2019年7月24日水曜日

【建設分野も工事調整や柔軟な働き方実行へ】東京五輪-開幕まで1年、大会本番想定し交通混雑の緩和策試行

 2020年東京五輪の開幕が1年後に迫ってきた。五輪は来年7月24日~8月9日に33競技、パラリンピックは8月25日~9月6日に22競技を実施。期間中、選手をはじめ関係者や観戦者などの円滑な輸送が大会成功を左右するポイントの一つになる。

 交通混雑の緩和に向け今夏、官民で大会本番を想定した工事調整や柔軟な働き方を試行する動きもある。五輪開幕を1年後に控え競技施設の工事も最終段階に入ってきた。

 大会期間中の交通渋滞や鉄道の混雑を危惧する声は少なくない。公共発注者は五輪・パラリンピックの開催に備え、発注工事での調整策を試行する。国土交通省関東地方整備局と東京都は、22日~8月2日と同19~30日を集中取り組み期間に設定。受注者に無理が掛からない範囲で工事の一時休止や搬入車両の通行ルート変更、休工日の振り替えなどの混雑回避策を講じる。効果を検証し、大会本番に向けた対策立案に役立てる考えだ。

 公共発注者による工事調整の試行が22日に始まったことを受け、日本建設業連合会(日建連)は積極的に協力する考えを表明。同日の記者会見で山内隆司会長は、東京主体の会社は仕事が減ってしまうと懸念する声があるとした上で、「建設業だけでなく運輸業も同じ課題を抱える。今回の試行で認識が深まるのではないか。来年の本番に向けて意見を集約していきたい」との方針を明らかにした。

 民間発注工事について山内会長は「民間事業者はそれぞれ方針があり、一律に規制するのは難しいだろう」との見方を示した。あるデベロッパーは「個社が動いたところで全体の混雑緩和につながらない」と本音を吐露する。

 建設各社では、交通分散を図る「スムーズビズ」への協力などを始めている。モデル現場で具体的な実行計画を試行するケースも出ており、これから対応が本格化していきそうだ。「夜間の資材搬入などある程度は対応できるが、生コンだけはどうしようもない」(ゼネコン幹部)との声も上がる。5月の大型連休や夏季休暇期間に現場を稼働し、大会期間中を閉所にするような動きも出てきそうだ。円滑な輸送と企業の経済活動を両立させるため、柔軟で多様な働き方にも取り組んでいる。

 政府は22日~9月6日の約1カ月間、大会本番を想定したテレワークや時差出勤、休暇取得を試行。「テレワーク・デイズ2019」と銘打ち、官公庁を含むさまざまな業種・規模・地域の団体にテレワークの一斉実施を呼び掛けている。3000団体・延べ60万人に参加してもらい効果を検証。具体的な対策を取りまとめる。

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