2019年7月22日月曜日

【回転窓】地元の宝が世界の遺産に

今月初めに大阪府の「百舌鳥・古市古墳群」が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産に決まった。府内での世界遺産登録は初めてで、国内の世界遺産は計23件となった▼百舌鳥・古市古墳群は百舌鳥エリア(堺市)と古市エリア(羽曳野、藤井寺両市)に密集し、4世紀後半から5世紀後半にかけて築造された49基の古墳で構成。墳丘の全長が486メートルで日本最大の前方後円墳「大山古墳」(仁徳天皇陵)は広大さで世界最大級の墓にも数えられる▼古墳群は文化財の特性上、入場見学ができず、古墳に関する知識や文化的価値の伝達も難しい。堺市がヘリコプターで上空から古墳群を眺める遊覧飛行を実施するなど、地元では見えにくさを逆手に取った新たな取り組みが始まっている▼文化財は歴史や文化の正しい理解に欠くことができないものであると同時に、将来を見据えた文化の向上発展で基礎をなす。このため保存に加え、その魅力を一層引き出す情報の発信と活用が求められる▼地元の宝が世界の遺産になった時、何がどう変わるのか。これからも文化財を地域の核にしたさまざまな取り組みに期待したい。

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