2018年11月14日水曜日

【提携紙ピックアップ】建設経済新聞(韓国)/韓国の建築設計界、フリーランサー急増

労働時間の上限を週52時間とする改正勤労基準法が7月1日に施行となった韓国の建築設計界で、フリーランサーの雇用が急増している。

 正規職員の勤務時間が52時間に達した時点で、代わりに夜勤を通じて残った業務を行うケースが増えているという。韓国版「働き方改革」によって生じた労働力不足により、かつて月に400万~500万ウォンで雇用できていたフリーランサーの報酬が最近では700万~800万ウォンにまで跳ね上がっている。

 同国では、週52時間労働時間制が導入されて4カ月近くが経過した。日刊建設工業新聞が提携する同国の建設経済新聞が報じた1日付の紙面によると、常用労働者300人以上を抱える大手建築事務所が一斉に労働監督調査を受けており、このうち最大手10社の一部では現場調査も行われたようだ。法規定の順守を巡る労働監督調査を恐れる企業が、フリーランサーの雇用を急増させているとした。

 フリーランサーは、プロジェクトごとに会社を転々と渡り歩き、正規職員らと共に作る数人単位のチームに混じって、仕事の手伝いをする。これまでは納期を控えた時期に緊急雇用するケースが多かったが、現在はプロジェクト開始時点から構成員として使われることが多い。チーム単位で雇用するフリーランサーはこれまで1~2人だったというが、今は2~4人にまで増えている。

 52時間労働時間制の導入以降、需要が急拡大したフリーランスの報酬は天井知らずの状況という。ある建築設計事務所の役員は、「正規職員の月給よりフリーランサーの月給の方がはるかに多い」として、同じプロジェクトで仕事をする職員の士気低下を懸念する。1年単位で勤務時間を策定すれば、週52時間の規制に適合できるのに、「政府があえて3カ月単位としたことによる弊害が出ている」とも指摘した。

 現場調査を受けた大手事務所のうち、8月から調査が入っているとするA社の関係者は、「この3カ月間で業務がまひした状態であり、精神的にまいった」とする。労働監督官が誘導質問を続けたとするB社関係者は「非常に緊張した。職員休暇願などの書類もきちょうめんに調べていった」とした。

 政府が現在進める現場調査は、52時間労働時間制の確実な実施に向けた啓発と位置付けられているというが、C社役員は「後で要注意業者に分類されて強力な調査を受ける」のではないかと警戒感を示す。そのため同社は、問題の素地をなくすためにも、「正規職の採用を減らして、フリーランサーを最大限稼働させることにした」という。

CNEWS、11月1日)

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