2018年11月28日水曜日

【改正JISと新構造規格に対応】スリーエムジャパン、日本人向けフルハーネス型安全器具で攻勢


 ◇欧米で得た製品開発のノウハウ活用◇

 来年2月1日から改正労働安全衛生法令が施行され、建設現場で着用する墜落制止用器具(安全帯)の規制が厳しくなる。

 スリーエムジャパン(東京都品川区、スティーブン・ヴァンダー・ロウ社長)は、高所作業での着用が原則化される身体の複数箇所を支持するフルハーネス型の販売に注力している。同社の製品は厚生労働省の告示で定める新しい構造規格や改正JIS(T8165)に適合済み。作業の汎用(はんよう)性でも日本人ならではのこだわりに合わせ工夫を凝らしている。

 同社は75カ国以上でフルハーネス型墜落制止用器具の販売実績がある。昨年1月から日本でも販売を始めた。背景には、日本の建設現場で突出して多い墜落・転落災害を防ぐ観点から、安全帯の標準タイプを従来の胴ベルト型からフルハーネス型に移行する厚労省の方針があった。

 主に米国で人気が高い「3MDBI-サラエグゾフィットネックス」(想定売価5万2500円)と、欧州で人気の「3Mプロテクタ」(1万3800円)の販売を先行している。

 ◇作業員の使いやすさと安全性を追求◇

 昨年10月からは、日本人作業員を念頭に置いた「3MDBI-サラエグゾフィットライト(回転式ベルトアジャスター)」(2万9000円)と「同(パラシュート式ベルトアジャスター)」(2万7000円)の販売を開始。先行品と同様の安全機能を確保した上で、日本人の要望を踏まえ着脱やフィット調整のしやすさに配慮した。

 同社製品はすべて年明けに告示される新構造規格と、細則を定めた改正JISに適合している。落下・宙づり時、体を圧迫する力を臀部(でんぶ)全体に分散。太ももに装着したベルトが股に食い込んでしまうのを抑制する骨盤サポートベルトも採用している。宙づり時の姿勢安定性としゃがんだ姿勢での作業のしやすさを両立させる「X字」型の背面ベルトを導入している。

 日本人向けの2製品では、作業員が腰に装着するケースが多い道具ベルトとの併用も考慮。各国で販売してきた製品と比べ、道具ベルトを通しやすくした。

 同社の中辻陽平安全衛生製品事業部事業部長は、命綱に当たるランヤードも含めたフルハーネス型について、18年第3四半期(7~9月)の売り上げが前年同期比で約5倍に増えていると説明。19年は前年比3~5倍程度の売り上げを目標としている。法令で規定されるフルハーネス型着用者向けの特別教育をサポートする取り組みや、周知活動にも注力していくという。

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