近畿地方整備局は19日、福井県池田町で建設を進めている足羽川ダムの定礎式を現地で開いた。流水型ダムとしては国内最大規模になる。国土交通省や自治体、施工者などの関係者約210人が出席し、工事の進捗(しんちょく)を祝うとともに、今後の工事の安全と早期完成を祈念した。本体建設工事は清水建設・大林組JVが担当。完成は2026年度を予定している。
式典で豊田俊郎国交副大臣は「洪水調節で下流域の被害を軽減するとともに、通常時は貯留しないため、貯留型ダムに比べ普通の川に近い状態を維持する環境に配慮したダムになる。安全に留意し、しっかりと取り組んでいく」とあいさつした。
杉本達治知事は「04年7月の福井豪雨以降、国、県、沿川自治体が力を合わせて足羽川の河川激甚災害特別緊急事業に取り組んできた。河川改修に加え、ダムの完成で初めて安心な状況になる」、杉本博文池田町長は「この事業が将来に向け偉大な機能を発揮し、流域住民の安全を守ることを祈っている」と期待を込めた。
足立敏之参院議員は「昨今の大雨被害を考えると一日も早い完成が望まれる。施工者はこれまでに培った力を発揮して仕上げてほしい」と話した。
その後、近畿整備局足羽川ダム工事事務所の佐藤弘行所長が施工状況を報告。清水建設の井上和幸社長は「安全、環境への配慮、地元の皆さまとのコミュニケーションを大切にし、愛される立派なダム造りを行う」と決意を新たにした。
定礎の儀では、清水建設・大林組JVの職員が礎石を搬入。渡辺学近畿整備局長が「九頭竜川水系の治水に寄与し、県の発展に貢献することを祈念する」と述べ、定礎を宣言した。
「鎮定の儀」は豊田副大臣、杉本知事、杉本町長、東村新一福井市長、池田禎孝坂井市長、「斎鏝の儀」は山崎正昭参院議員、高木毅衆院議員、滝波宏文参院議員、足立参院議員、「斎槌の儀」は井上社長、野平明伸大林組取締役副社長執行役員、平塚毅清水建設JV所長、渡辺近畿整備局長が行った。バケットでコンクリートを流し込む「埋納の儀」に続き、多くの関係者が万歳三唱とくす玉開披で定礎を祝った。
足羽川ダムは、九頭竜川水系足羽川の支川、部子川に整備する重力式コンクリートダム。規模は堤高96メートル、堤頂長351メートル、総貯水容量は約2870万立方メートルで、洪水調節容量は2820万立方メートル。20年に本体建設工事に着手した。総事業費は約1300億円。
工事では、「コンクリート自動打設システム」を導入。熟練オペレーターの技術を記憶させたAIによる、バケットの自動振れ止め装置の開発・組み込みや最新のベルトコンベヤーによる打設の高速化も予定する。
平塚清水建設JV所長は「完成したものだけでなく、過程も含めて多くの人が幸せになれるよう進めていきたい」と話した。
完成イメージ(近畿地方整備局提供)
鎮定の儀
バケットでのコンクリート打設
くす玉開披
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