2019年7月31日水曜日

【回転窓】働き方改革と移動時間

学生らが夏休みに入り、通勤電車がいつもより空いている。満員電車であることに変わりはないが、いつものようなすし詰めではなく、隣人との間隔が少しでも空くのはありがたい▼働き方改革の影響もあり、建設会社の今年の夏休みは8月のお盆時期に9連休という会社が多いようだ。年間労働時間が他産業に比べ長い建設業。それだけに長期休暇は労働時間の短縮にも効果的といえよう▼本紙最終面で「建設人のための経済学」を連載中(毎週木曜日)の大石久和氏は、働き方改革について「社員の働き方をどうするかは会社の経営者が決めること」で、政府が決めることではないと指摘。政府はあくまで労働時間短縮の手段を提供すべきだとも▼例えば暫定2車線という危ない高速道路を4車線以上にし、時速100キロで走れるようにすれば移動時間は大幅に短くなる。政府は働き方改革の掛け声だけでなく、どうすれば無理のない労働時間の短縮ができるかを考え実行すべきだと手厳しい▼確かにその通り。テレワークなど働く環境を変えるだけでなく、ハード面の整備も不可欠。移動時間の短縮はその好例といえるだろう。

【最大収容5000人、延べ1・3万㎡】青森市、新アリーナ整備にDBOとPark-PFI採用へ

青森市がアリーナプロジェクト有識者会議の会合を開き、旧国鉄青森操車場跡地(浦町橋本)に計画しているアリーナの整備手法を提示した。本体をDBO(設計・建設・運営)、緑地と広場、民間収益施設にPark-PFI(公募設置管理制度)は想定し、民間事業者で構成するグループが一体的に実施する考えを示した。今後、施設の規模や機能を示した要求水準書案をまとめ、秋に開催予定の次回会合で提示する。

 特定公園施設部分が小さくなることで国庫交付金の採択条件を達成しやすくなり、公募対象公園施設も小さいため、民間事業者の収益リスクが小さい。DBOも都市再生整備計画事業を充当できる部分があり、最もバランスが良いと判断した。

 民間事業者は設計・工事監理、建設、造園、スポーツ施設運営、施設管理、飲食・物販の各企業で構成したグループを想定。新アリーナの整備にDBO、広場や外構など特定公園施設と飲食や物販など民間収益施設の整備にPark-PFIを導入。収益施設は民間資金を活用する。

 アリーナは跡地中心部の市有地(約5・2ヘクタール)に建設し規模は約1万3800平方メートルを想定。メインアリーナは最大5000人を収容し、サブアリーナや多目的ルームを備える。約300台分の駐車場を確保する。

 今秋に要求水準書案を公表し同後半に事業者公募を開始。2020年度前半に提案を受け、同年度内に事業者を決定。22年度に着工し、24年度の開館を目指す。

【ゴシゴシ!ピカピカ!!】毎年恒例!日本橋(東京都中央区)を徹底洗浄!!

 名橋「日本橋」保存会(中村胤夫会長)が中心となって毎年開催している日本橋(東京都中央区)の橋洗いが28日に行われた。地元の町内会や企業などから約1900人が参加。デッキブラシで石畳の汚れを洗い流した。

 橋洗いは49回目。全国各地の名水を道路元標に注ぐ「名水合わせ」や、国土交通省関東地方整備局東京国道事務所による散水車を使った散水なども行われた。

 オープニングセレモニーで中村会長は「2020年東京五輪・パラリンピックで訪れる人たちに、きれいな街並みをお見せしなければならない。橋洗いをきっかけに、周りの清掃活動に取り組んでほしい」とあいさつ。山本たいと中央区長は「日本橋上空の首都高速道路の地下化が検討されている。橋洗いを機に、日本橋がさらに輝くよう、区としても協力していく」と語った。

【大型ビジョンや高密度無線LANなど整備】有明アリーナ(江東区)運営事業、電通ら設立SPCと実施契約締結

12月の竣工を目指し工事が進む有明アリーナ
東京都は30日、2020年東京五輪・パラリンピックの競技会場となる「有明アリーナ」(江東区)の運営事業について、電通ら7社が設立した特別目的会社(SPC)の「東京有明アリーナ」とコンセッション(公共施設等運営権)方式に基づく実施契約を締結したと発表した。

 SPCの出資者は▽電通▽NTTドコモ▽日本管財▽アミューズ▽Live Nation Japan▽電通ライブ▽アシックスジャパン。協力企業として▽NTTファシリティーズ▽クロススポーツマーケティング▽三菱総合研究所-も参画する。

 運営開始は五輪大会後の21年6月を予定している。契約期間は46年3月31日まで。運営権対価は93億8682万7396円(税込み)。SPCの業績に連動して都に支払う金額は、税引き前当期純利益の50%に設定した。

 有明アリーナの規模はRC一部SRC・S造5階建て延べ4万7200平方メートル。12月の竣工を見込む。電通らの提案によると、スポーツ大会やコンサートなど幅広いイベントを企画。大型映像ビジョンの設置や高密度無線LANなどへの継続投資で、アジアを代表する最先端スマートアリーナとする。

2019年7月30日火曜日

【担い手確保へ工高生向けインターンシップ】神奈川建設重機協組、向の岡工高の就業体験受け入れ

 神奈川建設重機協同組合(内田靖夫理事長)は24~26日の3日間、県立向の岡工業高等学校(川崎市多摩区)から2年生7人のインターンシップ(就業体験)を受け入れた。

 生徒を迎えたのは▽大京建機(川崎市川崎区)▽多摩川機工(川崎市宮前区)▽市原クレーンサービス(横浜市港北区)▽理想環境エンジニアリング(横浜市青葉区)-の4社。大京建機は女子生徒2人を迎え、現役の女性オペレーターが「女性の立場からみた建設作業員」をテーマに授業を行った=写真。クレーンの操作体験や作業現場の見学などを通じ、クレーンオペレーターの仕事を学んでもらった。

 参加した生徒は「父が重機オペレーターとして働いており、小さいころから憧れていた。実際に操作をさせていただき、ますますオペレーターになるという目標が明確になった」(土田若菜さん)、「高校の出前授業でクレーン車に興味を持ち、インターンシップに応募した。女性から経験談を伺い、女性に優しい職場と実感できた」(吉田綾乃さん)などと話した。

 同協組は出前授業やインターンシップを足掛かりに高校などと関係を深めている。県内にある工業高校から卒業生を迎えるなど新卒採用で成果を上げている。担い手を確保・育成する成功事例として注目されている。

【ナビアプリの開発を後押し】国交省、成田空港内の電子地図を公開

 国土交通省が成田国際空港(千葉県成田市)の屋内電子地図を公開した。無料でダウンロードでき、屋内ナビゲーションなどアプリケーションの開発に役立ててもらう。

 屋内外の位置情報を活用したさまざまな民間サービスの創出を後押しする。2020年東京五輪・パラリンピックを見据えインバウンド(訪日外国人旅行者)や高齢者、障害者など誰もが円滑に移動できる環境をつくる。

 国交省が取り組んでいる「高精度測位社会プロジェクト」の一環。成田国際空港の屋内電子地図を産学官の地理空間情報を扱うプラットフォーム・G空間情報センターで閲覧可能にした。

 公開した地図は国土地理院の標準仕様に基づき作成。駅改札口から出国手続き前までのターミナル各フロアの通路や階段、トイレなどのデータが利用できる。通路の段差や勾配などを含む屋内ネットワークデータも公開。段差を回避したバリアフリールートの検索といったサービスも開発可能だ。

【回転窓】古民家と観光振興

小学生だった頃、夏休みに入ると必ず父親の実家があった鎌倉に行っていた。今にして思うと毎年恒例の家族旅行だったのだろう。普段接する機会がない祖父や祖母に会えるのが楽しみだった▼祖父らが住む家は真裏が切り立った岩山。平屋の家は昭和初期の日本家屋で、山から落ちてきたのか大きなクモやムカデと家の中で遭遇することもしばしば。驚きや怖さより珍しい生き物に出会えることが楽しみだった▼古い家屋などの歴史的資源を観光に生かす取り組みが各地で活発になっている。先週、千葉県流山市と千葉銀行が連携協定を締結。古民家などを活用した観光振興に乗りだすそうだ▼古民家を修復して飲食店を開業する事業者に補助金を出して再生事業を後押ししてきた流山市。今後、観光振興関連の官民連携法人を設立し融資や計画策定をバックアップする。観光街づくりを進めて地元の魅力を高めていくのが狙いといい、官民連携の今後が楽しみだ▼鎌倉にあった家は既に解体され、家が建てられて新しい家族が住んでいる。今もムカデやクモは出るのか…。新しい住宅の前を通った時、そんな思いが脳裏に浮かんだ。

2019年7月29日月曜日

【キャッチフレーズは「棚田に恋」】農水省、棚田カードで地域に魅力発信

 全国各地の棚田を巡るきっかけにと、農林水産省が「棚田カード」を作成した。第1弾は31府県56地区の棚田を取り上げた。

 カードは表面に四季折々の美しい棚田の風景写真、裏面に棚田の枚数や面積、傾斜などの情報を掲載。棚田の歴史も知ることができる。棚田ファンだけでなく、棚田を知らない人などに魅力を伝え、地域活性化にも役立てていく。

 農水省は昨秋、棚田保全と地域活性化を目的に都道府県と連携して「棚田カードプロジェクト」を始動させた。棚田を巡るツールとして、カード化した地域を一覧にしたマップや、棚田地域の行事がわかるガイドも作った。ガイドには市街地から棚田地域までの所要時間をランク付けした「秘境度」を表示し、山間部や離島などアクセスが難しい棚田地域にも関心を寄せてもらう。

 「棚田に恋」をキャッチフレーズにPR活動を展開していく。配布場所など詳細は農水省のホームページへ。

【皮付き丸太使う工法採用】清水建設、新天皇即位儀式に使う大嘗宮の建設着手

 清水建設は26日、新天皇の即位儀式を行う「大嘗宮(だいじょうきゅう)」の造営工事に着手したと発表した。

 同日、現地で関係者による大嘗宮地鎮祭が開かれた。宮内庁から受注し、東京都千代田区の皇居・東御苑に建設する。大小約40棟の建屋で構成。建屋の一部には皮付きの丸太をそのまま使う日本古来の工法を採用する。即位儀式は11月14~15日に行われる予定で、10月末までの完成を目指す。

 大嘗宮は新天皇が新穀を神々に供えて世の安寧や五穀豊穣(ほうじょう)などを祈る「大嘗宮の儀」を執り行う施設。大嘗宮を構成する建屋約40棟のうち、大嘗祭の祭場となる「悠紀殿(ゆきでん)」、「主基殿(すきでん)」など約30棟の殿舎が木造建築となる。

 建屋はいずれも平屋で、最高高さ約9メートル、総延べ床面積約2600平方メートル。悠紀殿、主基殿、廻立殿の3棟には「黒木造り」と呼ばれる皮付き丸太をそのまま使用する工法を採用。柱はカラマツの黒木、悠紀殿と主基殿の2棟は屋根上に千木(ちぎ)と勝男木(かつおぎ)を備える。殿舎には木材約550立方メートルを使用する。

 同社は大嘗宮の造営に当たり、「(国宝)出雲大社平成の大遷宮」を納めた熟練の工事長を責任者とする、神社仏閣建設の経験者を集めた全社横断のプロジェクトチームを結成。北陸、関東、東北地方から宮大工を確保した。工事の最盛期となる8月下旬には、約120人の宮大工が現場に入る予定だ。

【プロジェクト実現へ基本計画策定】サッカースタジアム基本計画策定支援業務(広島市中区)、PwCJVに

広島市は、「中央公園サッカースタジアム(仮称)基本計画策定支援業務」の委託先を選定する公募型プロポーザルで、PwC・昭和設計・福山コンサルタントJVを最優秀提案者に選定、4980万円で契約した。次点は山下PMC。履行期間は2020年3月19日まで。業務費用は4980万円以内としている。

 今年5月に公表した「サッカースタジアム建設の基本方針」を踏まえ、施設の具体的な整備内容や管理・運営方法などについて調査・検討を行い、基本計画案を策定する。対象地は広島市中区の広島市中央公園広場。スタジアム本体は、日本サッカー協会の定める「スタジアム標準」と日本プロサッカーリーグの定める「スタジアム検査要項」に準ずる使用とする。

 業務内容は▽中央公園広場周辺エリアの条件整理(整備の基本方針・事業コンセプト、ゾーニング、紙屋町エリアの回遊性向上など。管理・運営の基本方針・スタジアムと広場の一体的計画、整備、運用の可能性についてなど)▽中央公園広場内のスタジアム配置検討(メリット、デメリットの整理、配置の絞り込み。配置計画図作成)▽多機能型スタジアム施設の検討(スタジアムコンセプト・サッカー以外の利用に関する考え方整理、デザイン理念。客席規模。施設計画検討・導入機能、機能配置、動線計画、設備計画など。供給処理計画検討・再生可能エネルギーの導入などの検討。県内外からの年間を通じた集客を目的とした多機能化の検討・ウェブアンケート、サウンディング〈対話〉型市場調査など)。

 中央公園広場の年間を通じたにぎわいづくりの検討では、スタジアムを除く部分について複合開発の在り方などを検討する。▽にぎわいづくりのための再整備方針(ゾーニング、スタジアム周辺の在り方整理)▽中央公園広場周辺と連携した周遊ルートの形成につながるにぎわい施設の設置範囲と配置の検討▽にぎわい施設の整備方針▽整備手法の検討(Park-PFI、設置管理許可制度など)。

 このほか、広場内の既存機能の確保、周辺環境への配慮、概算事業費(事業・運営スキーム検討のための試算)、事業・運営スキームなどを検討し、中央公園サッカースタジアム(仮称)基本計画素案を作成、市民意見の募集を行い計画案を作成する。

【凜】金子機械経営管理部・市村明奈さん

 ◇アイデア出して日々まい進◇

 数字が好きだから経理をやってみたいと考え就職先を探していた時、建設機械レンタルという業種と初めて出会った。「建設業界のことを何も知らないからこそ面白そうだ」と思い切って飛び込んだ。

 現在は経営管理部の一員として、経営企画から広報、経理、人材採用まで幅広い業務を担当する。昨年設立60周年を迎えたが、ここ数年、会社は急成長を遂げており、ベンチャー企業のような雰囲気もあるそうだ。より良い会社に成長していくため、新たな取り組みやアイデアを提案する場面も多く、やりがいを感じている。

 今の時代に合わない部分を改善しながら、今後の成長へ向けたプラスアルファの部分を作り上げているのが今の状況。「入社年数にかかわらず公平な目線で判断してくれる。多くのチャンスをくれた恩を返したい」との姿勢を示す。難しさやプレッシャーを感じることも多いが、経営陣からの期待もひしひしと感じている。将来的な海外取引の増加を見据えて、外国語の勉強も計画中だ。

 「この会社が好きなので結婚や出産があったとしても仕事を続けていくつもり」と笑顔で話す。「性別に対する認識が変わっていくといいな」とも。そのためにも、まずは自分自身がもっと頑張って会社の役に立ちたいと思っている。「行動しなければ何も変わらない」をモットーに、これからも歩を進める。

 (いちむら・あきな)

【やっぱり!マイユニホーム!!】日本ERI「爽やかさと信頼感を演出」

 創立20周年の節目に合わせて6月にユニホームをリニューアルした日本ERI。作業効率を高めるため、軽量で耐久性が高く伸縮性に優れた素材を取り入れた。

 ワイシャツタイプにしてカラーリングも刷新。爽やかなイメージを醸し出しながら、第三者機関の職員として信頼性を喚起させるスタイルを目指した。色違いの2パターンがあり、社員が希望で選択できる。

 以前は夏服と冬服をそろえていたが、通年用のパンツとシャツに切り替えた。中間期などにも対応できるよう新たに撥水(はっすい)性のあるウインドブレーカーを用意。コンパクトに収納できる回転ヘルメットや軽量な安全靴など備品も充実した。

 開発を手掛けた住宅評価部の小笠原敏允氏と評価企画部の池端幹子主査は「普段の業務と違い、手探り状態だった」と振り返る。社内ワーキンググループで検討を重ねていった。

 その成果もあり「現場検査で建設会社社員から格好良いと褒められる」「仕事に対するモチベーションが上がる」と社員の評判は上々。新しい作業着を着用した写真を新卒向け会社案内に掲載するなど企業PRにも生かしていく。

【駆け出しのころ】不動テトラ常務執行役員九州支店長・濵野尚則氏

 ◇何事にも自然体で頑張る◇

 高校時代に所属していたボート部では地元の瀬戸内海で練習し、試合はダム湖で行われていました。普段から何げなく土木構造物に接していたこともあってか、大学では土木を勉強しました。複数の会社の中から選んで入社した日本テトラポッド(現不動テトラ)ですが、思い返せば練習の合間の休憩時にボートを係留していたのがテトラポッドでした。

 入社1年目の赴任地は静岡の遠州作業所。宿舎も併設されていましたが、きれいな部屋とはとても言えません。浴室は作業員と一緒で、プライベートはほとんどなかったです。

 2年目に秋田へ異動した後は、港湾施設の築造工事などを担当してきました。7、8年目の時に担当した福井県の茱崎漁港災害復旧工事は思い出深い現場の一つ。冬季の波浪で滑動・スライドした防波堤のケーソン復旧は当時、全国的にも珍しい工事でした。

 その工事を地元企業と受注し、所長として担当しましたが、どのような施工方法が最適なのか分からない。早期復旧への地元からの要望も強く、発注者や工事業者など関係者の協力を得ながら、短期間で無事完了させることができました。

 別の港湾工事ではケーソンを据え付ける直前にトラブルが生じたことがありました。ケーソンが目の前に来ている状況で、対応策を素早く考えて急場をしのぎました。時間がない中で無事に作業を完了することができましたが、肝を冷やしたことを今でも覚えています。

 現場では多くのことを学びました。入社後の現場経験が、その後の営業職に生かされました。現場とは違ったしんどさもありますが、仕事を取る面白さは格別です。その地域で強いとされる企業の間隙(かんげき)を縫い、受注の成功・失敗に一喜一憂しながら頑張ってきました。

 建設業で働く人たちの思いなど、そうしたつながりを意気に感じて仕事をしてきました。これまでの会社人生で辛いことや失敗もありましたが、辞めようと思ったことは一度もありません。合併も結果として良かったと思います。陸上土木などを含めこれまで以上に市場が広がり、より幅広い仕事ができるようになったことで、営業や現場のやりがいも増します。

 60代半ばとなり、目の前の数字に振り回されず、与えられた職務を全うする。根腐れせず、上手に枯れていく。現状を受け入れて頑張るだけ。将来どうなるかは、人も企業も社会も分からない。若い人たちにはおごらず、めげず、何事も自然体で頑張ってほしいです。
入社1年目。初めての赴任地で
(はまの・ひさのり)1981年日本テトラポッド(現不動テトラ)入社。福井営業所長、北陸支店営業部長、建設本部営業統括部第一営業部担当部長、東京本店北陸支店副支店長、四国支店長、執行役員九州支店長などを経て、2016年4月から現職。愛媛県出身、64歳。

2019年7月24日水曜日

【公益企業らにも協力要請】東京五輪-開幕まで1年、関東整備局ら路上工事の調整試行

 開催が1年後に迫った2020年東京五輪・パラリンピックに備え、路上などの工事を調整する取り組みの試行が22日から始まった。

 国や東京都などの道路管理者に加えて、電力、ガスといったインフラ事業者も対応を開始。受注者に無理のない範囲で交通規制を伴う工事などを抑制し、工事関係車両の運行も控えてもらう。道路交通のデータを収集・分析し、来夏の大会本番時に向けた対策検討に役立てる。

 関東地方整備局と東京都は22日~8月2日と同19~30日を集中取り組み期間に設定。工事の一時休止や夜間施工への振り替えといった措置を現場ごとに講じる。関東整備局は首都圏中央連絡自動車道(圏央道)の内側で施工する建築を含む直轄工事124件のうち、90件の現場で工事調整を試行する。出先事務所は受注者の円滑な工事調整をサポートする。東京外かく環状国道事務所は受注者から相談があれば、工期に影響しない工程の変更などに応じるという。

 並行して都内の直轄国道を占有する路上工事の抑制を目指し、関東整備局は電力やガスをはじめとする公益企業に協力を依頼した。東京電力パワーグリッドは要請に応じ、工期や工費に影響のない範囲で可能な限り対応するよう、関係者に周知している。東京ガスもガス漏れなどの緊急工事や個別需要家向けの供給工事などを除き、可能な範囲で施工時間を調整するという。

 東京都は関係各局の工事担当部署を窓口にし、受注者の負担にならない範囲での協力を依頼した。期間中の土日を除き都内全域で施工している都発注工事(約2000現場)のうち、約6割で取り組みを展開する。特に24日を試行の「コア日」とし、約1500の現場で休工などの工期に影響しない工程の変更などを検討する。

 高速道路会社も国や都の試行に協力する。首都高速道路会社は大会関係者の輸送ルートで行う道路工事は緊急対応が必要な場合を除き、午前7時~午後7時は大規模な交通規制が発生する工事を抑制する。東日本高速道路会社は24、26日に一部区間で工事用のダンプトラックの運行停止などを予定する。工事抑制の取り組みと併せ、関東整備局と東京都は職員らの時差出勤なども推進し、公務によって生じる交通を減らす。

 これらの取り組みを基に、関東整備局と東京都は期間中の交通量に関する効果や課題を検証する。関係機関と連携し、1年後に迫った大会本番の工事調整の対応をさらに具体化する。

【混雑緩和・事故防止へ事業実施】関東整備局、カシマスタジアム周辺道路の交差点改良へ

 関東地方整備局常陸河川国道事務所は、2020年東京五輪でサッカー競技の会場となる茨城カシマスタジアム(茨城県鹿嶋市)周辺道路の交差点改良工事を行う。

 複数の交差点が近接している上、片側1車線と2車線の区間が混雑しており、車両間の速度差で追突事故が多く発生している。同事務所は交差点改良で4車線化することで大会中予想される渋滞を「少しでも緩和したい」(原田昌直所長)とする。

 同事務所は国道51号鹿嶋消防署南交差点改良事業として、鹿嶋市大船津から清水までの延長約4・8キロで片側2車線化を行う計画。区間内には、大船津北校三点、厨台交差点(立体)、宮中北交差点、鹿島消防署南交差点、神向寺南交差点、神向寺交差点、スタジアム前交差点、スタジアム北交差点が近接している。

 片側2車線化のための用地買収は終わっており、今回の改良工事を通じて追突事故の低減を図るのが狙いだ。同事務所では「R1国道51号鹿嶋市厨4丁目地区交差点改良工事」と「同鹿嶋市神向寺地区交差点改良工事」の入札を26日に締め切り、31日に開札する予定で手続きを進行中。工期を21年3月20日と設定し工事を進めていく。

【提携紙ピックアップ】セイ・ズン(越)/住友商事が港湾運営に参画

 日本の住友商事と物流企業の鈴与、官民ファンドの海外交通・都市開発事業支援機構がベトナムの港湾会社・ジェマデプトに10%出資した。ベトナムの港湾運営事業への参画が狙い。

 住友商事は、合計40億円のうち51%を出資する。ベトナムで、港湾を含むシームレスな物流ネットワークを構築することを目指している。同社はハノイ市近郊で三つの工業団地を運営している。

 国内の物流需要が拡大する中、北部の主要港ハイフォン港では貨物の積み込みまで数時間待たなければいけないなど効率性が問題になっている。日本企業の参画により、処理能力の向上が期待される。ベトナムの年間貨物取扱量は約1200万TEUで、毎年7%の増加を見込む。2025年までに2300万TEUに増えると予想されている。

セイ・ズン、7月17日)

【提携紙ピックアップ】建設経済新聞(韓国)/スマートシティー戦略明示

国土交通部はスマートシティー整備に向けた取り組みの一環で、都市の成長段階別に差別化したオーダーメード型開発を推進する。

 「第3次スマート都市総合計画(2019~23年)」を策定し、総合的な政策方針や工程を明示。計画ではオーダーメード型スマートシティーの創出と普及基盤の強化、グローバル市場の先導などの戦略を盛り込んだ。
 新規開発の都市モデル2カ所では今年から空間計画や設計に本格着手。21年末から本格的な入居を目指す。
 既存都市のスマートシティー化では「特化都市」「団地」「ソリューション」といった類型に分け、自治体による多様な条件に合わせた取り組みを後押しする。
 老朽化が進む都市に対しては、低コスト・高効率のソリューションを導入する「スマートシティー型都市再生ニューディール事業」を推進。22年までに25カ所以上の都市を選定し、同事業を本格展開する。

 普及基盤の強化では、都市の安全性向上のための統合プラットホームを核に、データと人工知能(AI)を基盤とした都市の運営体系を構築。グローバル市場への先導方策では財源調達問題の解消や海外発注者ネットワークの構築、企業の進出支援などに取り組む。

CNEWS、7月15日)

【五輪関連施設、一部は供用開始】東京五輪-開幕まで1年、関連施設工事は都内で7~9割到達

2020東京五輪・パラリンピック関連施設の整備工事は順調に進行している。東京都内で行われている施設整備の進捗(しんちょく)率は軒並み7~9割に達している。多くは外観がほぼ完成し、内装工事や設備工事の段階に入っている。

 メインスタジアムとなる新国立競技場(東京都新宿区、渋谷区)は5月中旬に最難関とされた屋根工事が完了した。大屋根の架構に段階的なリフトアップ工法を採用した東京アクアティクスセンター(東京都江東区)と有明体操競技場(同)、屋根を分割して組み立てて躯体上部をスライドさせながら架設した有明アリーナ(同)も屋根工事が既に完了。馬事公苑(東京都世田谷区)は競技関連施設がほぼ完成した。

施工者の経営破綻を受け再発注した有明テニスの森(同)の屋外テニスコートなどの整備工事は2020年3月(当初19年7月末)、カヌー・スラロームセンター(東京都江戸川区)の管理棟の建設工事は19年12月(当初19年5月)に竣工時期を変更している。

 一部施設は既に完成し、供用を開始している。夢の島公園アーチェリー場(東京都江東区)は4月、海の森水上競技場(同)は6月、カヌー・スラロームセンターと大井ホッケー競技場(東京都品川区)は7月にそれぞれ供用開始した。

 都の新設恒久施設などは、完成後も東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会が大会仕様の仮設オーバーレイ(観客席、内外装など)工事を進める。仮設オーバーレイのほとんどは実施設計中で、年明けから工事が本格化する見通しだ。

【建設分野も工事調整や柔軟な働き方実行へ】東京五輪-開幕まで1年、大会本番想定し交通混雑の緩和策試行

 2020年東京五輪の開幕が1年後に迫ってきた。五輪は来年7月24日~8月9日に33競技、パラリンピックは8月25日~9月6日に22競技を実施。期間中、選手をはじめ関係者や観戦者などの円滑な輸送が大会成功を左右するポイントの一つになる。

 交通混雑の緩和に向け今夏、官民で大会本番を想定した工事調整や柔軟な働き方を試行する動きもある。五輪開幕を1年後に控え競技施設の工事も最終段階に入ってきた。

 大会期間中の交通渋滞や鉄道の混雑を危惧する声は少なくない。公共発注者は五輪・パラリンピックの開催に備え、発注工事での調整策を試行する。国土交通省関東地方整備局と東京都は、22日~8月2日と同19~30日を集中取り組み期間に設定。受注者に無理が掛からない範囲で工事の一時休止や搬入車両の通行ルート変更、休工日の振り替えなどの混雑回避策を講じる。効果を検証し、大会本番に向けた対策立案に役立てる考えだ。

 公共発注者による工事調整の試行が22日に始まったことを受け、日本建設業連合会(日建連)は積極的に協力する考えを表明。同日の記者会見で山内隆司会長は、東京主体の会社は仕事が減ってしまうと懸念する声があるとした上で、「建設業だけでなく運輸業も同じ課題を抱える。今回の試行で認識が深まるのではないか。来年の本番に向けて意見を集約していきたい」との方針を明らかにした。

 民間発注工事について山内会長は「民間事業者はそれぞれ方針があり、一律に規制するのは難しいだろう」との見方を示した。あるデベロッパーは「個社が動いたところで全体の混雑緩和につながらない」と本音を吐露する。

 建設各社では、交通分散を図る「スムーズビズ」への協力などを始めている。モデル現場で具体的な実行計画を試行するケースも出ており、これから対応が本格化していきそうだ。「夜間の資材搬入などある程度は対応できるが、生コンだけはどうしようもない」(ゼネコン幹部)との声も上がる。5月の大型連休や夏季休暇期間に現場を稼働し、大会期間中を閉所にするような動きも出てきそうだ。円滑な輸送と企業の経済活動を両立させるため、柔軟で多様な働き方にも取り組んでいる。

 政府は22日~9月6日の約1カ月間、大会本番を想定したテレワークや時差出勤、休暇取得を試行。「テレワーク・デイズ2019」と銘打ち、官公庁を含むさまざまな業種・規模・地域の団体にテレワークの一斉実施を呼び掛けている。3000団体・延べ60万人に参加してもらい効果を検証。具体的な対策を取りまとめる。

2019年7月23日火曜日

【回転窓】見果てぬ宇宙への夢

一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては大きな飛躍である-。1969年7月20日、米国人宇宙飛行士のニール・アームストロング氏が人類で初めて月面に足跡を残した▼アポロ11号による月面到達から半世紀。米国が宇宙探査の新計画を検討している。目的地は火星。月周回軌道に建設した宇宙ステーションを足掛かりに長期滞在が可能な基地を月面に造り、そこから火星を目指すという▼地球から月までの距離は約38万km。アームストロング船長らを乗せた宇宙船は月に到着するまで約102時間かかった。最も接近した時でも約5500万kmも離れている火星まで足を伸ばすとなると、一体どれほどの時間がかかるのだろう▼米航空宇宙局(NASA)が検討するアルテミス計画は早ければ来年には最初のロケットが打ち上げられる。2024年にはアポロ以来となる人類の月面到達。月面に降り立つ宇宙飛行士は2人で、うち1人は女性の起用を計画している▼日本が計画に関われるのかどうかは定かでないが、もし建設会社が宇宙ステーションや月面基地の建設に携われるとしたら…。夢は大きく広がる。

【あべのハルカスなど手掛ける】米建築家シーザー・ペリ氏が死去

 米建築家のシーザー・ペリ氏が19日、コネティカット州ニューヘイブンにある自宅で死去した。92歳だった。

 世界各地で数々の建築プロジェクトを手掛け、日本でも在日米国大使館、あべのハルカス、羽田空港第2ターミナル・国際線ターミナル、日本橋三井タワー・日本橋室町三井タワー、福岡シーホークホテル&リゾート(現ヒルトン福岡シーホーク)などの設計デザインに携わった。

 1926年にアルゼンチン北部のサンミゲルデトゥクマンで生まれた。地元の大学を卒業した後、米イリノイ大学建築大学院で修士号を取得。イーロ・サーリネン事務所に勤務した後、グルーエン事務所の設計パートナーを務めた。1977~1984年に米エール大学建築大学院の学部長を務めながら、自身の事務所を設立した。

 ペリ・クラーク・ペリ・アーキテクツ(米コネティカット州)の創立者の一人でシニアプリンシパルを務めると同時に、ペリ・クラーク・ペリ・アーキテクツ・ジャパン(東京都品川区)の共同代表にも就いていた。

 日本では後日、ペリ・クラーク・ペリ・アーキテクツ・ジャパンが「シーザー・ペリを回顧する会(仮称)」を東京都内で開く予定。日時や場所は決まり次第発表する。

【工場見学者などに販売】宇部興産専用、学習帳作ったよ

 宇部興産は、オリジナル学習帳「宇部興産専用自由帳」を製作した。ジャポニカ学習帳を製造、販売するショウワノート(富山県高岡市、片岸茂代表取締役会長)が協力した。

 セメントの前製品であるクリンカを運ぶ88トン積みのダブルトレーラーの写真と、山口県宇部市にある宇部興産専用道路(全長31・9キロ)の写真を、表紙と裏表紙に使用した。宇部興産専用道路は「日本一長い私道」と言われている。表紙の裏側スペースでは「ミニ百科」として宇部興産と専用道路について解説している。

 宇部市にある本社1階の総合案内施設でバスツアーなどで訪れた観光客に販売する。通信販売や電話での注文受け付けは行わない。ノートは無地24枚で、1冊250円(税込み)。

【実施設計・施工は清水建設】有明体操競技場(東京都江東区)、工事進捗8割超に


 ◇オリンピアンが建設現場を訪問◇

 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会は22日、東京都と進めている「有明体操競技場」の建設現場を報道陣に公開した。

 2020年東京五輪で使用し、体操などの競技を行う。規模はS造3階建て延べ約3・9万平方メートル(付随施設含む)。五輪の競技会場で木材を最も多く用いており、使用した国産材は2300立方メートルに達するという。

 施設は基本設計を日建設計、実施設計と施工を清水建設が担当している。進捗(しんちょく)率は8割を超えている。屋根の架設後に内部を公開するのは初めて。「日本の木の文化を感じさせるおおらかな空間」などをコンセプトとしており、屋根は圧縮に強い木の特性を生かした長さ88・8メートルのアーチ梁となっている。日建設計の高橋秀通設計部門ダイレクターアーキテクトは「シンプルなかまぼこ形状。選手が木のぬくもりを感じ、落ち着いて競技できるよう心掛けた」と語った。

 アーチ梁は北海道と長野のカラマツ、客席のベンチは三重の杉、外装は静岡と宮崎、秋田の杉をふんだんに使用した。現場の永田正道所長(清水建設)によると、「木の温かみを感じるアスリートファーストの建物」を目指しているという。木材は資機材の調達ネットワークを駆使し、早くから準備した。現場の工程は順調に進んでいる。

 22日は五輪出場経験のある体操競技の冨田洋之氏、新体操の田中琴乃氏、トランポリンの伊藤正樹氏が現場を訪れ、工事関係者から工事や施設の説明を受けた。冨田、田中両氏は清水建設の協力会社の職長をはじめ、工事関係者の前でデモンストレーション演技を披露した。

 屋内を視察した田中氏は「建築が好きでよく見に行きます。(木が多く)神聖な感じ、ほっとした気持ちで守られるように演技できると思う」と語った。

【総延べ12・5万㎡、2021年春開業へ】イオンモール川口再整備(埼玉県川口市)、設計・施工は安藤ハザマ

イオンモール川口の完成イメージ(サイボーホームページより)
 繊維製品や不動産賃貸を手掛けるサイボーは、埼玉県川口市で計画する「(仮称)イオンモール川口」の新築工事の設計・施工者を安藤ハザマに決めた。19日に契約した。総延べ床面積は約12万5000平方メートルを想定。現在は9月の完了を目指して既存施設の解体作業に入っている。運営はイオンモールが担当。2021年春の開業を予定している。

 建設地は安行領根岸3180(敷地面積約7万8000平方メートル)。建物は店舗と立体駐車場で構成する。建物は店舗が4階建て(塔屋1階)、立体駐車場が6階建て(同)を想定する。サイボーの事業費は140億円を計画している。解体工事は安藤ハザマが昨年10月から実施している。

 旧施設は1984年に開業した。イオンモールがサイボーから賃借して運営していたが、18年8月末に営業を終了していた。多様化する消費者ニーズへの対応などを図るため、跡地周辺の土地活用の方法を検討していた。今後改めて両社による協議を実施し、新施設の賃貸借契約を結ぶ予定だ。

【総事業費610億円、全周に大屋根架設】瑞穂陸上競技場改築(瑞穂区)、民活導入で事業者ヒアリング実施へ

名古屋市教育委員会は、瑞穂陸上競技場(瑞穂区山下通)の改築に民間活力を導入するため、事業者ヒアリングを実施する。参加申請を31日まで受け付ける。8月26~30日の日程で1社当たり90分程度、事業スキームや行政への要望などについて話を聞く予定。

 参加できるのは、PFI事業への参加かスポーツ施設の指定管理者としての実績がある者。グループでも申し込みができる。

 同競技場の改築事業では、老朽化している現施設を取り壊し、2層構造(一部1層)収容人数3万席規模の新スタジアムを建設する。スタジアムの全周には高さ31メートルの大屋根を設けるほか、バリアフリーや選手、観客、VIPの動線分離などを盛り込む。2026年のアジア競技大会では、メインスタジアムとなる。大会時にはフィールド内に仮設席を設け、最大3万5000人を収容する予定。総事業費は約610億円を見込んでいる。

 ヒアリングを参考にして本年度中に実施方針案などをまとめる。20年度内に事業者を選定し、21年度から設計と既存施設取り壊しに入り、23年度着工、25年度内の完成を目指す。事業はBTO(建設・移管・運営)方式を採用する予定。陸上競技場の維持管理・運営期間は26~40年の15年間を想定している。

2019年7月22日月曜日

【回転窓】地元の宝が世界の遺産に

今月初めに大阪府の「百舌鳥・古市古墳群」が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産に決まった。府内での世界遺産登録は初めてで、国内の世界遺産は計23件となった▼百舌鳥・古市古墳群は百舌鳥エリア(堺市)と古市エリア(羽曳野、藤井寺両市)に密集し、4世紀後半から5世紀後半にかけて築造された49基の古墳で構成。墳丘の全長が486メートルで日本最大の前方後円墳「大山古墳」(仁徳天皇陵)は広大さで世界最大級の墓にも数えられる▼古墳群は文化財の特性上、入場見学ができず、古墳に関する知識や文化的価値の伝達も難しい。堺市がヘリコプターで上空から古墳群を眺める遊覧飛行を実施するなど、地元では見えにくさを逆手に取った新たな取り組みが始まっている▼文化財は歴史や文化の正しい理解に欠くことができないものであると同時に、将来を見据えた文化の向上発展で基礎をなす。このため保存に加え、その魅力を一層引き出す情報の発信と活用が求められる▼地元の宝が世界の遺産になった時、何がどう変わるのか。これからも文化財を地域の核にしたさまざまな取り組みに期待したい。

【手すりにつかまり、歩かずに】エスカレーター、ぜひ安全利用を!!

 みんなで手すりにつかまろう! エスカレーターの安全な利用を呼び掛けるキャンペーンが22日にスタートする。

 「歩かずに立ち止まる」「黄色い線の内側に立つ」「荷物をしっかり持つ」といった安全行動を伝えるポスターを掲示したり、ポケットティッシュを配布したりなど、誰もが安心してエスカレーターを利用できるよう呼び掛けていく。

 駅などでエスカレーターを利用する際、自身でバランスを崩しての転倒や、駆け上がったり駆け降りたりして他の人と衝突し転倒・転落するなどの事故が発生している。さらにエスカレーターで歩行用に片側を空ける習慣は、片側を空けて乗ることができない人にとって、危険な事故につながる場合もあるという。

 全国の鉄道事業者52社局、商業施設、森ビル、羽田空港、成田空港、日本民営鉄道協会、日本地下鉄協会、日本エレベーター協会、埼玉県、川崎市、千葉市が共同でキャンペーンを実施。国土交通省、消費者庁も後援する。キャンペーン期間は8月31日まで。

【凜】三菱地所設計・工藤玲さん

 ◇中立的な立場で最適提案◇

 建築物の意匠設計を手掛けたいと思い大学で建築を学んだ。学生生活を楽しむ中で、建築プロジェクトの発注者と寄り添えるCMr(コンストラクションマネジャー)になることを決意。三菱地所設計の採用試験を受け入社が決まった。

 コンストラクションマネジメント部に配属になった時、周りは経験豊富な先輩ばかりだった。プレッシャーは感じたが、学生時代から望んでいた仕事に携われるという喜びを力に変え、プロジェクトと向き合ってきた。

 印象に残る仕事は文房具専門店「銀座・伊東屋」の建て替え事業。約半年をかけて試行錯誤し店内に野菜工場を配置するアイデアを発案した。発注者にも受け入れられ「楽しみながら買い物ができる体験型の店舗を具現化できた」と胸を張る。担当した岩手県の「宮古市中心市街地拠点施設整備事業に係るCM業務」が日本CM協会の2019年度「CM選奨」で優秀賞に選ばれたことも、節目の一つだ。

 CMrは「中立的な立場でコストや全体の工程を調整する仕事。顧客にとって最適な提案を行えるかが腕の見せどころ」と話す。「事業に携わる関係者がプロ意識を持って完成させる」大切さも常に心に留めている。

 入社から10年。キャリアアップを目指しながら、後輩育成にも心を砕く。「社内外から頼られる存在」を目指して、これからも前を向き続ける。

 (コンストラクションマネジメント部、くどう・れい)

【中堅世代】それぞれの建設業・232

街づくりという仕事は発注者だけでなく、
地域住民との対話が欠かせない
 ◇地域社会に魅力と活気を◇

 準大手の建設コンサルタントでPPP関連の支援業務に従事する大橋和音さん(仮称)は、街を活気づけるためのアイデアを出そうと日夜奔走する。地方自治体を中心に、街の将来像を描く基本構想やガイドラインを検討し、住民説明会に赴き事業効果を説明する機会も多い。自ら考えたアイデアが豊かな生活につながるよう、ひた向きに努力を続ける。

 地方都市の大学で都市計画を学んだ。卒業後は大手金融機関のシステムエンジニア(SE)として5年間勤務。その後、会社の同僚と結婚することになり、社会人として自分を育ててくれた会社を退職した。その後、夫の転勤に伴い生活の場を海外に移した。転勤先の国で仕事をしようと思ったが、日本の1級建築士資格がなければ都市計画業務に携われないと知った。国家資格がなければ自分の望む仕事に就けない。資格の大切さを痛感した。

 街づくりに興味があるのに、現状の自分に満足していいのか-。学生時代に学んだ都市計画で身を立てたいと思い、28歳の時に建築士資格の受験を決意した。帰国後、専門学校に通って猛勉強を重ね、念願がかなって建築士の仲間入りができた。

 今の会社に入ろうと思ったのは、地方の再開発事業や地方創生に力を入れていたからだ。入社試験をパスし配属されたのは、公共と民間が知恵を出し合い土地や建物を有効活用するPPPの専門部署。プロジェクトの基本構想を立案するため、複数のアイデアを提示する仕事を任された。入札公告作成のアドバイスもこなすなど、業務内容は多岐にわたる。

 1日のうち最も多くの時間を割くのが基本構想や入札説明書などの資料作成だ。SEとして培った知識と経験を生かしVFM(バリュー・フォー・マネー)を自動で算定できるプログラムを開発した。短時間で算定結果を仕上げるなど仕事の効率化を肝に銘じる。

 数々のPPP事業を手掛ける中、印象深いプロジェクトの一つが地方都市で行った庁舎跡地の開発事業。高齢化が深刻な地域にどう人を集め、魅力を持たせるか必死で考えた。市民の交流機能を備えた複合施設を提案し、受注につながった。現在は完成した施設がどのように使われ、地域社会にどう貢献できるのか検証する作業に携わっている。

 プロジェクトによっては住民から叱責を受けるなど、つらい場面で矢面に立つこともある。そんな時は、発注者と市民をつなぐ仕事をしているんだと自らを鼓舞する。入社して10年。会社の成長を考え、実行する立場になった。責任あるポジションに就いても初心だけは忘れない。書類作成など日の目を見ない作業が続くこともある。けれども街の将来像を想像するとワクワクする。会社と自分、そして街の成長を重ね合わせ、今日もアイデアづくりに心血を注ぐ。

【やっぱり!マイ・ユニホーム!!】青木あすなろ建設「動きやすさを実感」

 2017年10月、新ユニホームに切り替えた。1年以上が経過し社内外での認知度が高まってきた。「機能面も含め着やすさ、動きやすさを実感している」(安全品質環境本部安全管理部の梅田章子さん)と社員からも好評だ。

 色はライトブルーやグレー、ネイビーなどを基本色として用意。清潔感や誠実さをイメージさせるデザインにした。3D人体計測をベースに開発された「立体裁断」を取り入れ、体の動きを妨げず快適に働けるユニホームに仕上げた。

 首もとの熱気を逃がす通気システム「クーリッシュウィンドウ」によって通気量が増し、体温の上昇が抑えられて快適性が高まったそうだ。

 IT機器の利用頻度が増えているため、胸ポケットはタブレット端末が収納できるサイズに。パンツは女性用にノータック、男性用にはワンタックを採用した。女性用シャツは襟を小さめにデザインする心配りも。

 開発を担当した東京建築本店の島森秀明工務部長は「会社と作業服のイメージが一体となり、誠実さや清潔感をアピールしていければ」と、ユニホームに込めた思いを語る。

【駆け出しのころ】大成建設取締役常務執行役員建築総本部長・相川善郎氏

 ◇「一掃除、二作業」で品質・安全確保◇

 建築が好きで、子供のころから方眼紙を使って家のプランニングのような遊びをしていました。大学では、地球物理学を専攻しようかとも考えましたが、あまりに難しい学問だったので、子供のころから興味のあった建築を専攻し、デザインや歴史などを学びました。

 卒業後の進路として、研究者や設計者などが頭に浮かびましたが、先輩から「現場が面白いぞ」というアドバイスに後押しされ、現場技術者の道を歩むことにし、大成建設への入社を決めました。

 新入社員研修後、最初の赴任地は大手銀行の吉祥寺支店の建築現場でした。大学では生産技術に関することは学んでおらず、毎日が驚きの連続でした。

 当時、土曜の午後が休みの「半ドン」が一般的でしたが、建設現場は午後も仕事がありました。そのことを知らず、赴任した最初の土曜日、昼食を食べた後に作業着を脱いで帰ろうとしていたら、先輩から怒られてしまったことを今でも記憶しています。現場勤務はきつい面もありましたが、会社の先輩はもちろん、型枠工や鉄筋工など職人の方々に手取り足取り教えてもらい、楽しく仕事ができました。今でも感謝しています。

 父親から「30歳まではがむしゃらに働け。若いころの評価が年を経ても周りの人たちの頭には残っている」と言われていました。20代の後半には、より責任のある仕事を任されるようになりました。突貫で大変な現場もありましたが、がむしゃらに頑張り全然苦には感じませんでした。

 副所長、所長を務めた東京・品川の高層ビルの建設現場は、自分たちで最先端の施工技術を考えて導入するなど、特に思い出に残る現場です。職人の方々に良い仕事をしてもらうために、現場内の休憩所にシャワー室も設けるなど、明るく快適な職場環境づくりにも注力しました。

 所長時代に現場で起きたトラブルは苦い思い出です。当時、精神的に落ち込んでいると上司の部長から「再発防止がお前の仕事だ。現場のみんなが見ている。暗い顔をしてはだめだ」と厳しくも心の込もった言葉をもらい、自分を奮い立たせるきっかけになりました。

 全国の建築現場を管轄する立場になった今は「一掃除、二作業」という言葉を掲げ「とにかく現場をきれいにしよう」と伝えています。「一掃除、二信心」という禅宗の言葉があります。仏様を信じる前に身の回りや心をきれいにすることで、初めて仏様を信心できるという教えです。現場も整理整頓し清潔な環境で作業することが、品質・安全確保の原点になります。

 若い社員にも責任を持たせ仕事を任せることで、ものづくりの楽しさややりがいを感じてもらいたい。われわれが造ったものが地図に残り続けることが、働くモチベーションになっています。学ぶことに“遅すぎる”はありません。私は60歳を過ぎた現在でも仕事もプライベートも日々自ら高めるという姿勢が大切だと思い実践しています。

入社4年目ごろに撮影した一枚。札幌支店時代に休暇で訪れた
テレビドラマ「昨日、悲別で」(脚本・倉本聰氏)のロケ地で
(あいかわ・よしろう)1980年東京大学工学部建築学科卒、大成建設入社。東京支店建築部長、執行役員九州支店長、常務執行役員建築営業本部長(第二)などを経て、2019年6月から現職。長崎県出身、61歳。

2019年7月18日木曜日

【回転窓】ネットも対面も

採用試験にインターネットを活用するケースが増えている。就職情報サービスなどを手掛けるディスコ(東京都文京区、新留正朗社長)の調査によると、就職活動に臨んだ学生の23%が企業からネット面接の実施を求められたそうだ▼企業の取り組みに対し学生の約6割が賛成と回答。遠方から応募した学生にとって、試験のために何度も遠距離を移動する負担は時間と費用の両面で決して軽くない。1次面接など初期段階で取り入れられ負担が減るとなれば、応募の裾野はより広がるのではないか▼インターネット交流サイト(SNS)が普及し、いつでもどこでも誰とでも、容易につながることが可能になった。ただ世の中がどれだけ便利になっても、インターネットですべてが済むわけではない▼米シリコンバレーなどでスタートアップ企業支援を手掛けてきた経営者が「いまだにフェース・トゥー・フェースが大事だ」と話していた。実際に会って信頼関係を築き、それからSNSなどでコミュニケーションをとっていくという▼便利さを生かしつつ本質から外れずツールを使いこなす。そこが工夫のしどころなのだろう。

【総事業費は900億~1000億円】西日暮里駅前地区再開発(東京都荒川区)、20年3月の都計決定めざす

東京都荒川区の西日暮里駅前地区市街地再開発準備組合による再開発事業が都市計画決定手続きに入る。

 都市計画審議会などを経て、2020年3月に都市計画決定(区決定)の告示を受ける見通し。総延べ約16万平方メートルの再開発ビル2棟を整備する計画で、概算総事業費は900億~1000億円を見込んでいる。

 計画地はJRなどが乗り入れる西日暮里駅の東側(西日暮里5、区域面積約2・3ヘクタール)。区を除く関係権利者は78者で、うち64者が都市計画手続きの「推進依頼書」を区に提出した。

 計画によると、北側の高層の「住宅・業務棟」、南側に中層の「商業・ホール棟」の2棟の再開発ビルを配置する。総延べ床面積は16万2900平方メートルに達する。

 住宅・業務棟の低層部に公共施設や業務機能、高層部に住宅(約1000戸)を設ける。商業・ホール棟の低層部に商業、ホールは中層部に配置する。ホールは約1500席の大ホールと、バンケット機能を備えた約300~400席の小ホールで構成。区は再開発事業による権利変換でホールを確保する方針だ。

 区域の南側に交通広場を設ける。JRと日暮里・舎人ライナーのアクセスを向上させるデッキの整備も計画している。

 都市計画決定の告示後、順調にいけば20年度の本組合設立認可、21年度の権利変換計画認可の取得を見込む。解体工事は1年、本体工事は3年程度かかる見通しだ。

 再開発の総合コンサルタントは都市設計連合。専門コンサルタントとして設計業務を梓設計、環境アセス調査業務は日本工営が担当。日野が測量業務、都市計画関連業務を上野計画事務所が手掛ける。事業協力者として野村不動産・三菱地所レジデンスJVが参画している。

【きょう地鎮祭、施工は鹿島】りんくうプレミアム・アウトレット、5期増設工事に着手

 三菱地所・サイモン(東京都千代田区、山岸正紀社長)は、大阪府泉佐野市にある商業施設「りんくうプレミアム・アウトレット」の第5期増設工事に着手する。設計は三菱地所設計が担当し、鹿島が施工する。18日に現地で地鎮祭を開く。2020年夏の開業を予定する。

 既存のりんくうプレミアム・アウトレットの所在地はりんくう往来南3の28(敷地面積8万6500平方メートル)。関西国際空港などに近くアクセス性に優れる。

 第5期増設用地は所有者の府と30年間の定期借地契約を結び取得した。2階建て(一部3階建て)店舗面積約1万2600平方メートルの商業施設に加え、広場やバスターミナルなどを整備する。総事業費は約84億円を見込む。完工後の商業施設の店舗面積は4万9600平方メートル、約260店舗となる。

【3面上映+4DXの新システム導入】映画館主体の商業施設「キュープラザ池袋」、あす開業!!

 東急不動産が東京都豊島区に整備していた映画館を主体とする商業施設「キュープラザ池袋」が19日に開業する。佐々木興業(東京都豊島区、佐々木伸一社長)が運営するシネマコンプレックス「グランドシネマサンシャイン」、レストランなど16店舗が入る。

 規模はS一部SRC造地下2階地上14階建て延べ1万6576平方メートル。設計・施工は竹中工務店、施設運営は東急不動産SCマネジメント、施設管理は東急コミュニティー。

 所在地は池袋駅から徒歩4分の東池袋1の30の3。敷地面積1837平方メートル。池袋駅東口エリアでは最大級の商業施設となる。グランドシネマサンシャインは12スクリーン、2443席。常設の映画館としては国内最大の高さ18・9メートル、幅25・8メートルのスクリーンを備える。

 シートが動き、水、風、香りなどを体感できる「4DX」と、視野270度の3面マルチプロジェクション上映システム「ScreenX」を融合した「4DX with ScreenX」を国内で初導入したシアターもある。内覧会と同時に行った開業前発表会で佐々木社長は「われわれにできる最高の映画館を造った」と喜びを語った。

 建物は、「エンターテイメントプラザ」をコンセプトに開発されており、エリア初出店のカフェなどがある。最上階には池袋で唯一のバッティングセンターを設ける。

2019年7月17日水曜日

【回転窓】五輪のレガシー

取材でお世話になった山形県東根市の担当者から毎週、市の行事などを知らせるメールが届く。先週のメールにはハンドボール・ドイツ代表チームのキャプテンが同市を訪問し、学生らに技術指導するとあった▼同市は2020年東京五輪でドイツのホストタウンを務める。同国のホストタウンは東根市以外にも15を超える自治体が手を挙げている。五輪選手などとの交流のほか、在日ドイツ大使館などでミーティングを開き、同国各都市との情報交換も行っている▼ホストタウン制度は、全国の地方自治体と東京五輪大会に参加する国・地域が人的・経済的・文化的交流を行う目的で、政府が2015年に登録の受け付けを開始。総数は今月2日時点で346件にも上り、自治体数は414、相手国・地域が134に達している▼自治体の中には日ごろ外国人が訪れることが少ない地域もあるかもしれない。地方の小さな自治体が積極的に国際交流に取り組み、地元の魅力を発信することは地域の活性化につながる▼20年の東京五輪開催の縁で地方の自治体が海外の国や地域と交流を深める。これこそ五輪のレガシー(遺産)になる。

【こちら人事部】みらい建設工業「学生と接する機会を大切に」


 ◇自立的に行動できる人材を◇

 1974年に創業したみらい建設工業は、港湾・空港工事を得意とするマリコンの1社だ。総合建設業として全国で事業展開しており、高速道路や鉄道、宅地造成など安全な生活を支える基盤整備にも力を入れている。

 求める人物像は、自立的に思考し行動できる人材。個人として、自らの能力開発と成果に責任を持ちつつ、環境の変化を踏まえながら考えて行動する姿勢を重視している。森島裕治管理本部人事部長は、「自己研磨は、土木技術者にとって常に求められる要素。自己啓発に積極的で、成長に前向きな姿勢を持って現場を通して切磋琢磨(せっさたくま)していくことが重要だ」との認識を示す。

 建設現場は、日々刻々と変化する。その日の状況や設計条件に応じて、求められる基準など適切に判断し、柔軟に考え判断・行動することが不可欠。そうした資質が、土木技術者として活躍するために重要とみている。

 労働人口の減少基調に入っており、売り手市場の様相が色濃くなっている。そうした中で、より良い人材を獲得していくため、学生と接する機会を大切にしている。学校訪問を通じて学校とのつながりを強化していくのはもちろんのこと、インターンシップ(就業体験)や合同企業説明会、学校主催説明会といった機会を積極的に活用することで、一人一人に対して、より具体的な会社説明を行っていくという方針だ。若手社員が中心となって採用ツールの企画作業を行っており、親しみやすく分かりやすいパンフレットなどを作成している。

 若手教育にも力を入れている。入社前教育として、3カ月間の通信教育を実施。入社時研修では、社会人としてのマナーや社内ルール、測量やCADといった基礎的な技術、安全品質環境面での取り組みなどを学んでもらう。配属先でOJTを行いつつ、入社半年段階で、それまでの振り返りやコンプライアンスの講義などを盛り込んだ集合研修を実施する。

 入社1年後には、工事係員や設計係員としての基本を理解してもらう研修を設けている。入社5年目、8年目、11年目の集合研修や、新任管理職研修、評価者研修などで社員のレベルアップを図っている。自己啓発支援制度も充実している。

 借入金が無く財務体質が非常に良いことがアピールポイント。女性が活躍できる環境をつくっており、一般職から総合職への登用なども行っている。

 森島部長は「離職の理由で『会社とのマッチングが良くない』と聞くが、企業が大きければ大きいほど、事業部や支店など部門により雰囲気も変わる。建設会社であれば現場によっても異なる。企業研究で分かるのは業務内容と福利厚生ぐらいだ」と指摘する。就職活動に取り組む学生には「企業研究も重要だが、まずは、自分が何をしたいかを明確にした上で、業界研究と企業研究を行う方が良いかなと感じている」とアドバイスする。

 《新卒採用概要》

 【新卒採用者数】 男性11人(うち技術系9人)、女性2人(うち技術系2人)(2018年度実績)

 【3年以内離職率】14・3%(16年度新卒)

 【平均勤続年数】 男性20・6年、女性12・9年(19年3月末時点)

 【平均年齢】   48・0歳(19年3月末時点)

【仮設観覧席の設置など進む】JRA馬事公苑再整備(東京都世田谷区)、1期工事は最終段階

 日本中央競馬会(JRA)が再整備工事を進めている馬事公苑(東京都世田谷区)の完成形が明らかになってきた。

 2020年東京五輪・パラリンピックで使用する施設を整備する1期工事の進捗(しんちょく)率は5月末時点で約88%に達し、8月に開かれるテストイベントを前に競技関連施設はほぼ完成した。約1万人を収容する仮設観覧席など残る工事も着々と進行している。

 馬事公苑は17年1月に再整備のため一時閉鎖に入り、既存施設の解体を含む1期工事に着手した。五輪時のメイン会場となる屋外の「メインアリーナ」に加え、屋内競技場と観覧席を兼ねる「インドアアリーナ」(S造3階建て延べ6899平方メートル)、馬の診療所や装蹄(てい)所が入る「オペレーションセンター」(S造3階建て延べ5846平方メートル)、40馬房を備える複数の厩舎(きゅうしゃ)などは既に仕上がった。

 外周林なども樹木医の意見を聞き、きれいに整備し直した。樹木が生い茂る「武蔵野自然林」と呼ぶエリアには、地域住民が散策しやすいようウッドデッキの空中回廊を新設。1期工事は事務所やレストラン、来賓室などが入る「メインオフィス」(S造3階建て延べ5554平方メートル)の仕上げ工事を経て10月末の竣工を予定している。

 昨年11月以降は、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会が発注した五輪用の仮設施設工事を並行して実施。仮設の観覧席や照明設備、プレハブなどの設置工事は五輪開幕までに完了する。

 1期工事の設計と施工は大成建設と山下設計の連合体が担当している。契約金額は317・7億円(税込み)。組織委が発注した仮設施設工事も114・2億円(同)で大成建設が受注した。五輪後に常設の屋根付き観覧席などを整備する2期工事はJRAが別途発注する。21年2月の着工、22年夏ごろの全体完成を見込んでいる。

2019年7月16日火曜日

【回転窓】建設業の女性もすごい

南米のサッカーの審判員のしぐさが、インターネット交流サイト(SNS)で話題になっている。反則した選手に厳しい表情で近づき、警告を意味するカードを突き付けようとポケットに手を入れた。取り出しのはハンカチ。そのまま汗をぬぐって試合を続けた▼警告を受けると思った選手は思わず笑ってしまい、試合の雰囲気が和んだ。別の審判員でも好意的に受け止めてもらえる行為かもしれないが、場面によっては試合の雰囲気を左右しかねず、厳しく批判される可能性も。勇気あるしぐさに賛辞を贈りたい▼日本建設業連合会の恒例イベント「けんせつ小町活躍現場見学会」が23日に始まる。女子小中学生と保護者を対象に今年は19現場で開く。工事用トロッコの乗車などさまざまな企画が用意され、普段なかなか目にできない工事現場の魅力が堪能できる▼女性の工事長らが活躍する現場をはじめ、女性職員が率先して準備を進めている。女性目線のおもてなしから、仕事のやりがい、魅力を知ってもらうイベント。建設業のファンがさらに増えてほしい▼話を戻すとハンカチを出したのは女性審判員。女性はすごい。

【収容1万人超の球技場整備へ】金沢市、市民サッカー場再整備基本設計プロポ公告

金沢市が「金沢城北市民運動公園金沢市民サッカー場再整備工事基本設計業務」の公募型プロポーザルを公告した。31日まで参加申請を受け付ける。技術提案書の提出期限は9月10日。10月中旬に結果を通知する。

 参加資格は単体か2~3者編成の設計JV。単体とJV代表者は、1999年以降に完成したサッカー場、ラグビー場、アメリカンフットボール場、陸上競技場または野球場で観客席(固定席に限る)5000席以上の規模を有する施設の新築、または増改築の設計実績など。

 提案テーマは▽地域活性化を促す施設づくり▽安心・快適に利用できる施設づくり▽環境変化に対応する持続可能な施設づくり▽地域の個性と調和した施設づくり-の4点。業務内容は建築・設備の基本設計。履行期限は2020年3月。来年度に実施設計を行う。

 収容人数3000人の現市民サッカー場(磯部町)を再整備し、収容人数1万人以上(いす席8000席以上)を備え全国大会やJリーグなどの大規模大会が開催可能な施設を整備する。すべての観客席は屋根で覆う形状とする。建設工事費は約75億円。

【最大規模は虎ノ門1・2丁目地区再開発】東京23区内の大規模建築計画、19年度第1四半期は過去5年で最低水準

東京23区内で2019年度第1四半期(4~6月)に公表された延べ床面積1万平方メートル以上の大規模建築計画が件数、総延べ床面積ともに過去5年間で最低水準になった。

 件数は7件で、前年度同期に比べ8件減った。延べ床面積の合計は前年度同期比40・6%減の45万8305平方メートル。インバウンド(訪日外国人旅行者)の増加を背景に好調だったホテルを含む開発事業は1件にとどまり「供給過多を抑える動き」(業界関係者)などが表面化しているようだ。

 「東京都中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例」に基づき、4月3日~6月11日の期間に都へ提出された標識設置届を日刊建設工業新聞社が集計した。建築計画が最終的に決定し、近隣への説明や行政手続きに入った段階のプロジェクトが集計対象となり、公共機関による建築計画も含まれる。

 7件を区別にみると、港、江東の2区が2件。大田、中野、北の3区がそれぞれ1件だった。都心に位置する中央区や千代田区、新宿区や渋谷区といった再開発が活発化する副都心部の案件はなかった。

 主用途別で見ると、準工業地域に整備される倉庫やデータセンターが3件あった。「テナント企業の多様なニーズ」(大手デベロッパー)に応える機能を備えた新施設の建設が進む。共同住宅は2件で、前年度同期の8件から大幅に減少した。

 他の用途は駅舎が1件と、さまざまな用途を備える複合開発が1件だった。延べ床面積別では、5件(増減なし)の1万~2万平方メートルと、2件(1件減)の10万平方メートル以上の超大型開発に二分された。

 最大規模は、虎ノ門一・二丁目地区第1種市街地再開発事業(港区)で、「A-1街区」に建設される再開発ビル。虎ノ門一・二丁目地区市街地再開発組合が推進する事業に参加組合員として参画する森ビルが特定建築者となり、複合施設を整備する。

事業の計画地は虎ノ門1、2(区域面積約2・2ヘクタール)。A-1~3の三つの街区に施設群を整備する。A-1街区(敷地面積9908平方メートル)には、S・SRC・RC造地下4階地上49階塔屋1階建て延べ23万8643平方メートル、最高高さ266メートルの超高層ビルを建設する。事務所、店舗、ホテル、集会場などが入る。3街区すべてで設計は森ビル、鹿島が施工を担当する。11月の着工、23年11月末の完工を目指す。

 延べ床面積で続いたのは、大和ハウス工業が江東区で計画する旧深川政府倉庫跡地(塩浜1の2の2、敷地面積3万6882平方メートル)の開発事業。同社が出資するディエイチ・アセット・ワン特定目的会社(SPC)が事業主体となり、総延べ13万7918平方メートルの施設2棟を建設する。倉庫、データセンター、事務所、店舗、保育所といった機能を備える。設計は安藤ハザマが担当する。8月に着工し、21年3月末の完成を予定している。

【施工は東亜建設工業】関空1期島の東護岸かさ上げ、対策工事進む

 関西国際空港(大阪府泉佐野市)を運営する関西エアポート(大阪府泉佐野市、山谷佳之社長兼最高経営責任者〈CEO〉)は、2018年9月の台風21号による1期空港島への越波・浸水被害を受け、本年度からハード対策として護岸かさ上げ工事に着手している。10日には、1期島東側護岸で先行して進められているコンクリート打設工事の現場が報道関係者に公開された。

 工事名称は「19年度関西国際空港1期島東側護岸嵩上工事」。施工を東亜建設工業が担当しており、工期は19年3月~21年3月末。東側護岸の延長約4キロで1・7メートルのかさ上げを行う。昨年の台風21号時の越波被害を踏まえ、従来の設計波(50年確率波)を改定、1期島北側・東側・南側護岸の必要高が見直されていた。

 東側護岸のかさ上げでは、準備工として5月から護岸外側の全域にブラケット足場を設置。足場の完成後、木製パネルを使用し上部工型枠を組み立て、7月からポンプ車を用いた上部工コンクリートの打設工事を開始した。北側護岸(延長約1キロ)と南側護岸(同1キロ)のかさ上げも、20年度に別途着工する予定。

 東側・南側護岸のかさ上げを完了した箇所から順次、20年度以降に消波ブロックの設置に着手する。東側護岸の北側一部と北側護岸のみ、近接する連絡橋取り付け部に配慮し消波ブロックを設置しないため、2・7メートルのかさ上げを実施する。このほか越波対策として、東側護岸かさ上げに伴うA滑走路・誘導路のかさ上げや南側護岸での防潮壁の設置も進める。

 北側・東側・南側護岸のかさ上げは20年度末、消波ブロック設置は22年度末までに完了する見込みだ。