はさまざまな場面に応用できそうだ。

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