2019年7月16日火曜日

【最大規模は虎ノ門1・2丁目地区再開発】東京23区内の大規模建築計画、19年度第1四半期は過去5年で最低水準

東京23区内で2019年度第1四半期(4~6月)に公表された延べ床面積1万平方メートル以上の大規模建築計画が件数、総延べ床面積ともに過去5年間で最低水準になった。

 件数は7件で、前年度同期に比べ8件減った。延べ床面積の合計は前年度同期比40・6%減の45万8305平方メートル。インバウンド(訪日外国人旅行者)の増加を背景に好調だったホテルを含む開発事業は1件にとどまり「供給過多を抑える動き」(業界関係者)などが表面化しているようだ。

 「東京都中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例」に基づき、4月3日~6月11日の期間に都へ提出された標識設置届を日刊建設工業新聞社が集計した。建築計画が最終的に決定し、近隣への説明や行政手続きに入った段階のプロジェクトが集計対象となり、公共機関による建築計画も含まれる。

 7件を区別にみると、港、江東の2区が2件。大田、中野、北の3区がそれぞれ1件だった。都心に位置する中央区や千代田区、新宿区や渋谷区といった再開発が活発化する副都心部の案件はなかった。

 主用途別で見ると、準工業地域に整備される倉庫やデータセンターが3件あった。「テナント企業の多様なニーズ」(大手デベロッパー)に応える機能を備えた新施設の建設が進む。共同住宅は2件で、前年度同期の8件から大幅に減少した。

 他の用途は駅舎が1件と、さまざまな用途を備える複合開発が1件だった。延べ床面積別では、5件(増減なし)の1万~2万平方メートルと、2件(1件減)の10万平方メートル以上の超大型開発に二分された。

 最大規模は、虎ノ門一・二丁目地区第1種市街地再開発事業(港区)で、「A-1街区」に建設される再開発ビル。虎ノ門一・二丁目地区市街地再開発組合が推進する事業に参加組合員として参画する森ビルが特定建築者となり、複合施設を整備する。

事業の計画地は虎ノ門1、2(区域面積約2・2ヘクタール)。A-1~3の三つの街区に施設群を整備する。A-1街区(敷地面積9908平方メートル)には、S・SRC・RC造地下4階地上49階塔屋1階建て延べ23万8643平方メートル、最高高さ266メートルの超高層ビルを建設する。事務所、店舗、ホテル、集会場などが入る。3街区すべてで設計は森ビル、鹿島が施工を担当する。11月の着工、23年11月末の完工を目指す。

 延べ床面積で続いたのは、大和ハウス工業が江東区で計画する旧深川政府倉庫跡地(塩浜1の2の2、敷地面積3万6882平方メートル)の開発事業。同社が出資するディエイチ・アセット・ワン特定目的会社(SPC)が事業主体となり、総延べ13万7918平方メートルの施設2棟を建設する。倉庫、データセンター、事務所、店舗、保育所といった機能を備える。設計は安藤ハザマが担当する。8月に着工し、21年3月末の完成を予定している。

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