東京都は23日、「東京2020大会後の神宮外苑地区のまちづくり検討会」(座長・下村彰男東京大教授)の3回目の会合を都庁で開き、街づくり指針の素案を公表した。
既存スポーツ施設の連鎖的建て替えで新宿、渋谷、港の3区にまたがる神宮外苑地区の中核を担う新たなスポーツ施設を整備する。地域の歴史を生かした緑と交流の拠点、高度な業務・商業機能の導入などを一体で進める。
街づくり指針の対象は、神宮外苑地区(面積64・3ヘクタール)で地区整備計画が未策定の40・6ヘクタール。10月の4回目の会合で指針をまとめ2020年東京五輪後、街づくりに着手する。
聖徳記念絵画館や軟式野球場がある敷地東側を「豊かな緑と歴史の継承エリア」に位置付けた。絵画館前の開放的な中央広場を中心とした土地利用を図る。絵画館に向かうイチョウ並木の景観を保全した憩いの空間も創出する。明治神宮球場や秩父宮ラグビー場が立つ敷地中央は「スポーツ文化発信エリア」とし、広場空間の創出と大規模スポーツ施設の再編・更新を一体で行う。
敷地西側のスタジアム通り沿道と、南側の青山通り沿道には「機能複合・高度化エリア」を設定した。青山通り沿道は業務・商業・交流機能の高度化、通りの特徴に適した複合市街地の形成を目指す。神宮球場沿いのスタジアム通り沿道はスポーツ文化発信エリアとも重なるゾーンとして、人を引き込む多様な機能の導入を図る。
敷地中央と西・南側の両エリアは、地権者との協議で市街地再開発事業の活用が決まったb区域(17ヘクタール)に含まれる。一定規模の緑地確保などを条件とし、民間に開発計画を提案してもらう公園まちづくり制度を併用して開発する。
素案では、b区域の計画提案時の条件の一つに「形状が整った1・5ヘクタール以上のまとまりのある開かれた広場の整備」を明記した。周辺の地下鉄駅とつながる円滑な動線整備の提案も求める。
対象地区全体ではバリアフリー対応の歩行者ネットワークを形成する。地区内の駐車場は開発施設と一体となる形でなるべく立体化し、歩行者通路、広場、緑のための空間確保を優先させる。地区内の施設やオープンスペースは近隣の都立明治公園とともに災害発生時の防災拠点とする。
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