2018年11月8日木曜日

【回転窓】技術革新と規制のバランス

技術革新を進めようとする場合、規制の在り方が常に問われる。規制が強すぎるあまり、産業の発展を遅らせる原因になることもある▼興味深い一例に、19世紀後半に英国で施行された「赤旗法」がある。同法では、歩行者や馬車の安全を確保するため、赤旗を持った者が自動車の前方で先導し、危険物の接近を知らせなければならないとされた。これがスピードを要求される自動車産業の発展を遅らせたともいわれる▼現在の自動車産業が目指している自動運転で常につきまとうのが安全性との両立だ。道路脇から急に子どもが飛び出してきた時などの事故リスクをどう防ぐかが問われている▼リスクを回避しようと規制を厳しくしすぎれば、技術の発展も望めない。一方で規制を打破してこそ、未来につながる技術が革新していくのだとすれば、英国の赤旗法も過去の過ちと笑えなくなる▼「もっと自由な発想で考えるべきではないか」。規制を作る側の行政関係者がそう話していたのを聞いた。「賢く使う」ことが求められるインフラ分野。大胆な発想を阻むことがないよう、未来を形作る上で規制とのバランスが問われる。

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