1890年に創業した若築建設は、2年後の20年に創立130周年を迎える。
日本産業を支えた筑豊炭田の石炭積み出し港として、洞海湾の若松港(北九州市若松区)を築営することを目的に設立されたのが始まりだ。以降、海上土木を中心に、陸上土木、建築と活躍の場を広げている。
建設業は多くの人と関わりながら一つのものを造り上げる。採用を担当する東京本社総務人事部の大坪岳彦人事課長は、求める人物像として▽人と人の関わりを大切にできる人▽物事を前向きに捉えられる人▽プレッシャーに打ち勝つ意思を持つ人-の3点を重視する。
新卒採用活動は激しい争奪戦が続いている。同社の採用に対する意識は年々高まり、企業合同セミナーをはじめ、学内説明会、国土交通省などが主催する建設フェアなどに積極的に参加している。メッセージアプリ「LINE」を活用した採用支援ツールの導入やウェブでの会社説明会の開催なども予定する。
建設業の仕事を身近に感じてもらうための取り組みにも積極的だ。朝礼から測量、写真整理に至るまでの現場の一日を体験する5日間のインターンシップや、手軽に参加できるセミナー形式のインターンシップを実施。会社の概要説明だけでなく、与えられた課題に対してグループワーク形式の発表を行う機会も設けている。
◇大きく育てる土壌が売り◇
4月の入社式前に実施する新入社員を対象とした5日間の集合研修は、学生から社会人へ移行する重要な期間と位置付ける。会社の制度を学んだり、社会人としてのマナーを身に付けたりするだけでなく、寝泊まりを共にして同期の絆を強くできるとあって、新入社員からの評判は毎年上々だ。
入社6カ月後には、フォローアップ研修を実施。そこで半年後の短期目標を設定する。上司による面談を行い、目標を共有しながら細やかな指導を行っていく。
大坪課長は「当社は一言で表すと働きやすい会社。職場の雰囲気は明るく温かみがある」と強調。「一人一人に目が届き、その成長を見守り、さらに大きく育てることができる土壌がある。早い段階で現場を任せられるので、自ら考え行動することが求められる。それが個々の成長と自信につながり、レベルアップを促進している」という。
経団連は、就職・採用活動の解禁時期を縛る「就活ルール」の廃止を正式決定した。21年春入社以降の新卒者から対象にする。目安となるルールがなくなることで、学生と企業の両方が活動を本格化させる時期を大幅に早めかねない。
「情報を容易に手に入れられる時代になった。ただ、今後働いていく会社だからこそ妥協せず、足を運んで会社を訪れ、見聞きしてほしい。情報だけでは見えてこないものを感じることも重要な選択肢の一つになる」と大坪課長。「面接では、勉強のほかにも学生時代に一生懸命取り組んだことなど、自信を持ってアピールできるものをぶつけてほしい」とアドバイスを送る。
《新卒採用概要》
【新卒採用者数】 男性25人 女性7人(17年度実績)
【3年以内離職率】7・1%(14年度新卒)
【平均勤続年数】 男性19・7年、女性11・0年(18年3月末時点)
【平均年齢】 44・9歳(18年3月末時点)