国土交通省が16日に開いた有識者会議「持続可能な建設業に向けた環境整備検討会」の第4回会合で、適正な施工体制の確保に向けた方策として「建設キャリアアップシステム(CCUS)の活用が有効」との意見に賛同する声が多く挙がった。施工体制の「見える化」につながり得るCCUSの機能に期待が示された形だ。建設業法で元請には一定範囲で下請を指導する義務が課されていることを念頭に、時間外労働の罰則付き上限規制に対応した労働時間管理を元請に求めていく必要があるとの指摘もあった。
非公開で行われた委員の意見交換の内容を国交省が明らかにした。施工体制の見える化にCCUSを活用する方向性には「委員各位が総じて賛成だった」という。施工体制台帳の作成など既存の枠組みで、多くの技能者が出入りする現場を適切に管理するには無理が生じている実態がある。現場管理を適正化、効率化するICTツールとしてCCUSの活用の幅を広げることに期待の声が上がった。
技能者の賃金や休暇といった労務管理情報、技能者の能力や企業の施工品質に関する評価結果をCCUSを活用し、発注者にも見える化する提案もあった。発注者が技能者や企業の評価を把握できれば、適切な請負額の支払いや品質向上のモチベーションにもつながると見通した。
重層下請構造を巡っては、その発生要因を元請のインセンティブに着目し解明すべきとの意見があった。例えば下請の粗雑工事で元請に問われる責任がより大きければ、元請には下請を適切に管理する必要性が生じ、おのずと重層化を避けるインセンティブが働くと指摘した。
こうした元請の目が届かないことにより発生するコストの多寡を、法制度の枠組みでコントロールできれば、重層化の弊害是正につなげられることを示唆している。時間外労働の上限規制を下請の技能者が超過しないよう元請に指導を義務付けることは、元請の管理責任が増大するという意味で重層化を避けるインセンティブになり得るとの声もあった。
自社だけでなく下請を含むサプライチェーン(供給網)全体で人権尊重や労働条件改善、環境配慮などの対応を求める傾向は、国際市場や他産業で先行している。こうした意識を発注者を含めた建設業全体で醸成する必要があると話す委員もいた。
source https://www.decn.co.jp/
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