◇「人材」を強みとする事業展開◇
1998年12月に発足したリアル建設(東京都世田谷区、前澤正利社長)は、土木系専門工事会社として元請、下請で数々の工事をこなし、年間40億円ほどを売り上げている。
200人近い現場作業員を社員として抱えており、人手が不足する現場の要求に即応して、5~6人の班を送り込むことができるのも大きな強み。要求に応えるべく、自社の「リアル建設職業訓練校」での人材育成にも力を入れている。
水道工事とガス工事をメインに事業を展開。水道工事は東京都水道局の発注を中心に老朽管の入れ替えや耐震管の敷設などを元請として施工する。ガス工事は東京ガスの案件で同様に老朽管の入れ替え工事などを担う。その他、無電柱に対応した電線共同溝やゼネコン、舗装会社の下請として一般土木工事まで幅広く手掛ける。
現場の作業員は30人ほどいる職長ごとの班に配属させ、必要な班数を現場に向かわせて施工に当たる。警備員も抱え、ダンプをはじめ各種重機も多く保有しており、同社に仕事を依頼すれば細分化した下請に出すことなく、一元管理で施工できるのが大きな特色といえる。
少子高齢化で労働力人口が減少する中、多くの人材を抱えていることを強みとして特定のゼネコンの協力会に属することなく事業を展開している同社。取引先の要求に応えられるよう、人材の育成には特に力を入れている。この春に始めた3カ月に及ぶ新人研修では、座学と実技をみっちり習得し、さらに現場作業に欠かせない複数の資格も取得してから現場に送り出すことにしている。
◇建築系に幅広げた職人集団に◇
今は入社時期に応じて、4月、8月、12月の3回に分けて行う研修で座学の講師を務める教育本部の野家正行課長は、「当社は社長の方針もあって、1人のスーパーマンをつくるのではなく、チームワークで助け合って仕事をすることを徹底している」と話す。そのため、単に建設の技能だけでなく、現場で働くためのマナーやモラルといった社会人に必要な素養を備えられるような教育にも力を注ぐ。東京都から訓練校の認定を受ける準備も進めており、それによって「信頼性を高めていきたい」(野家課長)とする。
3カ月の研修後は、適性を見極めた上で30人の職長が話し合ってどの班に属するかを決める。4年前からベトナム人の技能実習生も受け入れており、現在30人ほどが各班に分かれて現場施工を担っている。
人材を売り物に事業展開する同社は、ジャスダック上場を手始めに最終的に1部上場する青写真も描く。事業規模を拡大するために建築部門への進出も考えており、M&A(合併・買収)で左官や板金といった職種の会社を傘下に収めようと現在交渉を進めている。実現すれば、訓練校でこうした職種のコースも追加し、幅広く施工に対応できる「職人集団となるのが目標」(野家課長)という。
採用にも積極的に取り組んでおり、会社説明では、入社してから年齢、能力、資格に応じて得られる年収も分かるキャリアパスも提示。若者が夢や希望を持って同社の門をたたき、働ける環境づくりにも力を入れて取り組んでいる。
0 comments :
コメントを投稿