手塚治虫が1952年に少年誌で連載を始めた人気漫画『鉄腕アトム』。そこにはロケットやジェット機が登場し、高速道路や高層ビルが立ち並ぶ都市、立体映像機を使う暮らしが描かれている▼60年の時代を経て現代人には当たり前とも映る光景だが、戦後の荒廃した日本で漫画を通して未来を予見し、国民を鼓舞した手塚の思いには頭が下がる。手塚漫画の世界に触発され技術者を志した人もいただろう▼土木学会が4日、建設中の東京外かく環状道路(外環道)で現場見学会を開いた。招待されたのは学会が今春に行った「未来の土木コンテスト」で入賞した小学生。子どもたちが考えた未来には津波が襲っても水に浮かぶ建物や子どもが遊ぶことで発電する遊具、地球とエレベーターでつながる宇宙コロニーなど夢や希望にあふれていた▼土木学会の関係者が現場選びで大切にしたのは、子どもが夢を紡ぎ出すきっかけとなる場を探すことだそう▼外環道の現場に入った子どもたちがシールド機を使ってトンネルを掘り進める光景を見てどう感じたのだろうか。幼い時の楽しい思い出が、夢のある未来をひらくと信じたい。
0 comments :
コメントを投稿