小学生だった頃、夏休みに入ると必ず父親の実家があった鎌倉に行っていた。今にして思うと毎年恒例の家族旅行だったのだろう。普段接する機会がない祖父や祖母に会えるのが楽しみだった▼祖父らが住む家は真裏が切り立った岩山。平屋の家は昭和初期の日本家屋で、山から落ちてきたのか大きなクモやムカデと家の中で遭遇することもしばしば。驚きや怖さより珍しい生き物に出会えることが楽しみだった▼古い家屋などの歴史的資源を観光に生かす取り組みが各地で活発になっている。先週、千葉県流山市と千葉銀行が連携協定を締結。古民家などを活用した観光振興に乗りだすそうだ▼古民家を修復して飲食店を開業する事業者に補助金を出して再生事業を後押ししてきた流山市。今後、観光振興関連の官民連携法人を設立し融資や計画策定をバックアップする。観光街づくりを進めて地元の魅力を高めていくのが狙いといい、官民連携の今後が楽しみだ▼鎌倉にあった家は既に解体され、家が建てられて新しい家族が住んでいる。今もムカデやクモは出るのか…。新しい住宅の前を通った時、そんな思いが脳裏に浮かんだ。
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